【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨 七緒

文字の大きさ
176 / 414
二章 ハーレムルート

僕たちは家族です

しおりを挟む
「むにゃぁん」

温もりを求めて彷徨うと、すぐ側に幸せをみつけた。
心落ち着く香に包まれ、安全な場所であると本能で感じた。
煩悩や欲望など沸き起こること無く穏やかな空気だった。
ずっとここにいたい、そう思わせてくれる居心地の良さだ。

頭を撫でられるって気持ちいいなぁ。
えっ?終わっちゃうの?だめだめ、もっと撫でて。

頭を撫でて欲しくてぎゅっと何かに抱き付きおでこをグリグリと押し付けた。
優しく抱き締められ再び頭を撫でられる。

「にゃむにゃむ……んふふ」
(そうそう…撫でて)

「本当に猫なんだな。」

あれ?
誰の声?
ライじゃないしアレックスでもエドでもリックでもない…。
覚醒しない頭で瞼を開けると黒髪黒目と慣れ親しんだ色なのに、日本人とはかけは慣れた堀の深い顔立ちの人がいた。
エキゾチックな雰囲気を醸し出しながら優しい眼差しに勘違いしてしまいそう。

「おはよう。」

「おはようございます…ふふふっ」

「どうした?」

「なんか…嬉しくて…。」

「そうか?」

「はい」

…大丈夫だよね?
これって兄弟の距離だよね?
初めての兄弟だから良く分からないけど、お兄ちゃんってこんな感じなんだなぁ。

「着替えて食堂に行くぞ?」

「はい」

二人でベッドを出て僕は自分の部屋に向かった。
部屋でお兄様の服を脱いで自分の服に着替え、食堂に向かうために部屋を出た。

「あっ」

「行くぞ。」

部屋の前でお兄様が僕を待っていてくれたので、二人で食堂に向かいほどなくしてお父様とお母様が来て食事となった。
今日もお父様とお兄様は仕事で、食事を終えるとすぐに出掛けてしまった。

「行ってらっしゃい。」

と笑顔で見送ると二人とも僕の方へ向かって来て抱きしめてくれた。

「行ってくる。」

「ゆっくりしてろよ。」

二人抱きしめられながら耳元で囁かれ、お父様もお兄様も僕を甘やかしすぎだと思うけど「はい」と素直に頷いた。

「いつまでそうしてるの?早く行ってきな。」

お母様の言葉で二人は離れていき、僕の頭を撫でたり頬に触れてから馬車に乗っていき、二人を見送りお母様と一緒に屋敷に入った。

「お母様は淋しくない?」

「え?」

「独りで屋敷にいるのは淋しいでしょ?」

「…シャルは淋しい?」

「うん…独りは嫌だな…。」

「そっかぁ…なら、沢山婚約者出来て良かったね。」

「へ?」

「いつも誰かに側に居てもらいなさい。」

「ぅん」

「シャルは獣人になってから甘えん坊になっちゃったな。」

頬をツンツンとされた。

「えっそんな事…あるかも…」

以前のシャルマンを知らないけど、お母様が言うならそうなんだろう…。

「ふふ、良かったね素敵な人達に出会えて。」

「うん」

「まだ増えるかもね。」

「もう増えないよっ。」

「どうなんだろうね~百年ぶりの獣人については実際何も分かってないから何が起きるのか分からないよ?」

「…そう…だけど…」

「どんな選択をしてもお母さん達はシャルの味方だよ、忘れるな。」

「…はいっ」

「はぁ~シャルはいくつになっても可愛いっ。」

「ふふっお母様ぁ。」

抱きしめられた。

もしかしてフィンコック家の皆はスキンシップ多めなのかな?

僕が抱きしめられたがるのって家族に慣らされて身体が覚えちゃってるのかも…。
今日もお母様とお茶をしながら学園だったり、婚約者との関係を話した。
お父様やお兄様が居ると二人はきっと怒るから二人が居ない今しが話せないと言われ話し始めた。
皆の事を話せる人が僕の周囲には居ないからつい嬉しくって沢山話してしまった。
獣人になってから「すごくエッチしたくて我慢できない」とか「終わってほしくない」とか親に話すべきではないと頭の片隅にありながら話すのを止めることが出来なかった。

「ドミニクにも?」

「へっ?」

どうして急にお兄様が?

「昨夜、ドミニクの部屋に泊まったてしょ?」

「ぁっ…あっその……はぃ…」

知られちゃってる…。
いつ観られたんだろう?
部屋には猫の姿で行ったのに…。

「ドミニクとも?」

「してませんっお兄様はお兄様で…そんなっ…」

もしかして僕の安易な行動でお兄様との関係疑われちゃった?

「ドミニクはシャルを溺愛してるから、お願いされたらなんでも叶えちゃうと思うよ。」

え?お母様それって…?

「えっ…だっだめ、お兄様はお兄様だから…」

「そぅっ」

お母様に試されたような気がする。
だけど家族でそういうのは…ねぇ。
お兄様が血が繋がっていなかったら…って、だめそんなこと考えちゃ。
僕達は血が繋がった家族なんだ。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話

BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。 ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。

悪役令嬢の兄、閨の講義をする。

猫宮乾
BL
 ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後

結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。 ※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。 全5話完結。予約更新します。

嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!

迷路を跳ぶ狐
BL
 悪逆の限りを尽くした公爵令息を断罪しろ! そんな貴族たちの声が高まった頃、僕の元に、冷酷と恐れられる王子がやって来た。  その男は、かつて貴族たちに疎まれ、王城から遠ざけられた王子だ。昔はよく城の雑用を言いつけられては、魔法使いの僕の元を度々訪れていた。  ひどく無愛想な王子で、僕が挨拶した時も最初は睨むだけだったのに、今は優しく微笑んで、まるで別人だ。  出会ったばかりの頃は、僕の従者まで怯えるような残酷ぶりで、鞭を振り回したこともあったじゃないか。それでも度々僕のところを訪れるたびに、少しずつ、打ち解けたような気がしていた。彼が民を思い、この国を守ろうとしていることは分かっていたし、応援したいと思ったこともある。  しかし、あいつはすでに王位を継がないことが決まっていて、次第に僕の元に来るのはあいつの従者になった。  あいつが僕のもとを訪れなくなってから、貴族たちの噂で聞いた。殿下は、王城で兄たちと協力し、立派に治世に携わっていると。  嬉しかったが、王都の貴族は僕を遠ざけたクズばかり。無事にやっているのかと、少し心配だった。  そんなある日、知らせが来た。僕の屋敷はすでに取り壊されることが決まっていて、僕がしていた結界の魔法の管理は、他の貴族が受け継ぐのだと。  は? 一方的にも程がある。  その直後、あの王子は僕の前に現れた。何と思えば、僕を王城に連れて行くと言う。王族の会議で決まったらしい。  舐めるな。そんな話、勝手に進めるな。  貴族たちの間では、みくびられたら終わりだ。  腕を組んでその男を睨みつける僕は、近づいてくる王子のことが憎らしい反面、見違えるほど楽しそうで、従者からも敬われていて、こんな時だと言うのに、嬉しかった。  だが、それとこれとは話が別だ! 僕を甘く見るなよ。僕にはこれから、やりたいことがたくさんある。  僕は、屋敷で働いてくれていたみんなを知り合いの魔法使いに預け、王族と、それに纏わり付いて甘い汁を吸う貴族たちと戦うことを決意した。  手始めに……  王族など、僕が追い返してやろう!  そう思って対峙したはずなのに、僕を連れ出した王子は、なんだか様子がおかしい。「この馬車は気に入ってもらえなかったか?」だの、「酒は何が好きだ?」だの……それは今、関係ないだろう……それに、少し距離が近すぎるぞ。そうか、喧嘩がしたいのか。おい、待て。なぜ手を握るんだ? あまり近づくな!! 僕は距離を詰められるのがどうしようもなく嫌いなんだぞ!

処理中です...