【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨 七緒

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二章 ハーレムルート

難しい話だったはずなのに

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昼食を終えると、アデルバード様と奥様は以前から誘われていたお茶会へと出発した。
アデルバード様は僕といたいと馬車に乗るまで訴えていた。
僕としてはすごく嬉しいし一緒にいたかったけど、出席すると既に先方には返事を出している為行かないわけにはいかなかった。

「またお歌、歌ってくだしゃいましゅか?」

「勿論、帰ってきたらご本読んでくれますか?」

「はいっ」

馬車が出発するまで見送り手を振り続けた。
談話室に戻ると、お義父様とお義兄様アレックスと僕になった。
ルパート様とアデルバード様が居なくなると急に緊迫感が産まれ、緊張してしまう。

ルパート様とアデルバード様は癒しだったの痛感した。

「フィンコック様は面白いことを知っているんですね。」

誰よりも先に口を開いたのはお義兄様だった。

「面白いこと…ですか?」

「あの歌?初めて聴いたよ。」

「あっあれですか…」

「あの絵本、私が子供の頃から有りますがあの曲は初めてですし聴きなれない曲調ですよね?公爵夫人や乳母の方に聴いたのですか?」

「へっ?えっと…子供の頃からで誰かは覚えてないです…」

「そうなんですね。」

…嘘は付いてない。

日本にいた時の子供の頃の記憶ですけど。
これ以上追及されるのが怖くてアレックスの服を掴んでいた。

「大丈夫ですよ。」

「ぅん」

「フィンコック様。」

「はい」

今度はお義父様からの追及?

「獣人になってからのフィンコック様は魔法はどうですか?」

「へっ?」

予想外の質問に答えが分からなかった。

「魔法はまだ試してませんか?」

「あっ試しま…した……何も…出来ませんでしたが…。」

僕、魔法使えないんだよね…。
頑張って練習したのに…魔法の世界に来たのに僕には魔法が…。

「ルゥ、魔法は私が見せますよ。」

「ぅん…。」

「フィンコック様は魔法に興味が?」

お義兄様の質問に僕は静かに頷いた。

「私と個人訓練していましたよね。」

「…ぅん。」

「ん?当時フィンコック様は魔力が低かったのでは?」

お義兄様の質問は意地悪で聞いているのではないとわかっている。

「はい、なので増やしたくてアレックスと一緒に訓練をしてました。」

「訓練をしてしまうと魔力が増え妊娠に影響が有ることはご存じ無かったのですか?」

「ん?妊娠に影響するのは分かつていたんですが、魔法を勉強したかったので…。」

「ルゥは魔法が好きなんですよね?」

「はいっ」

僕は魔法大好きですっ。

「…噂とはだいぶ違ったんですね。」

「んにゃ?」

お義兄様はうっすら眉間にシワを寄せ考え込んでいた。

「いえ、貴族の噂は誇張され事実と異なる場合も多いと言うのに、私は噂に踊らされていたわけですね。」

噂?僕の?あっ、良くないやつだよね?魔法に関してだと授業は不真面目だったり試験では楽なものを選びがちってやつだったっけ?アレックスにも言われたからきっと噂は本当だと思う。

「あっ、あのどんな噂かは分かりませんが事実だと思います。魔法に関してはある時から魔法の魅力に気付いたというか…もっと出来たらいいなって思っていて…だけど才能が無いのを認めたくなくて…逃げていたのだと…」

言っていて悲しくなる。

才能無かったんだ…もっと、転生者あるあるのチート無双したかった。

今の僕は魔力は空だもんな…。

炎ぉとか、雷ぃとか、あとは結界みたいなことしたかったなぁ。
聖女…僕は女の子じゃないから…聖人?みたいに色んな病気や怪我を直すってのも憧れた。やっぱり僕って特別じゃなかった…。

「…すまなかった。」

お義兄様が頭をポンポンしてくれた…それに謝罪まで。
お義兄様は何も悪くないのに。

「いえ、お義兄様は何もっ…あっ」

「………。」

僕許可もなくアレクサンダー様の事をお義兄様って呼んじゃった。お義兄様の方も僕に許可無く呼ばれ険しい表情をしている。

「あの…すみません。えっと…」

どうしよう…、アレクサンダー様って呼ぶのも許可を得てからだよね?だとするとギノフォード様?だと、ここにはお義父様とアレックスもいるから誰の事か分からないよね?そうなると…ギノフォード侯爵…令息?いやっもう令息って年齢ではないのか。え?この場合なんて呼ぶのが正解なの?

「お義兄様で問題ない。婚約が決まりいずれアレッサンドロと結婚もするんだから。」

「…はぃありがとうございます…お…お義兄…様?」

確認の為恐る恐る呼んでみた。

「あぁ。」

少しだけ、お義兄様との距離が縮んだ気がする。ふふ、嬉しい。

「ふむ、元々少なかった所に今は完全に無いと…」

お義父様に事実を告げられた。

そうなんだけど…切ない。

「…はぃ」

認めたくないが返事はしておいた。

「これに振れて貰えるか?」

差し出されたのは箱に入った透明なな宝石?ガラス?だった。

「はい」

何か分からないが、お義父様が危険なものを差し出すとは思っていなかったので疑うこと無く触れた。

「………。」

…何も起こらなかった。

「やはり。」

…何?続き教えてください。とっても気になってます。「やはり」何ですか?

「この魔法石は触れた者の魔力の属性を見極めるものだ。魔力さえ有れば何かしらの変化ぎ起こる。無いと言うことは…フィンコック様の体内には魔力がかけも流れていないことになる。」

「………。」

欠片も…悲しい表現。

「追跡魔法のブレスレットだけでは不安なので防御もしくは攻撃用の何かも身に付けるべきだな。」

あっ、僕だけが魔法使えないんですもんね…ここは魔法の世界なのに。

「それに、サンチェスター伯爵家にも様々な仕掛けが必要かもしれんな。」

お屋敷事態に?それって大掛かりなのでは?

「ルゥ、僕達の安心の為だから気にしなくていいんだよ?」

「…で…でも、色々と大変なんじゃ?」

「我が家は歴代魔法が得意な家系なんだ。それに新たな魔法を産み出すのも魔法省に勤めている人間なら当然の事。試練を与えられたと思って父さんも兄さんも楽しんでいるんだよ。」

「そう…なの?」

「獣人を護る魔法だなんて、生きていてそんな機会を与えられるなんて。フィンコック様には感謝していますよ。」

「ふっ、あぁ力を試されているようで胸が高鳴っていますよ。」

お義父様もお義兄様も目がキラキラしていて本当に楽しそうに見えた。

頼っても良いのかな?

「よっ…よっちくお願いしま…しゅ…」

僕はどうして大事な時に噛んじゃうのかな…。
もぅ自分が嫌になる。

「ふふっ。任せなさい。」

「ふふっ。こちらこそな」

お義父様は気付かないふりをしてくれたのに、お義兄様は…。
お義兄様とは違う意味で仲良く出来そうにない。
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