382 / 414
四章 物語は終盤へ
ご挨拶
しおりを挟む
出産後一ヶ月は双子に付きっきりでレノックを巻き込んでてんやわんやだった。
小さくなり出していた胸も再び大きくなった気がする。
レノックは双子を育てている僕にあの要求をしてこなかったが、胸が張りすぎて僕からしてしまった…。
「レノック?」
「はい」
「お願いがあるの…」
「何でしょうか?水ですか?」
「ぅんん、あのね…胸が…苦しいの…」
「胸っ医者っ医者呼びますねっ」
胸が苦しいと告げるとレノックは急いで部屋を出ていこうとした。
レノックの反応を見ると皆がエッチ目的で僕に触っていたのかな?と…そんなこと無いよね?
皆マッサージって言ってたし…。
胸が張るのを緩和させるために…。
「待って…違うの、行かないで。」
「…ですが…胸が苦しいんですよね?」
「ぅん…その…胸が張って苦しいの…だからね…レノックに…助けて欲しいの。」
「俺に出来ることならしますっ、なんでも言ってください。」
真剣な表情をされ、こんな事を願って良いのか躊躇ってしまう。
「…ぉ…お願い…僕の…飲んで…。」
「…飲む?」
「…ぅん…あっでも嫌なら…誰か旦那様にっ」
無理矢理はよくないよね…ライ…はお仕事…アレックスは学園…エドもリックもスティーヴンも今は領地のはず…どうしよう…。
「俺がっ俺に飲ませてください。」
「いっ嫌…じゃない?」
「飲みたいですっ。」
「お願い…します…。」
レノックはベッドに腰掛け僕が目の前にたった。
「…服を…持っていてもらって良いですか?」
「…んっ」
なんだろう、皆と違ってレノックにお願いすると卑猥なことのように感じてしまう…。
これってエッチな事に入るのかな?
僕はレノックの指示通り服を捲り胸を見せているだけなのに、見せつけてしまっているようで恥ずかしい。
腰を引き寄せられレノックの目の前に胸を差し出していた。
大きく口が開き真っ赤な舌が獣のように僕の胸に食い付き一気に吸われ尽くしていく。
赤ちゃんの分を~と言う前に飲みきられたような吸引…いつの間にか両方奪われていた。
僕は体力まで吸われたようにぐったりレノックの腕の中に支えられていた。
レノックのキスを受け入れ、捲った服は脱がされ全身にレノックの唇の感触があった。
レノックは僕の身体にキスをするのが好きなのかな?
僕も擽ったいと思いながらキスされるの好きになっちゃった。
レノックを婚約者にと決めたのに数日後には赤ちゃんが出来て新婚生活をスタートさせていた。
レノックが学園を卒業してから一ヶ月半が経ち、二ヶ月目には結婚することになった。
僕達の方は皆納得したがレノックの家族には何も告げず、卒業式の日に手紙を送りその後は一切連絡していないことが判明した。
なのでレノックの家族に手紙で訪問の許可を貰い、僕達家族で会いに行くことにした。
レノックの男爵家は王都に屋敷を買っていたので僕の家族にもレノックの家族に挨拶しに王都に戻りますとお父様とお母様、お兄様に手紙を出した。
辺境から王都は赤ちゃん達にとっても長旅で不安だったが、レノックの家族にも会ってお許しを貰いたかった。
不安しかない道中、レノックは「許可を貰えなくても元々俺は家を出る予定だったので何も変わりません。フィンコック様は気にしないでください。」と僕を気遣ってくれる。
僕としては少しでも言い雰囲気で終わりたい、が希望だった。
レノックの屋敷は貴族街に入ってすぐだった。
馬車が着くと執事が出迎えてくれていたが、なんとなく屋敷の…使用人の雰囲気が殺伐としていると言うか刺々したものがあった。
僕とレノックは赤ちゃんを抱きながら応接室へと案内され、乳母も騎士も当然一緒に伺った…。
案内されてすぐに現れたのはレノックのお母様だった。
「レノック、卒業と同時に帰ってこないだなんて心配するじゃないかっ」
レノックを確認して駆け寄る姿は息子を本気で心配する親で、レノックが愛されているのが伝わった。
「すみません。」
素直に謝罪するレノックもまた、ちゃんと子供だった。
「こちらは?それにこの子は?」
がちゃ
感動的な場面を遮るように応接室に三人のお貴族様が入ってきたことで、今までの和気あいあいとしていた空気は一変した。
「遅れてしまいましたね。」
「家を出るって言ったわりにこんなにすぐに帰ってくるなんてね。」
「金は貸さないぞ。」
当主である旦那様はレノックの実の父だと聞いたのに…心配した素振りをみせなかった。
後妻は平民で息子は兄だがレノックのお義母様の爵位を継ぐと断言したんだよね?
貴族のそう言うことには疎くても二人が…三人とあまり仲が良くないのを感じ取った。
この屋敷ではレノックのお義母様が立場が強いはずなのに、とても居心地が悪そうなのがすぐに分かった。
なんだか…やだなと感じてしまった。
「金の無心に来たわけではありません。報告に来ただけです。」
「へぇ報告ね…。」
お義兄様は僕を値踏みするように全身を嘗めるように見られた。
初めて人に見られただけで鳥肌が立ってしまった。
「この度こちらの方と結婚します。男爵家とは縁を切るつもりです。」
「へ?」
「何を言っている、レノック」
縁を切ることは聞いてなかった。
話し合いが拗れたらそうなるかな?とは思ったけど、最初からそのつもりなんて…。
それに…お義母様も驚きを隠せていない。
きっと今初めて知ったんだ。
「ほぉ。だが、そちらは男爵家に転がり込む算段だったように見えるが?」
お義兄様は僕の反応から、僕が男爵の彼に近付いたと思ったのに気付いた。
「僕はそんなつもりっ」
「俺は分かってますから。」
簡単に挑発にのってしまった僕を諭すようにレノックが止めてくれた。
もしかしたら、レノックは今までこんな扱いを受けていたのかな?
だから…僕の…辺境まで来たの?
「レノック?その…赤ちゃんは?」
お義母様はレノックの縁切り発現に混乱しつつも目の前の疑問を一つ一つ解消しようと必死に見えた。
「俺達の子です。」
「あぁ、そうなんだっ。」
レノックのお義母様だけ笑顔を見せて喜んでくれた。
「ふぅん?宛が外れたようだな、こいつじゃなく俺にしておけば良かったのに。今から俺に乗り換えるか?」
レノックのお義兄様なのに下品としか言えないイヤらしい笑みで僕に近づいてきた。
「止めろっ」
僕もつい赤ちゃんを隠しレノックに身を寄せた。
「あっそ。まぁいつでも泣きついて貰って構わないよ。君ぐらい綺麗なら、愛人の一人くらいにはしてあげるよ。」
「なりません。」
しません。
僕には素敵な旦那さんがいますからっ。
ふんっ。
「ふふ、今はだろ?」
「ランスロット止めなさい。」
今まで黙っていたエルマー男爵が制した。
「レノック、男爵を継ぐ気はかないのか?」
「はい、結婚後はサンチェスター伯爵領に移り住むつもりです。」
「そちらも了承しているのか?」
「はい」
お義父様は僕に聞いてきたので頷いた。
だって、僕はライの領地に一生住むって決めてるから。
「へぇ、辺境だぞ?貴族ならまだしも平民がねぇ…。」
それってライの事をバカにしてるの?
辺境って言うけど、ライの領地はとっても住みやすくて快適で最高な場所なんだよっ知らないくせに言うなっ。
喧嘩をしに来たのではないので口には出さないが、つい彼の事を睨んでしまった。
「あっ、混乱してしまって聞いておりませんでした。お名前をうかがっても宜しいですか?」
この場にいるお義母様だけが僕に敬意を払ってくれ、なぜこの人と結婚したのか失礼ながら疑問に思ってしまった。
レノックのお母様ならきっといい人なのに…この男爵は…。
「僕の名前はシャルマン サンチェスターです。」
「「「「…サンチェスター?」」」」
あっ凄い、仲は悪くても皆の声が揃った。
「はい、俺はシャルマン様の愛人になります。」
「違うよっ、旦那様だよ?」
レノックは自分の事を愛人だと思ってたの?
僕は愛人なんて作らないよ、レノックは大事な旦那様だ。
「ですが俺だけ爵位が…」
「爵位は関係ありません、レノックは僕の六番目の旦那様になりました。」
「「「「六番目…」」」」
あっやっぱり声が揃ってる。
「えっあっえっ?サンチェスター伯爵夫人ですか?」
「はいっ。」
僕が笑顔で答えると四人の表情が固まり次第に青白くなっていった。
「あのぉ?大丈夫ですか?」
「へっあっはい、ありがとうございます。」
お父様はレノックに視線でなにかを求めていたが、僕には親子の無言の会話は想像できなかった。
「シャルマン様、あノォ~旦那様が六人とお聞きしましたが他の方達は…。」
僕にとってのお義母様…レノックの実の母の声が少し裏返ったようだったが聞かなかったことにした。
「はい、僕にはレノック様以外にライアン サンチェスター様、アレッサンドロ ギノフォード様、エトバルド グレモンド様、フレデリック バルデモア様、スティーヴン シリクレッチ様がいます。」
「……ギノフォー…様、グレ………様、バルデ……様、シリ……ッチ様…って…伯爵家に侯爵家ではないですかっ…」
「えっ?」
「はっ?」
お父様の言葉にレノック様の義理の母とお義兄様も理解が追い付いていないようだった。
「申し訳ありませんが、シャルマン様の結婚前のお名前は…。」
「僕はシャルマン フィンコックです。」
「………公爵家ぇぇええええ。」
「「………。」」
お父様の叫び声を聞いた後は静寂につつまれた。
何も知らなかった全員が驚きに目を見開いていた…その中にレノックも含まれ「知らなかったの?」と小声で尋ねれば「はい」と素直に頷いていた。
公爵令息でも獣人でもなく僕を見てくれていたことを知り嬉しくなった。
「フィンコック公爵といえば貴族のトップ、王家の次に権力があるといわれている…あの…。第一王子の婚約者候補にもなった…あの…?」
「婚約者候補?それはただの噂で僕と王子は何もありませんよ?何度か会話しただけですから。」
事実を告げたつもりだが、王子と何度か会話したことある貴族は貴族の中でも選ばれたものだけ、それを自慢するわけでもなく話す姿に全員が格の違いを目の当たりにした。
先程僕に無礼な発言をしたお義兄様とそのお義母様は僕から見ても分かるくらい震えている。
「父さんの石鹸もシャルマン様が貴族に進めてくれたのが切っ掛けで学園で人気になりました」
「えっ?シャ…フィンコック様が?」
お父様は僕とお義兄様を交互に見ていた。
なんだろう?
「あの…僕はほとんどなにもしていませんから…。」
「いえ、シャルマン様が使用し称賛したって事で話題になり広まったんです。」
レノックが熱く語ってくれるが、やはり申し訳なくなる。
作ったのはレノックと家族だから…。
「そうなんですね、ありがとうございます。」
「あっいえっそんなっ、良いものを良いと言っただけなんです。」
「それでもありがとうございます。」
レノックのお母様だけが感謝してくれた。
「母さん、俺はシャルマン様と結婚します。男爵家を継げなくてすみません。俺はシャルマン様の傍にいたいんです。」
「…六番目は辛くないの?」
「シャルマン様は、旦那も子供も平等に愛してくれています。俺もあの方達とならやっていけそうです。」
「…そっか…分かった。」
「式はサンチェスター伯爵の領地で行います。母さんは出席出来ますか?」
「なっ、当たり前だろっ…良いのか?」
「はいっ」
「僕もお母様には参加していただきたいですっ。」
「ありがとう。」
「赤ちゃん、抱いてくれますか?」
「…ぃいの?」
「はいっ」
お母様は涙目で赤ちゃんを抱いてくれた。
「…父さんは?」
気の所為かレノックの声に冷たさを感じた。
「…私は…止めておこう。」
「はい……そうですね。」
あっ…、レノックの「そうですね。」を聞いた瞬間、レノックがお父様を捨てたのを感じたしお父様の方も…。
お茶の準備がされレノックとお母様と僕だけは和やかで残りの三人は存在を消していた。
小さくなり出していた胸も再び大きくなった気がする。
レノックは双子を育てている僕にあの要求をしてこなかったが、胸が張りすぎて僕からしてしまった…。
「レノック?」
「はい」
「お願いがあるの…」
「何でしょうか?水ですか?」
「ぅんん、あのね…胸が…苦しいの…」
「胸っ医者っ医者呼びますねっ」
胸が苦しいと告げるとレノックは急いで部屋を出ていこうとした。
レノックの反応を見ると皆がエッチ目的で僕に触っていたのかな?と…そんなこと無いよね?
皆マッサージって言ってたし…。
胸が張るのを緩和させるために…。
「待って…違うの、行かないで。」
「…ですが…胸が苦しいんですよね?」
「ぅん…その…胸が張って苦しいの…だからね…レノックに…助けて欲しいの。」
「俺に出来ることならしますっ、なんでも言ってください。」
真剣な表情をされ、こんな事を願って良いのか躊躇ってしまう。
「…ぉ…お願い…僕の…飲んで…。」
「…飲む?」
「…ぅん…あっでも嫌なら…誰か旦那様にっ」
無理矢理はよくないよね…ライ…はお仕事…アレックスは学園…エドもリックもスティーヴンも今は領地のはず…どうしよう…。
「俺がっ俺に飲ませてください。」
「いっ嫌…じゃない?」
「飲みたいですっ。」
「お願い…します…。」
レノックはベッドに腰掛け僕が目の前にたった。
「…服を…持っていてもらって良いですか?」
「…んっ」
なんだろう、皆と違ってレノックにお願いすると卑猥なことのように感じてしまう…。
これってエッチな事に入るのかな?
僕はレノックの指示通り服を捲り胸を見せているだけなのに、見せつけてしまっているようで恥ずかしい。
腰を引き寄せられレノックの目の前に胸を差し出していた。
大きく口が開き真っ赤な舌が獣のように僕の胸に食い付き一気に吸われ尽くしていく。
赤ちゃんの分を~と言う前に飲みきられたような吸引…いつの間にか両方奪われていた。
僕は体力まで吸われたようにぐったりレノックの腕の中に支えられていた。
レノックのキスを受け入れ、捲った服は脱がされ全身にレノックの唇の感触があった。
レノックは僕の身体にキスをするのが好きなのかな?
僕も擽ったいと思いながらキスされるの好きになっちゃった。
レノックを婚約者にと決めたのに数日後には赤ちゃんが出来て新婚生活をスタートさせていた。
レノックが学園を卒業してから一ヶ月半が経ち、二ヶ月目には結婚することになった。
僕達の方は皆納得したがレノックの家族には何も告げず、卒業式の日に手紙を送りその後は一切連絡していないことが判明した。
なのでレノックの家族に手紙で訪問の許可を貰い、僕達家族で会いに行くことにした。
レノックの男爵家は王都に屋敷を買っていたので僕の家族にもレノックの家族に挨拶しに王都に戻りますとお父様とお母様、お兄様に手紙を出した。
辺境から王都は赤ちゃん達にとっても長旅で不安だったが、レノックの家族にも会ってお許しを貰いたかった。
不安しかない道中、レノックは「許可を貰えなくても元々俺は家を出る予定だったので何も変わりません。フィンコック様は気にしないでください。」と僕を気遣ってくれる。
僕としては少しでも言い雰囲気で終わりたい、が希望だった。
レノックの屋敷は貴族街に入ってすぐだった。
馬車が着くと執事が出迎えてくれていたが、なんとなく屋敷の…使用人の雰囲気が殺伐としていると言うか刺々したものがあった。
僕とレノックは赤ちゃんを抱きながら応接室へと案内され、乳母も騎士も当然一緒に伺った…。
案内されてすぐに現れたのはレノックのお母様だった。
「レノック、卒業と同時に帰ってこないだなんて心配するじゃないかっ」
レノックを確認して駆け寄る姿は息子を本気で心配する親で、レノックが愛されているのが伝わった。
「すみません。」
素直に謝罪するレノックもまた、ちゃんと子供だった。
「こちらは?それにこの子は?」
がちゃ
感動的な場面を遮るように応接室に三人のお貴族様が入ってきたことで、今までの和気あいあいとしていた空気は一変した。
「遅れてしまいましたね。」
「家を出るって言ったわりにこんなにすぐに帰ってくるなんてね。」
「金は貸さないぞ。」
当主である旦那様はレノックの実の父だと聞いたのに…心配した素振りをみせなかった。
後妻は平民で息子は兄だがレノックのお義母様の爵位を継ぐと断言したんだよね?
貴族のそう言うことには疎くても二人が…三人とあまり仲が良くないのを感じ取った。
この屋敷ではレノックのお義母様が立場が強いはずなのに、とても居心地が悪そうなのがすぐに分かった。
なんだか…やだなと感じてしまった。
「金の無心に来たわけではありません。報告に来ただけです。」
「へぇ報告ね…。」
お義兄様は僕を値踏みするように全身を嘗めるように見られた。
初めて人に見られただけで鳥肌が立ってしまった。
「この度こちらの方と結婚します。男爵家とは縁を切るつもりです。」
「へ?」
「何を言っている、レノック」
縁を切ることは聞いてなかった。
話し合いが拗れたらそうなるかな?とは思ったけど、最初からそのつもりなんて…。
それに…お義母様も驚きを隠せていない。
きっと今初めて知ったんだ。
「ほぉ。だが、そちらは男爵家に転がり込む算段だったように見えるが?」
お義兄様は僕の反応から、僕が男爵の彼に近付いたと思ったのに気付いた。
「僕はそんなつもりっ」
「俺は分かってますから。」
簡単に挑発にのってしまった僕を諭すようにレノックが止めてくれた。
もしかしたら、レノックは今までこんな扱いを受けていたのかな?
だから…僕の…辺境まで来たの?
「レノック?その…赤ちゃんは?」
お義母様はレノックの縁切り発現に混乱しつつも目の前の疑問を一つ一つ解消しようと必死に見えた。
「俺達の子です。」
「あぁ、そうなんだっ。」
レノックのお義母様だけ笑顔を見せて喜んでくれた。
「ふぅん?宛が外れたようだな、こいつじゃなく俺にしておけば良かったのに。今から俺に乗り換えるか?」
レノックのお義兄様なのに下品としか言えないイヤらしい笑みで僕に近づいてきた。
「止めろっ」
僕もつい赤ちゃんを隠しレノックに身を寄せた。
「あっそ。まぁいつでも泣きついて貰って構わないよ。君ぐらい綺麗なら、愛人の一人くらいにはしてあげるよ。」
「なりません。」
しません。
僕には素敵な旦那さんがいますからっ。
ふんっ。
「ふふ、今はだろ?」
「ランスロット止めなさい。」
今まで黙っていたエルマー男爵が制した。
「レノック、男爵を継ぐ気はかないのか?」
「はい、結婚後はサンチェスター伯爵領に移り住むつもりです。」
「そちらも了承しているのか?」
「はい」
お義父様は僕に聞いてきたので頷いた。
だって、僕はライの領地に一生住むって決めてるから。
「へぇ、辺境だぞ?貴族ならまだしも平民がねぇ…。」
それってライの事をバカにしてるの?
辺境って言うけど、ライの領地はとっても住みやすくて快適で最高な場所なんだよっ知らないくせに言うなっ。
喧嘩をしに来たのではないので口には出さないが、つい彼の事を睨んでしまった。
「あっ、混乱してしまって聞いておりませんでした。お名前をうかがっても宜しいですか?」
この場にいるお義母様だけが僕に敬意を払ってくれ、なぜこの人と結婚したのか失礼ながら疑問に思ってしまった。
レノックのお母様ならきっといい人なのに…この男爵は…。
「僕の名前はシャルマン サンチェスターです。」
「「「「…サンチェスター?」」」」
あっ凄い、仲は悪くても皆の声が揃った。
「はい、俺はシャルマン様の愛人になります。」
「違うよっ、旦那様だよ?」
レノックは自分の事を愛人だと思ってたの?
僕は愛人なんて作らないよ、レノックは大事な旦那様だ。
「ですが俺だけ爵位が…」
「爵位は関係ありません、レノックは僕の六番目の旦那様になりました。」
「「「「六番目…」」」」
あっやっぱり声が揃ってる。
「えっあっえっ?サンチェスター伯爵夫人ですか?」
「はいっ。」
僕が笑顔で答えると四人の表情が固まり次第に青白くなっていった。
「あのぉ?大丈夫ですか?」
「へっあっはい、ありがとうございます。」
お父様はレノックに視線でなにかを求めていたが、僕には親子の無言の会話は想像できなかった。
「シャルマン様、あノォ~旦那様が六人とお聞きしましたが他の方達は…。」
僕にとってのお義母様…レノックの実の母の声が少し裏返ったようだったが聞かなかったことにした。
「はい、僕にはレノック様以外にライアン サンチェスター様、アレッサンドロ ギノフォード様、エトバルド グレモンド様、フレデリック バルデモア様、スティーヴン シリクレッチ様がいます。」
「……ギノフォー…様、グレ………様、バルデ……様、シリ……ッチ様…って…伯爵家に侯爵家ではないですかっ…」
「えっ?」
「はっ?」
お父様の言葉にレノック様の義理の母とお義兄様も理解が追い付いていないようだった。
「申し訳ありませんが、シャルマン様の結婚前のお名前は…。」
「僕はシャルマン フィンコックです。」
「………公爵家ぇぇええええ。」
「「………。」」
お父様の叫び声を聞いた後は静寂につつまれた。
何も知らなかった全員が驚きに目を見開いていた…その中にレノックも含まれ「知らなかったの?」と小声で尋ねれば「はい」と素直に頷いていた。
公爵令息でも獣人でもなく僕を見てくれていたことを知り嬉しくなった。
「フィンコック公爵といえば貴族のトップ、王家の次に権力があるといわれている…あの…。第一王子の婚約者候補にもなった…あの…?」
「婚約者候補?それはただの噂で僕と王子は何もありませんよ?何度か会話しただけですから。」
事実を告げたつもりだが、王子と何度か会話したことある貴族は貴族の中でも選ばれたものだけ、それを自慢するわけでもなく話す姿に全員が格の違いを目の当たりにした。
先程僕に無礼な発言をしたお義兄様とそのお義母様は僕から見ても分かるくらい震えている。
「父さんの石鹸もシャルマン様が貴族に進めてくれたのが切っ掛けで学園で人気になりました」
「えっ?シャ…フィンコック様が?」
お父様は僕とお義兄様を交互に見ていた。
なんだろう?
「あの…僕はほとんどなにもしていませんから…。」
「いえ、シャルマン様が使用し称賛したって事で話題になり広まったんです。」
レノックが熱く語ってくれるが、やはり申し訳なくなる。
作ったのはレノックと家族だから…。
「そうなんですね、ありがとうございます。」
「あっいえっそんなっ、良いものを良いと言っただけなんです。」
「それでもありがとうございます。」
レノックのお母様だけが感謝してくれた。
「母さん、俺はシャルマン様と結婚します。男爵家を継げなくてすみません。俺はシャルマン様の傍にいたいんです。」
「…六番目は辛くないの?」
「シャルマン様は、旦那も子供も平等に愛してくれています。俺もあの方達とならやっていけそうです。」
「…そっか…分かった。」
「式はサンチェスター伯爵の領地で行います。母さんは出席出来ますか?」
「なっ、当たり前だろっ…良いのか?」
「はいっ」
「僕もお母様には参加していただきたいですっ。」
「ありがとう。」
「赤ちゃん、抱いてくれますか?」
「…ぃいの?」
「はいっ」
お母様は涙目で赤ちゃんを抱いてくれた。
「…父さんは?」
気の所為かレノックの声に冷たさを感じた。
「…私は…止めておこう。」
「はい……そうですね。」
あっ…、レノックの「そうですね。」を聞いた瞬間、レノックがお父様を捨てたのを感じたしお父様の方も…。
お茶の準備がされレノックとお母様と僕だけは和やかで残りの三人は存在を消していた。
15
あなたにおすすめの小説
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)
ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!
迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!
悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!
ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。
らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。
なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。
「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜
鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。
そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。
あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。
そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。
「お前がずっと、好きだ」
甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。
※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています
姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました
拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。
昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。
タイトルを変えてみました。
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる