【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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聖女お披露目パーティー

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「準備が整いました」

 どうしたらいいのか分からずにいると、使用人の言葉に助けられた。

「行こうか」

「はい」

 王子とマドリゲスと共にパーティー会場を目指す。
 既に貴族の入場は終わり、彼らは王族と聖女を待っている状態。
 
「聖女様」

 振り向くと、国王陛下の姿。 

「国王陛下」

「今日はそなたのお披露目だ。楽しみなさい」

 国王陛下に「楽しみなさい」と言われるも本当に楽しんでいいのか……いや、楽しむ事は出来ない。
 国王も私が聖女でないのを知っている。
 召喚時にいたのだから。
 それは、国王だけじゃない。
 ここにいる全員が私が聖女でないのを知っている。
 国王・王妃・王子・大臣・護衛騎士、この場にはいないが、司祭……そして私。
 全員が共犯者だ。 

「はい」

 国王と王妃、そして王子と私が入場する。
 会場の視線が一気に集まるが、分散されていることに少し安心する。
 国王の挨拶が始まれば私の存在は消える……

「こちらが、召喚されし聖女のケイトリーン嬢だ」

 当然だが、紹介されると視線が私に……
 
「ケイトリーン嬢が王族の貴賓であることを貴族である貴殿達なら理解しているだろう。では本日の主役である聖女のダンスから始めようとしよう。ジェイコブ」

「はい」

 王子の手を取り、会場の中央へと向かう。
 貴族達の好奇な目に晒されながら中心に到着。
 私達が一旦離れ準備が整うと、宮廷楽団により音楽が始まる。
 貴族が私にどんなダンスを望んでいるのか分からないが、王子とのダンスが始まる。
 彼とのダンスは二回目だが、とても踊りやすい。
 ダンスというのは男性との歩幅を合わせるのが難しく、過去に何度も転ぶような経験をし相手に恥をかかせてしまっていた。
 そんなダンスしか出来ない私なのに、王子とのダンスは滑らかで初めての時も躓くことがなかった。
 相手の足運びが気になり余裕のあるダンスをしたことは無いが、ジェイコブ王子はとてもダンスが上手な人らしい。

「聖女のダンスは完璧だな」

「いえ、王子様のエスコートが完璧なんです」

「この後だが、聖女に挨拶したいと申し出る貴族が列をなすだろう。無理に会話しようとしなくていい、私の横で笑顔で乗り切ってくれ」

「……はい」

 王子とのダンスが終わると、歓声が響く。
 ダンスを終えて歓声が沸くのは、かなり昔……私が婚約者となった時以来だ。
 ダンスホールから離れると入れ替わるように人の波が動く。
 到着した先で休むことなく、周囲を囲まれる。
 
「ジェイコブ王子、召喚成功したのですね。流石王子です」
「今回の報せにどれほど喜んだことか」
「聖女様、我が国にお越しくださりありがとうございます」
「聖女様が来てくださり我が国も安泰だ」
「聖女様はどちらからいらっしゃたんです? 」
「先程のダンスお見事でしたわ」
「次は私とダンスをお願いできませんか? 」

 答える暇もないほど、新たな言葉を掛けられる。

「聖女、少し風にあたろうか? 」

 王子は今の状況から救いの手を差し伸べてくれた。

「はい」

 会話を聞いていた貴族は、自然と道を開けテラスへと歩く。

「ふぅ……」

 人込みを抜け誰もいないテラスへと移動すると、無意識にため息が零れた。
 
「疲れたか」

「……はい」

「挨拶もあらかた終わった、急いで戻ることはない」

「はい」

 王子の言葉通り、風にあたる。
 少し肌寒いが、ダンスの後だと丁度いい。
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