【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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会話の変化

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 私の毎日の行動は決まっている。
 午前中は王宮の祈りの場の掃除、その後は様々な分野の勉強。
 午後は大聖堂の掃除、その後は限られた人数だが直接国民の不安を聞く。
 国民との対面を始めた当初は、聖女となった私への感謝だった。
 今では……

「聖女様。娘が結婚するんだが、相手の男がね……」

 ご家族の相談事も増えた。

「そうですね。大切な娘であればどんな男性でも心配ですよね」

「そうなのよ。私が『相手の男性は大丈夫なの? 信頼できる人なの? 』と聞けば、頑なに『大丈夫』としか言わなくて……」

「どんな事も経験しないと分からないことですからね。では娘さんには『あなたのことを信じている。だけどもし何かあったら、すぐに相談するのよ』とだけ伝えてみてはいかがですか? 親の反対で強引に結婚したとなれば、何かあった時相談すら躊躇ってしまうと思います」

「……そうね。そうするわ。ありがとう聖女様」

「いえ。娘さん、ご結婚おめでとうございます」

 どんな相談事でも、一人一人丁寧に対応していく。
 そして新たな相談へと。

「聖女様。最近作物の成長が悪くて困ってんだ、なんとかならないか? 」

 聖女の能力で一気に回復を願っているのかもしれないが、私には出来ないので必死に考える。
 ギルべネル国の天候は安定していて、日照りや豪雨で悩まされることは比較的少ない。
 それなのに、作物の成長が悪いというのは気になる。

「作物ですか……何を育てていらっしゃるんですか? 」

「トマージャとナスナ、ジャッガルモです」

 それらは育てるのが難しい食物ではない。
 寧ろ、ジャッカルもなんて過酷な環境でも育つと言われている。
 それが、成長悪いというと……何かの病気か?

「カビとかですかね? 水はけはどうですか? 」

「畝を作っているので、水はけはいい」

「となると……風通しはいかかですか? 」

「風通しもいいさっ」

「日当たりも? 」

「もちろん」

 返答からして食物を育てるには問題ないと言える。

「だとすると……同じ場所に同じ物を連続で育てていたりしますか? 」

「はい。基本は変えませんね」

「……それが……原因かもしれませんね」

「同じものは作っちゃいけないんですか? 毎年同じ場所で育ててるんだ、育つに決まってる」

「同じものを育て続けると、必要な栄養だけが足りていなかったり気付かないうちに土の中で病気が広まったりするんです。なので連続で同じ物でなく、今までに育てたことのない物を育ててみるのもいいかもしれません」

「……分かりました……が……本当にそんなんで解決するんですか? 」

 過去にその様な方法で解決したのを思い出し助言するも、信じていない様子。

「もしそれでも効果がないようでしたら、またいらしてください」

「はい」

 最近ではこんな感じだ。
 国民も聖女との会話に慣れ、日常生活の相談が多くなる。
 
「聖女様」

 現れたのは、今までの人達とは違う身なりの人だ。

「どうされました? 」

「……私は東部にある領地を一画、任されている者です。聖女様がいらっしゃる前に、我が領地に長雨がありました。その時、土砂崩れが起き甚大な被害がありました。その時のような悲劇が起こらないよう、事前に危険範囲を把握する事が出来ますでしょうか? 」

 土砂くれ……

「事前に把握ですか……以前まで川や湖・沼だったのが干上りその場所に何か建物を立てていたりすると、危険かもしれません。他には……長い棒を地面に突き刺し、深くまで入る場所は地盤が緩いと言われています」

「長い棒を突き刺す……ですか? 」

「はい。地盤が固ければ棒は刺さらないと思いますが、緩いと刺さってしまいます」

「そのような確認方法が……試してみます」

「はい」

 いくら聖女の言葉であっても、人によっては半信半疑だった。
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