【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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ある令嬢視点

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<ある令嬢視点>

 あれから聖女について調査した。
 聖女召喚の儀式は成功し、あの女が召喚されたというのは事実。
 大聖堂での儀式の後に白い煙も上がり聖女であることも証明されている。
 王族と教会が認めたという事になる。

「そもそも聖女の能力って何よ? 」
 
 使用人に聖女について調べさせたが、『国を救った』『聖女の存在が国を安寧に導く』『聖女不在は不幸を招く』等と言い伝えばかりで、実際に何をしたのかが書かれていない。

「本当は何もしてないんじゃないの? 」

 今の聖女より、以前の聖女と過ごした時間の方が長い。 
 なのでどうしても二人を比べ、以前の方が理想的な聖女と思ってしまう。
 本来の聖女は、数分の祈りとお茶会のみ。
 年齢を考えパーティーに参加できなかったので、補佐の私達が聖女の代わりに王族に挨拶をしていた。
 聖女は王族より格下ではあるが、どの貴族より格上。
 そこに爵位は関係ない。
 だけど、それでは満足できなかった。
 何故なら私以外にも補佐は四人いたから……
 聖女が亡くなり、新しく召喚された聖女も私を以前と同じ生活にさせてくれると思って補佐に名乗りを挙げた。
 それなのに面倒事ばかり。
 
「掃除は使用人に任せればいいのよ。聖女の仕事は国の平穏を祈る事」

 それこそが聖女の仕事なのに。
 その『祈り』さえ私達にせて……

「誰の祈りでも国の安寧になるなら、私が『聖女』になるわよ」 

 聖女召喚される前、一度補佐達の中から選出した時があった。
 聖女に選ばれた令嬢は過去に恨みを買っていた候補だったので、襲撃に遭った。

「ふっ、私はそんな事にはならない」

 鏡に映る自分に言い聞かせる。
 目の前の私はいつも美しく自信をくれる。
 
「ねぇ、私どうしたらいい? 」

 こんなに美しい私が王子の婚約者に選ばれないなんておかしい。
 こんなに美しい心を持つ私が聖女に選ばれないなんておかしい。
 
「おかしいことは訂正しないと……王妃も聖女も……相応しい人がなるべき。相応しい人……私……私こそ相応しい。王妃……それに聖女……」

 そうよ、私が聖女であり王妃になればいい。

「王妃を利用して聖女も一緒に……フフッ」

 その為には……
 
「ねぇ…………様」

 聖女補佐の仕事が終わり屋敷に戻る際、ある令嬢に私から声を掛けた。

「はい……」

「貴方、マドリゲス様に興味があるのかしら? 」

「ななななんんですか急に」

 明らかに動揺する令嬢の姿に私の勘が当たった事が証明された。

「んふ、良い事教えてあげる………………………………」

「まさか……そんなっ……」
 
 私の言葉を信じ、令嬢は驚愕した様子を見せる。
 その後も私は令嬢畳み掛ける。

「……に………………騒ぎを起こし、……に…………させ……を突きつければいいのよ……」

「そんな事したら……様は……様は……が……ですよね? 」

「大丈夫よ……の事も……の事も、あの……は公表できない。公表してしまったら……が……だと……れてしまう。……って、余計なことでしたね。私ったら…………様とマドリゲス様がお似合いだと思ってしまったから……」

「いえ。ありがとうございます…………様に、そんな風に思って頂けていた事を知ることが出来て嬉しかったです」

「この事は……」

「はい、誰にも言いません」

 話が終わると私はその場を離れた。
 言っておくが、私は提案をしただけ。
 脅迫した訳でも、命令した訳でもない。
 実行するかどうかは令嬢次第。

「フフッどうなるかしらねっ」

 馬車の中で今後どうなるか楽しみで仕方がない。
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