【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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聖女

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 訪れた王子は数日前に会った時と比べてかなり痩せた。

「……聖女……には……本当に力がないのか? 」

 聖女として召喚された私だが、大聖堂でも私が能力のある聖女ではないと判断されている。

「私に特別な能力は……」

 私の容疑が晴れたわけじゃないのは分かっている。
 だけど、それ以上に王女の容態が悪いのだろう。
 
「そうか……」

 過去にアヴィールと王妃を救う事は出来たが、その後私は能力を発揮できていない。
 今の私に能力はない。
 彼を期待させるような事はしたくない……

「お役に立て……ず」

 今まで言葉を遮るような無作法を王子から受けたことは無い。

「聖女……王女に会ってもらえないだろうか? 」

「……私に能力は……」

「それでも……頼めないか? 」

「王子様からの許可を頂けるのであれば……ですが、私が王女様に対面してもよろしいのでしょうか? その……まだ、私の容疑が晴れたわけではないですし……」

「聖女の事は初めから疑っていない」

「ん? そうなんですか? 」

「あぁ。聖女には話すが、周囲の者の犯行を疑っている」

「周囲の者ですか? それは……補佐の事ですか? 」

「あぁ。以前、聖女補佐の中から聖女を選出した時、聖女が襲われた話を覚えているか? 」

「はい」

「今回も同様だろう」

「……隣国の王女様が相手でも……そのような行動に出る方がいらっしゃるんですか? 」

「無欲な聖女には信じ難いかもしれないが、王族の婚約とは常に危険が伴う」

 過去に聖女補佐から聖女が選出されただけで事件が起きた話は聞いていた……
 贈り物をするにも、食べ物だけは選んではいけなかったのに……
 毒物なんて発想になかった為に、補佐達と共にどのお菓子がいいかを一緒に考えていた。
 
「……すみません。そうとは知らずに安易に贈り物をしてしまい……私能天気すぎますね」

 王子の婚約者が発表され、それでも残ってくれた補佐達を疑う事など一切なかった。

「いや、王女の方も毒味をした後に頂いたらしい」

「その毒味をされた方は? 」

「問題なかった」

「……問題……なかった……では、王女様が頂いた物だけに? 」

「そうなる」

 偶然王女が頂いた物だけに毒……
 王女を狙っての犯行にしては不確実……運に掛けた計画で杜撰な気もする。
 もし本当に王女が頂いた物だけに毒物が混入されていたのであれば、それを確実に王女に渡すのは難しい。
 王女側に共犯者がいないと……

「それだと……」

「あぁ、調査は全員している」

 全員というと、王女と共に隣国から来た使用人の事だろう。
 だから先程、王子は補佐とは断定せず『周囲の者』と言ったのだと理解した。

「そうなんですね……」

「……今から、サーシャリンに会ってもらえるか? 」

「はい」
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