【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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トランビーノ国 新たな噂

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 スノーミリアン・ノウエーが倒れた頃、平民の間で新な噂が飛び交っていた。
 
「王子の婚約者が倒れたらしい」
「王子の婚約者が変更になってから不運が続くな……」
「聞いたところによると、聖女様を追い出したのは公爵令嬢らしいぞ」
「はぁ? 聖女様を追い出した? 」
「王子の婚約者になる為に酷い事をして王宮にいられなくしたんだとよ」
「なんて奴だっ」
「聖女を追い出した天罰が下ったと言われてるらしいぞ」
「当たり前だっ、聖女様を追い出すなんて何を考えているんだっ」

 今まで公爵令嬢には食料を配給され感謝していた平民だが、その配給も止まり治安は悪化する一方で不満が溜まっていたので簡単に手のひらを返し始める。
 
「王子もなんで聖女と婚約解消しちまったんだ」
「その女に騙されていたんじゃないのか? 」
「全く、そんな女に騙されるなんて何やってんだ」
「今、聖女様の捜索の指揮を執ってるんだとよ」
「捜索ね……聖女は帰って来てくれるかね……」
「帰って来てくれねぇと困る」
「……聖女様」

 聖女がいた時は不満をぶちまけ相談事を解決させていた。
 それから公爵令嬢の施しを受け簡単に聖女を忘れ、治安が悪化したのは公爵令嬢と言われれば簡単に信じ聖女に助け求める平民。
 これでも彼らは『自分達は聖女を信仰している』と本気で思っている。
 彼らは気が付いていない。
 自分達が貴族に踊らされている事を。
 彼らの話している内容は、王宮内でも秘匿とされている情報。
 誰かが故意に公爵令嬢を陥れようとしている。
 そしてその噂は平民から貴族に伝わり、公爵令嬢の真価が問われ始めた。
 
「そんな噂が広まっているの? 」

 噂は王宮にも伝わり、ある人物に報告されている。

「ノウエー公爵令嬢が倒れるとは……これは聖女様を追放してしまった罰ね……」

 私はかつて同じ症状を発した。
 体調不良が続き、それでも公務を行っていた。
 だが無理をしたせいで、ある日吐血し意識を失った。
 私を救ったのは医師ではなく、聖女様だった。
 命の恩人を丁重にもてなし礼を尽くすのは当然で、当時の国王も同じ考えだった。
 だが、私の考えていない方向に話は進んでいき、聖女様は息子の婚約者になっていた。
 突然の事に驚くも私は納得したが、息子には想い人がいるのを婚約後に知る。
 大々的に公表してしまったので、今さら婚約に異議を唱えることも出来ず見守る事しかなかった。
 そして、国王が崩御すると周囲に促されるまま婚約解消を選択してしまった息子。
 私は私の恩人を助けることもせず、追放されていくのを目を伏せた。
 その罪が今我が国に降り注いでいる。
 国民は混乱し、国は疲弊、先の見えない不安が人々を支配。

「これは……天罰ね」
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