【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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パーティー

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 今回もエスコートはマドリゲスが担当する事になっていた。
 朝からパーティーの準備が行われ、時間が迫ってくると今までにない緊張をする。

「移動をお願いしまうす」

「はい」

 会場の控え室へと案内されると、既にマドリゲスの姿がある。
 ……彼はこんなに素敵な人だっただろうか?
 騎士服や平民に扮した恰好ばかり見慣れていた為、正装姿の彼を見ただけで心臓が煩くなる。
 
「ケイトリーン嬢、青が似合ってきたな」

 青はマドリゲスの色。
 本人にそんなことを言われて私はその言葉になんて返せばいい?
 
「はいっぃぇ……その……あわわ……」

「まだパーティーに緊張するのか? 」

 顔を覗き込まれると、あまりの近さに顔が熱くなる。
 
「あっいえっ……だっ大丈夫れす」

「俺が傍にいるから安心しろ」

 違う、貴方が傍にいるから私は冷静ではいられなくなる。
 使用人に呼ばれエスコートの為に彼の腕に触れる。
 彼の腕は以前からこんなに逞しい腕だったのだろか?
 冷静になろうとすればするほど、頭の中ではマドリゲスを分析し始める。
 会場に到着すると、見知った顔に遭遇する。

「まぁ聖女様っ。最近は忙しく補佐の仕事に窺えずにおりましたが、これからは以前のようにお仕えできますので安心してください。マドリゲス様は本日、聖女様の護衛なのですね。では、最初のダンスは私がお勤めいたしますわ」

 こちらの相槌を待たず、話が進んでいく。
 イニアスをエスコートしている男性がいる。
 彼を蔑ろにしてマドリゲスにダンスを申し込んでいるのは、二人に対して失礼な行動だと分かっていないのだろうか?
 それとも彼は家族か親戚なのだろうか?
 彼がどういう立場なのか分からない。
 以前からイニアスは自分に興味のある事を一方的に話す人だった。

「イニアス公爵令嬢、私はケイトリーン嬢のパートナーだ。令嬢とダンスをするつもりはない」

「……それでは、マドリゲス様の婚約者となる方が誤解されてしまいますわよ」

 イニアスは自身がマドリゲスの婚約者になる気満々のよう。

「俺が婚約を望んでいる方は誤解などしない」

「そうですわね。マドリゲス様が聖女様と婚約するとは私は考えておりませんわ。それでは、聖女様また後日……」

 マドリゲスとの会話を終えると、私とは挨拶程度で去ろうとする令嬢。
 イニアスから後日と言われ、今後聖女補佐に復帰する気でいるのだと予想出来る……
 イニアスの後方には私達の会話の成り行きを窺っているゼルーガの姿も視界に捕らえた。

「イニアス公爵令嬢」

「はい」

「聖女補佐は間に合っております」

「……それはどういう意味でしょうか? 現在聖女様を補佐しているのはワーグナー令嬢だけと聞き及んでおります」

「えぇ。ワーグナー令嬢一人で充分です」

「……補佐は、多い方が何かとよろしいのではありませんか? 」

「いえ、ワーグナー令嬢は有能な方ですので問題ありません」

「私が必要ないと? 」

 イニアスの眉間に皺が生まれ始める。
 
「私に仕えている時間、別の事に費やした方が有意義だという意味です」

「聖女様はご存じないかもしれませんが、聖女様が周囲を気にせず自由気ままに過ごす事であらぬ噂がありますのよ」

「あらぬ噂ですか? 」

「えぇ、聖女様がマドリゲス様を強引に連れまわしていると。マドリゲス様は王子の護衛騎士であって聖女様が連れ歩いていい方ではありませんのよ。マドリゲス様がお優しいから勘違いなさったみたいですが、誰も咎めなかったようですね。ですがご安心ください、今後は私が周囲に誤解が生まれるような事は控えるよう教えて差し上げますわ」

「イニ……」

「イニアス公爵令嬢、それは誤解だ。私が聖女を誘っている」

 私より先にマドリゲスが答える。

「誘って……マドリゲス様、それは私でなければ誤解を生む表現ですよ」

「いや、俺は聖女に婚約を申し込んだ」

 マドリゲスが「婚約を申し込んだ」と宣言した瞬間、周囲の者達が小さく反応する。
 気にしていない素振りで、私達の会話に興味津々らしい。

「婚……そんなっマドリゲス様は私とっ」

「イニアス令嬢との婚約は考えていない。他を探してくれ」

 周囲の目が気になり私達はイニアスを残しその場を離れる。

「すまない、ケイトリーン嬢の許可なく婚約を申し込んだことを口にしてしまった」

「いえっ、私は問題ありません」

「……婚約は断ってくれても構わない」

「えっ? 」

「断る権利があるので、周囲が騒いだとしても最後に決めるのはケイトリーン嬢自身だ」

 彼の優しさなのだと伝わる。

「私は……マドリゲス様と……したいと……」

「ん? 俺と何を? 」

「こ……ん約? 」

「ケイトリーン嬢……もう一度言ってくれないか? 」

「あっと……私は……マドリゲス様と……婚約を……したいと思って……おります……」

「…………本当かっ? 俺と婚約してくれるのか? 」

「はぃ」

「ありがとうっ」

 王族の挨拶や開始のダンスが終わり、招待客も参加できるダンスの時間になる。
 私達も周囲に混ざってダンスを行ったのだが、王子や王女だけでなくワーグナー令嬢にまで私達の変化を悟られた。
 パーティーの後日開催した王女主催のお茶会で二人に揶揄われ続け、三日後にはマドリゲスと私の婚約が正式発表された。
 貴族の婚約式には珍しく、王子と王女も参加している。
 マドリゲスは王子に揶揄われ受け流すかと思いきや、予想外に惚気る彼の姿に私が止めに入るも逞しい彼の腕に抱きしめられその日一番会場が盛り上がった瞬間だった。


【終わり】
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みんなの感想(12件)

kei-no
2025.05.01 kei-no

え?
おわり?
終わりですか?
ケイトリーンのラブラブバカップルエピは?w
もうちょっとだけくっついてからの二人の様子とかが見たかったです。

というか主人公聖女ってより官僚とか行政官に向いてますよね。
とても優秀みたいなので掃除の時間少し減らして王宮で仕事してもらった方がいいのでは?

あと、故国の性悪公爵令嬢にちょっと悪評吹き込まれたぐらいで母親の命の恩人に延々嫌がらせしつづけたクズ王子へのざまぁもみたかった。
今の所国が衰退するという個人ではなく間接の被害しかないので。

最後故国の公爵令嬢に毒もったの王妃様でしょうか?自分を害した犯人知ってやり返した?
後半の公爵令嬢視点で所々“王女”に毒をもったみたいな描写がありますが王妃の間違い?

しかし主人公を蔑ろにして傷つけた故国の王侯貴族や民衆は報いを受けろと思うけど、その中に能力に目覚めるくらいに仲良かった孤児院の子供達がいると思うとちょっとだけ複雑でした。


解除
ぴか
2025.04.10 ぴか

すごく面白かったです☺️
元の国がどうなったのか、公爵令嬢はなんで毒をもられたの?犯人は誰?

解除
かりりん
2025.04.08 かりりん

最後におわりとあり、びっくりしました。あの国の末路や無事に初恋を実らせた聖女のラブラブな様子等もおまけ話があれば嬉しいです。

解除

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