瓦解する甘い盾

流音あい

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二度目の接触、翻弄

5、対等を求める心

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 シャワーを浴びながら、きよみは満足している己の身体に苛立ちを覚えていた。彼に見透かされているのも頭にくる。本気で嫌がったら彼はどうするのか。それを検証するには本気で嫌がらなければならず、きよみにはその自信がなかった。身体は彼の言うように、彼から与える官能的な刺激を求めてしまっていた。そこにどうしようもない怒りがこみ上げる。

 きよみはいつも冷静だった。恋人やそうでない相手と身体の関係を持つことを、積極的に楽しんでいた。互いの性癖や好奇心を打ち明けて、一緒に楽しんでいくのが好きだった。
 なのに彼が相手では、いつも一方的になってしまう。自分の意思に反して身体が動き、彼を求め、奥へと誘ってしまいそうになる。それは対等な関係ではない。相手が優位になってしまう。

 最初に身体を重ねたときもそうだった。軽い戯れのつもりで、ちょっと上手いな、相性いいのかも、と軽く考えただけだった。けれど気付けば彼の手に、指に、舌に、触れ方に翻弄されていた。頭が真っ白になって、一方的に与えられる快楽のみを求めてしまっていた。きよみにはそれが耐えられなかった。

 相手だけが常に余裕で、自分だけがどうしようもない焦燥感に苛まれるのは不公平だ。肉体関係は対等でなければならない。そうでなければ性的搾取だ。そんなものは受け入れられない、認めない。
 流されてしまう自分に憤りを覚える。これ以上彼に関わってはいけない。彼を部屋に上げてはいけない。少なくとも完全に彼を拒否できる自分になるまでは。

 できるはずだ。今までも、身体を重ねた相手を本気で嫌いになったことはある。本気の拒絶は力が漲る。射殺さんばかりの視線をなげつけられる。恐怖よりも嫌悪感が勝つ。
 それを知っているからこそ、今の彼を拒否出来ていないのもわかるのだ。きよみはきれいに身体を洗い流し、念入りに彼に触れられたところを洗い、身を清めて部屋に戻った。

 彼は「俺もシャワー借りるね」とさっさと浴びて戻ってくると、優しげな声音で「大丈夫だよ、今日はもうしないから。ひと眠りしたら帰るね」そう言って、勝手にごろりとソファに横になり、寝息を立て始めた。
 そうして翌朝、彼は本当に「じゃ、またね」とあっさり帰っていった。安堵したのは本当だ。それをまた悟られたような気がして気に食わないが、とにかく二日続けて彼の相手をすることにならなくて助かった。きよみはほうっと息をつき、ゆったりと休日の続きを味わった。


 彼が再び家を訪れたのは、それから三日後のことだった。
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