瓦解する甘い盾

流音あい

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五度目の接触、対戦

13、探り合い

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「また来たんですか、先輩」
「この前のプレイをまた試してみたくなっちゃって」
 家の前で、彼がまた待ち伏せをしていた。

 前回、すっきりシャワーを浴びて出てくると、彼はまだ裸のままごろごろしていた。追い立てるように帰宅を促せば、納得していない顔をしながらも、彼はしぶしぶ帰っていった。
「大人しく出来るんですか」
「どうかな。でも挑戦しがいはあるかなって。それに、もうひとつ確かめたいことがあって」

 彼は瞳をのぞき込んでくる。

「あれってホントにきよみちゃんの性癖? それともなんか別の意図がある?」
「別の意図? 私は自分の好きなプレイを楽しんでるだけですが。無理強いする気はないので、嫌ならお帰りください」

 きよみは嘲るような笑みを浮かべた。

「嫌なわけじゃないよ。この前もクセになりそうって言ったでしょ。でもまだ慣れてないから、上手くできるかわからないんだよね。この前みたいに暴走しちゃうかも。それでも許してくれる?」
「どうでしょうね。でも努力は買ってあげますよ」
 きよみはドアを開け、彼を招き入れた。



 寝室へ入ると、ぐいと腰を抱き寄せられた。

「こうなることは想定済み?」
「ある程度までは。先輩が卑怯者だってことはよく知ってますから」

 手を離し、彼はベッドにどさりと腰を下ろした。

「やっぱりなんか怒ってるよね。俺きよみちゃんにそんなひどいこと言われる覚えないんだけど」

 そこはかとなく醸し出される固い空気を感じたらしく、彼は眉を下げる。

「この前もなんか変だなって思ってたんだよね。プレイ自体はいいんだけど、なんかいつものきよみちゃんじゃないみたいな。何を怒ってるの?」

 意外にも気付いていたらしい。少しだけ感心するが、溜飲が下がるほどではない。

「……怒ってませんよ」
「……やっぱ言葉は信用できない」

 きよみは彼の正面に立ち、自身のシャツのボタンを開けていく。それを眺める彼は、難しい顔をしていた。

「私としたいの? したくないの?」
「そりゃしたいよ」

 即答だった。立ち上がった彼が彼女の腰に手を回す。口付けしようと顔を寄せられ、きよみは身を引いた。彼の手をどかし、ボタンを外し終わった彼女は命令する。

「シャツを脱がせて」

 両手を開いて相手に委ねる。言われるがままに彼は行動した。支えを失ったシャツは足元にぱさりと落ちる。
 後ろ向きでベッドに進み、きよみは腰を下ろす。近づく彼に片脚を伸ばすと、相手は歩みを止める。

「脱がせて」

 跪いた彼が、彼女のスカートの中に手を入れて、薄いタイツを脱がせていく。両方とも脱がし終えると、膝に手を乗せた彼がきよみの太ももを撫でつける。

「先輩も脱いで」

 彼は従った。上を脱ぎ、下も脱ぎ、下着一枚の姿になった。ご丁寧にいつものようにポケットから避妊具を取り出すと、枕元においた。
 調子に乗った相手が顔を寄せてくるので、きよみはまた身を引いた。不満げな顔をする彼に、彼女は薄く笑って額に口づける。頬にも口づけると、相手の機嫌は直ったらしい。

 彼の頬に右手の指先を滑らせる。親指で彼の唇と戯れていると、相手は舌を出してきた。他の指でもその舌と遊びながら、左手は彼の胸板を撫でつける。
 きよみの右手に彼の手が添えられ、手首に口付けられる。もう片方の手は、彼女の腰を撫で始める。外そうとした両手を捕らえられ、きよみはベッドに倒された。

「こうやって力で押さえつけるのは簡単なんだけど」
「そうでしょうね」

 上からのぞき込まれるが、きよみの決意は揺らがない。

「キスしていい?」
「イヤ」
「してくれる?」
「ええ、私がしたくなった時に」
「俺は今したいんだけど」
「私は今したくないの」
「……ふぅん」

 手首から離れた彼の手が、きよみの腕を滑ってくる。見下ろしてくる熱い視線は、まるで全身を愛撫しているかのようだ。

「わかった。今日はどこから責められたい? きよみちゃんの言うとおりにしてあげるよ。今日は……こっちからにする?」

 身を起こした彼の手がスカートの中に入り込み、下着の上からお尻の両脇を撫でつける。今にも引きずり下ろしそうな気配をさせて、彼女の返答を待っている。

「脱がせてほしい?」

 きよみは答えずに身体を起こした。

「まずは先輩が全部脱いだら?」

 彼の手をそのままに、彼の下着を押し上げている硬くなった部分を、彼女はつま先で刺激する。にやりと笑った彼は下着を脱ぎ捨て、ベッドに腰かけるきよみの前に裸で跪く。
 きよみが自らスカートを取り去ると、相手の瞳に情欲が昂るのが見えた。

「ブラを外してくれます? 胸に触らないように」

 膝立ちになった彼は、きよみの背中に手を回し、ホックを外し、ストラップを肩から下ろして腕から引き抜いた。言葉通り、胸に触らないように成し遂げる。つんと上を向いたバストが、彼の眼前に晒される。

 きよみは彼の両手を掴んで自らの腰へと誘導し、ゆっくりと上下に動かして撫でさせた。意図を汲んだ彼は、彼女が手を離してもそれを続けた。呼吸と共に揺れる胸に、彼の視線が集中する。

 彼が唇を舐めた。彼女の胸を味わう準備でもするかのように。

 きよみが顔を寄せ、その唇にキスをすると、相手は性急に舌を絡めてくる。背中を撫でていた手が、ぎゅうと彼女を抱き締める。きよみは身体を離そうとしたが、簡単にはいかなかった。
 唇が離れると首筋に顔を埋められ、キスの嵐が降ってくる。彼の手を引き剥がそうと奮闘するが、やはり力では敵わない。きよみは抱き上げられ、再びベッドに押し倒されてしまった。
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