瓦解する甘い盾

流音あい

文字の大きさ
16 / 38
六度目の接触、やり直し

16、すれ違いの原因

しおりを挟む
 代わり映えもなく家の前に立つ男を、きよみは飽きもせず睨みつけた。

「まだご機嫌斜めだね、きよみちゃん。気難しい女の子の相手は難しいなあ」
「何しに来たんですか」
「仲直りしに」

 きよみは胡散臭そうな目を向ける。

「あのままじゃ、お互い消化不良じゃん?」
「お互い? 先輩だけでしょ。他のセフレのとこ行けば」

 彼の横を通り抜け、鍵を差し込んだ。

「きよみちゃんは最初から、俺のことセフレ扱いしてるもんね。ひどいなあ。俺は普通にきよみちゃんが好きで、口説いてるだけなのに」
「白々しい。私はセフレなんていたことないし、先輩に好き勝手されるまで、こんな経験ありませんでしたよ」
「え、そうなの? じゃ俺もう彼氏?」
「さようなら」
「待ってよ、きよみちゃん」

 今度は前のような失態はおかさない。がっちりとバッグを抱え込んで何も抜き取られないようにガードしながら、玄関扉を開ける。堂々と家に入って扉を閉めようとすると、何かが引っかかってドアが閉まらない。見るとつま先が挟まっていた。
 彼をひと睨みした後、彼の足を踏んづけてドアを閉めようとすると、がばっとドアが開けられて、相手の侵入を許してしまった。

「入っちゃった」

 にっこり笑う彼に絶句する。自分の読みの甘さをのろった。
 ガチャリと鍵をかけた相手は、腰を抱いて唇を重ねてくる。

「誤解してるようだけど、俺はきよみちゃんをセフレだなんて思ったこと一度もないよ。本気で口説いてる」
「どこがよ。ヤりたいだけでしょ」
「それはきよみちゃんの方でしょ。きよみちゃんがヤりたがるから、俺はきよみちゃんの求めるものを差し出してるだけ」

 反論しようした口を唇で塞がれ、ジーンズの上からお尻を揉まれる。脚の間には彼の膝が割り込んでくる。

「嘘ばっかり。自分の都合のいいように解釈してるだけでしょ」

 首に口づけを受けながら、きよみは彼を押しのけようとする。

「この前私が生理だって言ったら、すぐ帰ったじゃない。次の約束もせずに。ヤれないなら一緒にいる意味ないってことでしょ」
「違うよ。生理のときって男はあんまり傍に寄らない方がいいんでしょ。だから帰ったんだよ」
「誰がそんなこと言ったのよ」
「女の子ってみんなそうでしょ? イライラするから近寄るなって」
「そういう人もいるけど、寄り添ってほしいって人もいるでしょ。それじゃ恋人が生理になったらどうするのよ」
「極力近寄らないようにする、じゃないの?」

 向かい合い、瞳を重ね、相手の心の内を見る。彼はまじめに言っているらしい。

「……本気で言ってるの?」
「違うの?」

 直前までの熱い空気が、唐突に冷めてくる。瞳の奥の本音を見抜こうとするが、どれだけ見つめても、相手の表情は変わらなかった。

「今までそういう人とばかり付き合ってたの?」
「どうだろ。それが正解だと思ってたから、直接聞いたことはないかも」
「聞きなさいよ、相手にちゃんと」
「……ごめんなさい」

 素直に謝ってくる相手に、きよみはなんと言っていいのかわからなくなった。

「……とりあえず……上がって」
「お邪魔します」

 二人は寝室ではなく、リビングに向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...