瓦解する甘い盾

流音あい

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六度目の接触、やり直し

19、おあいこ

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「俺のことは気にしないでいいのに」

 荒い呼吸の彼女を、余裕しゃくしゃくな男の顔が見下ろしている。

「イきたいなら我慢しないでイっちゃっていいんだよ? きよみちゃん」
「先輩こそ、我慢しないで入れればいいのに」

 にやにやと優越感に浸っているような顔を睨んでやる。

「俺は我慢してるんじゃなくて、楽しんでるんだよ。きよみちゃんがあんまり可愛いからさ。ホント敏感だよね、きよみちゃんって」
「先輩がねちっこいだけじゃないですか。何でさっさと入れないのよ」
「入れる前にきよみちゃんがイっちゃうんだもん」
「イかせてるんでしょ」
「うん」

 彼の分身は、今にも爆発しそうに力強く上を向いているというのに、彼は爽やかさすら感じさせる笑みで頷いた。

「そんな状態で、私がもうおしまいって言ったらどうするんですか」
「一人でするしかないね。きよみちゃんのこと考えながら」

 微笑む彼は、暴力的な下半身をそのままに、彼女の脚をしっとりと撫でてくる。まだ余力があるとでもいうように。

「ふぅん……どんなふうに?」

 きよみは気だるさの残る身体を起こし、彼の硬い分身に手を伸ばす。指先でつつ、とくすぐると、そっと握り込む。

「こんなふうに?」
 ゆっくりと握った手を上下させると、彼の口から気持ちよさそうな呻きが漏れた。
「っ……そうだね」

 きよみの手を受け入れた彼は、大人しくされるがままになる。気を良くした彼女は、握る力を少しだけ強めた。眼前の苦悶の表情に、きよみもまた昂っていく。
 手の動きをそのままに、唇を重ねると、相手もしっかりと応えてくる。舌を触れ合わせているうちに、彼の呼吸が荒くなってくる。きよみは上下する手の動きを速めた。

「はぁ……ねえ、もうイきそうなんだけど」
「どうぞイってください、先輩」

 宣言からまもなくして、彼はきよみの手の中で果てた。



「これでおあいこですね、先輩」

 ティッシュで後処理をしてあげたきよみは、満足感で胸がいっぱいだった。性的な興奮よりも、奪われた宝物を取り返したような喜びが、大部分を占めている。
 くたりとソファにもたれている彼が、何か言いたげにこちらを見つめてくる。にやにやと優越感が滲む顔を隠す気もなく、きよみは素直に感情を乗せた瞳で見つめ返した。

「楽しそうだね、きよみちゃん」
「ええ、とっても」
「あっそ。それは良かった。でも次は、きよみちゃんの中でイきたいんだけど」
「いいですよ」

 彼が口付けてきた。腰に回った腕に抱き寄せられて、再び倒されそうになる。

「待って。私が上。先輩は座ってて」
「今も座ってたからいいじゃん。今度は俺が動きたい」
「先輩に任せると、またなかなか入れないで、イかされそう」

 彼はニッと口端をあげた。そのつもりだったらしい。

「やっぱりそうなのね」
「せっかくきよみちゃんが手でご奉仕してくれたんだから、俺もお返ししないとさ」

 体重をかけられれば、きよみはなすすべもなくソファに倒される。主導権を握ったような顔で唇を寄せられ、口付けには応えるものの、彼の意見には同意しない。

「ダメ。大人しくしてて」
「それ結構難しいんだよね。さっきも頑張ったじゃん俺。大人しくしてるのは一日一度くらいが限度だよ」

 手は既に彼女の身体を撫でまわし、あちこちに口づけを落としてくる。

「それにほら、どっちにしろ中を解さないとさ」
 彼の手が、脚の間に滑り込んでくる。ぬるりと彼女の蜜を纏った指が、彼をのみ込む場所に入り込む。
「んっ……」
 ゆっくりと入ってきた一本の指は、なめらかに優しく出入りを繰り返す。悪くない官能に、きよみの口からも艶を帯びたため息が漏れる。
 指をもう一本増やされた。宣言通り解すように動かされ、彼女の腰も揺れ始める。同時に唇と舌で胸を愛撫され、思わず身を任せそうになる。けれど、まだ耐えられる。

「ねえ、もう十分解れたから、先輩は大人しくして」
「んー? これ、やめていいの?」
「そうよ、やめてい……ぁあっ」

 彼の親指が敏感な粒を刺激した。

「すごい締まるね」
「ぁ……だから、離してってば。またイっちゃう」
「いいよ、イって」
「はぁ、もう……入れてよ」
「うん。でもまだゴム付けてないからさ」
「付けてよ、早く」

 彼はにやにや笑いながら、なかなか指の動きを止めようとしない。きよみの性感はまたどんどん高まっていく。更にもう片方の手と口で両胸を刺激されれば、快楽の連続に耐えられなくなってくる。

「あっ、せんぱ……また私、だけ……っっ」
 きよみの中は収縮し、彼の指を締め付けた。全身に甘い電気が走り、快感が駆け巡る。くたりと力を抜いた彼女から、彼はようやく手を引き抜いた。
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