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旅と出会いと冒険と
34話 兄の覚悟と鍛錬と
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月明かりだけが頼りの夜の森は、昼間とは全く違う顔を見せる。
月明かりに照らされた、木々のシルエットが黒い影となって浮かび上がり、風が葉を揺らすたびに、ざわ…、と低い音が森に響く。
その静寂の中、何かが動く…静かに……静かに……
パシャン
水面を跳ねる魚の音が、静寂を破るように響いた。
その音に目が覚めた私はテントから出る。そこにはすでにトーさんとウハハが居て
「早起きだな、おはようカナメ」
「ウハハ」
「おはようトーさん、ウハハ…2人ともちゃんと寝た?」
「ウハハの結界があるからちゃんと寝たよ。大丈夫だよ」
「ウァハハハ」
トーさんとウハハはニコニコ笑顔でそう返してきた。私はその笑顔を信じることにしてトーさんの横に座り早朝の川辺を見た。
川辺の風景は、まるで時間が止まったかのように静かで、心が洗われるようだ。朝日が川面を黄金色に染め、水面に反射した光が、宝石のようにきらめく。
「きれい…キラキラ」
私が景色に見入ってる間にトーさんは珈琲を淹れてくれた。市場のいつもの豆のいつもの珈琲をこのキレイな景色の中で。それだけでいつもの何倍もおいしく感じる。外だからと気を張っていたのだろう、それの力がフッと抜けた気がした。
パサ
テントの入口が開きお兄ちゃんが寝癖を付けて出てきた。まだ目がしょぼしょぼしてる。
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう、イル」
私たちの挨拶を聞きショボショボお目目が開いていく
「おはよう三人とも」
昨日ーからお兄ちゃんは変わった。変わったと言ってもどう変わったか言い難い。でも変わった。子供の成長って目を離したら一瞬なんだね…
焚火調理には慣れない私は携帯用魔道具のコンロを使い作り置きスープを温める
パンは焚火の方で炙るので辺りには香ばしい香りが広がって朝のお腹にダメージが。早く食べたい。
離れた場所ではトーさんがお兄ちゃんにスキルの使い方を伝えている。
アサシンであるトーさんとお兄ちゃんは同じスキル『隠密』『気配察知』の上げ方、使い方のレクチャーをしている。
「二人ともーーー!!スープ温まったよ!!戻っておいで!!」
「ウハハ!!ウハ!!」
ウハハも一緒に二人を呼ぶ!!ミョーンミョーン和む。
皆で食事をしながら今後の予定を話しあう。
次の街までの馬車は毎日走っているわけでは無く、村で2泊して移動らしい。大きな町に着いたら、折り返し帰る事になるらしい。
車のような速さがあるわけでもない、一番必要とするのは行商の人たち。町や村をめぐって商売をして、仕入れをしる。そして次に向かう。
自分たちだけで行うと御者も、護衛の冒険者も常に必要になるので、大店でない限り、こういう定期連絡馬車を使っての行商が行われる。馬車の運行所にとっても定期的な収入確保のためとても良い仕組みなのだろう。
「急ぐ旅でもない。歩いての移動でもいいんだが、今回は川辺で、魔獣の出現も少ないココがあるから、今日1日イルのスキル上達に時間が欲しい。明日、朝馬車に乗ってこの街を出よう。」
「いいよー。じゃあ私はウハハと採取できるもの探すね。」
【ミハイル 視点】
トーさんがカナメを遠ざけた。僕にはそう見えた。
彼女はウハハと一緒に川辺近くの森の中に素材採取に向かった。
「トーさん、カナ大丈夫?」
「ウハハが居るからドラゴンの一撃だって耐えられる。問題ない。」
え?あの愛らしいスライムがドラゴンの攻撃に耐えるの????困惑している僕を見て、トーさんは口角を上げた。
「イル、昨日の商店の親父の言葉覚えてるか?」
「店主さんの言葉?」
「そう。宿に居る冒険者たちの探し物」
「馬?だったよね」
「今日はその馬を探すぞ」
僕は目を見張った。え?なんで?仕事の横取りするの?
トーさんは僕が混乱しているのに気付いているけど何も否定せずただ、
「馬を探し出せたら俺がしようとしている事が分かる。」
と言ったきりスキル特訓が始まった。
「気配を察知するには集中して魔力をゆっくり放出。それを広げて薄く、薄く。もっと薄くだ」
ハァハァハァ…
僕は膝をついて息を荒げていた…
魔力がたいして高くない僕は、広範囲気配察知は使えない。それを使えるようにとトーさんが教えてくれているが、きつい。
「イル、魔力を掌に集中してみろ。俺が手を置いて気配察知を発動する。」
「え?魔力が通ってるのに何もない…感じ」
「この薄さで3キロ先の人間の動きも分かる
そう、ここから村の人間の動きも、森の中で動く何かも」
僕は息をのんだ……3キロ先って…
「イルは魔力量的に200mが限度だろう。それでも逃げるのに必要な時間は少しでも稼げる。隠密で気配を極限まで絶てば奇襲だって出来る。これがアサシンの戦い方だ」
僕は震える手を地面につけて集中してゆっくりゆっくり魔力を広げていく。薄く薄く。
薄く……
カポ、カポ、カポ
薄く……
ガサガサガサ
薄く…
俺の手の上にトーさんの手が重なる。
「上手いぞ、集中しろ」
薄く・薄く薄くウスクウスク・・・・
「そのまま神経広げた魔力に乗せる。集中して集中。」
頭の中に何かの気配がする、気配、気配、増えてる…
頭じゃない魔力の上に動くものの気配がする
こっちは大きい、あっちは小さい気配が多い多い多い・・・・・
目の前がくらくらする駄目だ駄目だ駄目だ…
せっかく今つかめそうなのに
つかめそう
何が?
気配が…
どんな気配
魔力を流した範囲の上に……動く
動く…何かが浮き上がってくるそんな地図みたいな…
「stop!!イル今日の稽古は終了だ」
ハァハァハァハァハァ…
気持ち悪い…何コレ……世界が回る………
月明かりに照らされた、木々のシルエットが黒い影となって浮かび上がり、風が葉を揺らすたびに、ざわ…、と低い音が森に響く。
その静寂の中、何かが動く…静かに……静かに……
パシャン
水面を跳ねる魚の音が、静寂を破るように響いた。
その音に目が覚めた私はテントから出る。そこにはすでにトーさんとウハハが居て
「早起きだな、おはようカナメ」
「ウハハ」
「おはようトーさん、ウハハ…2人ともちゃんと寝た?」
「ウハハの結界があるからちゃんと寝たよ。大丈夫だよ」
「ウァハハハ」
トーさんとウハハはニコニコ笑顔でそう返してきた。私はその笑顔を信じることにしてトーさんの横に座り早朝の川辺を見た。
川辺の風景は、まるで時間が止まったかのように静かで、心が洗われるようだ。朝日が川面を黄金色に染め、水面に反射した光が、宝石のようにきらめく。
「きれい…キラキラ」
私が景色に見入ってる間にトーさんは珈琲を淹れてくれた。市場のいつもの豆のいつもの珈琲をこのキレイな景色の中で。それだけでいつもの何倍もおいしく感じる。外だからと気を張っていたのだろう、それの力がフッと抜けた気がした。
パサ
テントの入口が開きお兄ちゃんが寝癖を付けて出てきた。まだ目がしょぼしょぼしてる。
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう、イル」
私たちの挨拶を聞きショボショボお目目が開いていく
「おはよう三人とも」
昨日ーからお兄ちゃんは変わった。変わったと言ってもどう変わったか言い難い。でも変わった。子供の成長って目を離したら一瞬なんだね…
焚火調理には慣れない私は携帯用魔道具のコンロを使い作り置きスープを温める
パンは焚火の方で炙るので辺りには香ばしい香りが広がって朝のお腹にダメージが。早く食べたい。
離れた場所ではトーさんがお兄ちゃんにスキルの使い方を伝えている。
アサシンであるトーさんとお兄ちゃんは同じスキル『隠密』『気配察知』の上げ方、使い方のレクチャーをしている。
「二人ともーーー!!スープ温まったよ!!戻っておいで!!」
「ウハハ!!ウハ!!」
ウハハも一緒に二人を呼ぶ!!ミョーンミョーン和む。
皆で食事をしながら今後の予定を話しあう。
次の街までの馬車は毎日走っているわけでは無く、村で2泊して移動らしい。大きな町に着いたら、折り返し帰る事になるらしい。
車のような速さがあるわけでもない、一番必要とするのは行商の人たち。町や村をめぐって商売をして、仕入れをしる。そして次に向かう。
自分たちだけで行うと御者も、護衛の冒険者も常に必要になるので、大店でない限り、こういう定期連絡馬車を使っての行商が行われる。馬車の運行所にとっても定期的な収入確保のためとても良い仕組みなのだろう。
「急ぐ旅でもない。歩いての移動でもいいんだが、今回は川辺で、魔獣の出現も少ないココがあるから、今日1日イルのスキル上達に時間が欲しい。明日、朝馬車に乗ってこの街を出よう。」
「いいよー。じゃあ私はウハハと採取できるもの探すね。」
【ミハイル 視点】
トーさんがカナメを遠ざけた。僕にはそう見えた。
彼女はウハハと一緒に川辺近くの森の中に素材採取に向かった。
「トーさん、カナ大丈夫?」
「ウハハが居るからドラゴンの一撃だって耐えられる。問題ない。」
え?あの愛らしいスライムがドラゴンの攻撃に耐えるの????困惑している僕を見て、トーさんは口角を上げた。
「イル、昨日の商店の親父の言葉覚えてるか?」
「店主さんの言葉?」
「そう。宿に居る冒険者たちの探し物」
「馬?だったよね」
「今日はその馬を探すぞ」
僕は目を見張った。え?なんで?仕事の横取りするの?
トーさんは僕が混乱しているのに気付いているけど何も否定せずただ、
「馬を探し出せたら俺がしようとしている事が分かる。」
と言ったきりスキル特訓が始まった。
「気配を察知するには集中して魔力をゆっくり放出。それを広げて薄く、薄く。もっと薄くだ」
ハァハァハァ…
僕は膝をついて息を荒げていた…
魔力がたいして高くない僕は、広範囲気配察知は使えない。それを使えるようにとトーさんが教えてくれているが、きつい。
「イル、魔力を掌に集中してみろ。俺が手を置いて気配察知を発動する。」
「え?魔力が通ってるのに何もない…感じ」
「この薄さで3キロ先の人間の動きも分かる
そう、ここから村の人間の動きも、森の中で動く何かも」
僕は息をのんだ……3キロ先って…
「イルは魔力量的に200mが限度だろう。それでも逃げるのに必要な時間は少しでも稼げる。隠密で気配を極限まで絶てば奇襲だって出来る。これがアサシンの戦い方だ」
僕は震える手を地面につけて集中してゆっくりゆっくり魔力を広げていく。薄く薄く。
薄く……
カポ、カポ、カポ
薄く……
ガサガサガサ
薄く…
俺の手の上にトーさんの手が重なる。
「上手いぞ、集中しろ」
薄く・薄く薄くウスクウスク・・・・
「そのまま神経広げた魔力に乗せる。集中して集中。」
頭の中に何かの気配がする、気配、気配、増えてる…
頭じゃない魔力の上に動くものの気配がする
こっちは大きい、あっちは小さい気配が多い多い多い・・・・・
目の前がくらくらする駄目だ駄目だ駄目だ…
せっかく今つかめそうなのに
つかめそう
何が?
気配が…
どんな気配
魔力を流した範囲の上に……動く
動く…何かが浮き上がってくるそんな地図みたいな…
「stop!!イル今日の稽古は終了だ」
ハァハァハァハァハァ…
気持ち悪い…何コレ……世界が回る………
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