69 / 244
愚王の崩壊
68話 ミハイルと傷だらけの王子様の邂逅
しおりを挟む
王立学園の学園寮。夜7時の門限になると寮の出入り口は閉まり、敷地外で警備の騎士が何人か見回りをしている。辺りは暗く、各入口等に魔石灯の柔らかいオレンジ色の明かりが灯っている。
先ほど生徒たちが食堂から引き上げて、まだ各部屋の明かりは消えることなく煌々と灯る中、3階南から2つ目の窓が夜9時近くにコンコンと鳴った。
静まり返った部屋で、今日一日の出来事を振り返り日記を書こうとしていたミハイルは、その音に笑顔で反応した。
ミハイルがカーテンを開けると、夜の星空よりも黒い身体の黄昏がそこに居た。笑顔でミハイルは挨拶をした。
「こんばんは、黄昏様。今宵は過ごしやすいですね」
ニコニコ黄昏に挨拶したら、聞きなれない声が聞こえた。
「この馬は君の馬なの?タソガレって言う名前なのかい?」
それは若い男性の声。ミハイルは首を傾げ黄昏を見る。黄昏は少し移動して背中を見せる。背中には若い男性が一人乗っている。顔も頭も、訓練着の様な服も泥と血で汚れている。男性と目が合い、ミハイルは困惑しながらも自然と頭を下げると黄昏様が小さな声で
「部屋に入れてあげて(ヒッヒヒン)」
言われ、ミハイルは男性に小声で声をかけた。
「その薄着では寒いでしょう。中にどうぞ。傷の手当てもしますし、温かい飲み物もお出しします。」
男性はミハイルの手を取り部屋に入った。男性の手は冷えきっており少し震えていた。部屋に入った男性を椅子に座らせ毛布を掛ける。部屋にはお茶を入れる用の魔道具が置いてあるので、それで温かい湯を沸かし半分はタライに、半分でお茶を入れる。お茶の葉が開く待ち時間の間に、タライのお湯を触るには少し熱めの温度にしてタオルを絞り、ホットタオルを作って男性の元に持って行った。
「ひとまず、これでお顔と手をお拭きください。だいぶ血が出ていたようなので…すぐ温かいお茶持ってきますね。」
ニッコリ笑ってミハイルがその場を去ると、渡されたタオルを握り男は自分の状態を思い出したかのように顔や首、手を拭いていった。タオルはすぐに血や泥がつき真っ黒になった。
お茶を二人分持って水場から戻ってきたミハイルは、男性の顔から血の跡がなくなり、顔に傷がない事を見て安堵した。
「すまない、こんな夜更けにこんな格好でお邪魔して」
「いえ、黄昏様が連れてきた方ですから。何かご事情がおありなのでしょう」
そう言って微笑むミハイルを見て男性はおずおずと聞いてきた。
「あの馬は、タソガレと言う名なのかい?」
「はい。僕の友人なんです。」
ミハイルが、窓の外を見ると黄昏様は小声で
「そうよ~あたしはイルイルの友人兼守り手なの~あなたならアタシの事『ターちゃん』って呼んで良いわよ(ヒッヒン~ヒン)」
ミハイルはどうしようと思いつつ、傷だらけでボロボロになった男性を見て、通訳を買って出ることにした。
「えっと彼女があなたになら『ターちゃん』って呼んでも良いって言ってます」
ミハイルが黄昏の言葉を伝えると、男性は目を丸くして驚いていた「ターちゃん?」と呟き聞いてきた。
「馬の言葉が分かるのかい?」
ミハイルはコクリと頷き「はい。彼女の言葉だけですが」と伝えると、男性は
「すごい…聖女様以外で動物の言葉が分かる人を初めて見た……」
そう感心され、ミハイルは照れながら彼の言葉に引っかかりを覚えた。『聖女様以外で…』と言う事はこの人は聖女様にあったことがある人なのでは…と思案していると、黄昏から声がかかった。
「ちょっと烏に連絡取れる?この子保護して欲しいのよ。(ヒヒーンヒン)」
僕はコクリと頷くと、男性に「少し失礼します」っと断り、黄昏の前でイヤーカフに魔力を流しトーさんに声をかけた。
「トーさん、今時間大丈夫ですか?」
『おぅイルどうした?』
「黄昏様がトーさんと連絡とりたいと来られました」
『はぁー、あいつかよ、しゃーないな、イヤーカフを黄昏につけてくれ』
「黄昏様、イヤーカフお耳に着けても良いですか?」
「良いわよ~よろしくね~(ヒヒーン)」
自分の耳から黄昏の耳にイヤーカフを付けると黄昏様はトーさんと話はじめた。僕は男性の方を振り返り声をかけた
「夕食は食べられましたか?」
男性は首を横に振り
「そういえば朝食べてから何も口にしてなかった」
僕は慌ててカナから預かった時間停止のポーチ型マジックバックから1食分の晩御飯セットを取り出した。男性は目を丸くしてから微笑んだ。
「これは、凄いな。ありがとう」
これは何かあった時、必要だからとトーさんがマジックバック型のポーチを用意して、中の食事は伯爵家にいる時に、カナが用意してくれた。何があるかわからないから、1ヵ月はこれさえあれば大丈夫と。
カナの御飯が恋しくなったら中の食事を食べてと嬉しい言葉つきで。食べたら食べた分、お菓子や、パンを買っては入れている。そのおかげで今回も大助かりだ。
食事はサンドイッチタイプは1食分を紙に包まれ、ご飯タイプは四角い箱に入れられたお弁当タイプ。いつでもどこでも食べられるようにとカナメの折り紙付きだ。もちろん作ったその後すぐに時間停止のバックに入れているのでどれも温かい。
今はお腹減ってるだろうから、ご飯タイプのお弁当とスープを別に出した。スープは野菜がたっぷり入った味噌汁だ。
「うまいな。この食事は凄く旨い」
男性は優雅な所作で食事を口に運ぶ。ただご飯を食べているだけなのに、凄く気品を感じる。そう思い見ていて気付いた。僕この人に名乗ってないと、
「あの…お食事中に失礼します。僕…いえ……私はストーティオン伯爵家嫡男 ミハイル・ストーティオンと申します。貴方のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
男性はもぐもぐと咀嚼していて、自分も名乗ってない事に気づいた様で、顔を真っ赤にして手を前に出した。少し待っての合図だと分かり、待っていると男性は、背筋を伸ばしこちらに向き直り頭を下げた。
「私とした事が礼をかいていた。申し訳ない。
私は、ルクレチア・ドゥ・オーラシアン 」
「ルクレチア・ドゥ・オーラシアン…オーラシアン?」
オーラシアンて‥‥まさか、僕は固まって男性を見た。ルクレチアと名乗った男性は悲し気に微笑んだ。
「そうだね、私はこの国の肩書だけの第3王子だ」
先ほど生徒たちが食堂から引き上げて、まだ各部屋の明かりは消えることなく煌々と灯る中、3階南から2つ目の窓が夜9時近くにコンコンと鳴った。
静まり返った部屋で、今日一日の出来事を振り返り日記を書こうとしていたミハイルは、その音に笑顔で反応した。
ミハイルがカーテンを開けると、夜の星空よりも黒い身体の黄昏がそこに居た。笑顔でミハイルは挨拶をした。
「こんばんは、黄昏様。今宵は過ごしやすいですね」
ニコニコ黄昏に挨拶したら、聞きなれない声が聞こえた。
「この馬は君の馬なの?タソガレって言う名前なのかい?」
それは若い男性の声。ミハイルは首を傾げ黄昏を見る。黄昏は少し移動して背中を見せる。背中には若い男性が一人乗っている。顔も頭も、訓練着の様な服も泥と血で汚れている。男性と目が合い、ミハイルは困惑しながらも自然と頭を下げると黄昏様が小さな声で
「部屋に入れてあげて(ヒッヒヒン)」
言われ、ミハイルは男性に小声で声をかけた。
「その薄着では寒いでしょう。中にどうぞ。傷の手当てもしますし、温かい飲み物もお出しします。」
男性はミハイルの手を取り部屋に入った。男性の手は冷えきっており少し震えていた。部屋に入った男性を椅子に座らせ毛布を掛ける。部屋にはお茶を入れる用の魔道具が置いてあるので、それで温かい湯を沸かし半分はタライに、半分でお茶を入れる。お茶の葉が開く待ち時間の間に、タライのお湯を触るには少し熱めの温度にしてタオルを絞り、ホットタオルを作って男性の元に持って行った。
「ひとまず、これでお顔と手をお拭きください。だいぶ血が出ていたようなので…すぐ温かいお茶持ってきますね。」
ニッコリ笑ってミハイルがその場を去ると、渡されたタオルを握り男は自分の状態を思い出したかのように顔や首、手を拭いていった。タオルはすぐに血や泥がつき真っ黒になった。
お茶を二人分持って水場から戻ってきたミハイルは、男性の顔から血の跡がなくなり、顔に傷がない事を見て安堵した。
「すまない、こんな夜更けにこんな格好でお邪魔して」
「いえ、黄昏様が連れてきた方ですから。何かご事情がおありなのでしょう」
そう言って微笑むミハイルを見て男性はおずおずと聞いてきた。
「あの馬は、タソガレと言う名なのかい?」
「はい。僕の友人なんです。」
ミハイルが、窓の外を見ると黄昏様は小声で
「そうよ~あたしはイルイルの友人兼守り手なの~あなたならアタシの事『ターちゃん』って呼んで良いわよ(ヒッヒン~ヒン)」
ミハイルはどうしようと思いつつ、傷だらけでボロボロになった男性を見て、通訳を買って出ることにした。
「えっと彼女があなたになら『ターちゃん』って呼んでも良いって言ってます」
ミハイルが黄昏の言葉を伝えると、男性は目を丸くして驚いていた「ターちゃん?」と呟き聞いてきた。
「馬の言葉が分かるのかい?」
ミハイルはコクリと頷き「はい。彼女の言葉だけですが」と伝えると、男性は
「すごい…聖女様以外で動物の言葉が分かる人を初めて見た……」
そう感心され、ミハイルは照れながら彼の言葉に引っかかりを覚えた。『聖女様以外で…』と言う事はこの人は聖女様にあったことがある人なのでは…と思案していると、黄昏から声がかかった。
「ちょっと烏に連絡取れる?この子保護して欲しいのよ。(ヒヒーンヒン)」
僕はコクリと頷くと、男性に「少し失礼します」っと断り、黄昏の前でイヤーカフに魔力を流しトーさんに声をかけた。
「トーさん、今時間大丈夫ですか?」
『おぅイルどうした?』
「黄昏様がトーさんと連絡とりたいと来られました」
『はぁー、あいつかよ、しゃーないな、イヤーカフを黄昏につけてくれ』
「黄昏様、イヤーカフお耳に着けても良いですか?」
「良いわよ~よろしくね~(ヒヒーン)」
自分の耳から黄昏の耳にイヤーカフを付けると黄昏様はトーさんと話はじめた。僕は男性の方を振り返り声をかけた
「夕食は食べられましたか?」
男性は首を横に振り
「そういえば朝食べてから何も口にしてなかった」
僕は慌ててカナから預かった時間停止のポーチ型マジックバックから1食分の晩御飯セットを取り出した。男性は目を丸くしてから微笑んだ。
「これは、凄いな。ありがとう」
これは何かあった時、必要だからとトーさんがマジックバック型のポーチを用意して、中の食事は伯爵家にいる時に、カナが用意してくれた。何があるかわからないから、1ヵ月はこれさえあれば大丈夫と。
カナの御飯が恋しくなったら中の食事を食べてと嬉しい言葉つきで。食べたら食べた分、お菓子や、パンを買っては入れている。そのおかげで今回も大助かりだ。
食事はサンドイッチタイプは1食分を紙に包まれ、ご飯タイプは四角い箱に入れられたお弁当タイプ。いつでもどこでも食べられるようにとカナメの折り紙付きだ。もちろん作ったその後すぐに時間停止のバックに入れているのでどれも温かい。
今はお腹減ってるだろうから、ご飯タイプのお弁当とスープを別に出した。スープは野菜がたっぷり入った味噌汁だ。
「うまいな。この食事は凄く旨い」
男性は優雅な所作で食事を口に運ぶ。ただご飯を食べているだけなのに、凄く気品を感じる。そう思い見ていて気付いた。僕この人に名乗ってないと、
「あの…お食事中に失礼します。僕…いえ……私はストーティオン伯爵家嫡男 ミハイル・ストーティオンと申します。貴方のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
男性はもぐもぐと咀嚼していて、自分も名乗ってない事に気づいた様で、顔を真っ赤にして手を前に出した。少し待っての合図だと分かり、待っていると男性は、背筋を伸ばしこちらに向き直り頭を下げた。
「私とした事が礼をかいていた。申し訳ない。
私は、ルクレチア・ドゥ・オーラシアン 」
「ルクレチア・ドゥ・オーラシアン…オーラシアン?」
オーラシアンて‥‥まさか、僕は固まって男性を見た。ルクレチアと名乗った男性は悲し気に微笑んだ。
「そうだね、私はこの国の肩書だけの第3王子だ」
243
あなたにおすすめの小説
できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―
愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。
彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。
魔法は使えない。
体は不器用で、成長も人より遅い。
前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。
けれどこの世界には、
見守り支えてくれる両親と、
あたたかい食卓があった。
泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、
彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。
これは、
最強でもチートでもない主人公が、
家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す
生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。
……の、予定です。
毎日更新できるように執筆がんばります!
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~
杵築しゅん
ファンタジー
戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。
3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。
家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。
そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。
こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。
身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
勇者召喚に失敗したと捨てられましたが、魔王の家政婦になりました。
藤 ゆみ子
ファンタジー
家政婦として働いていた百合はある日、会社の倒産により仕事を失った。
気が沈んだまま家に帰り、おばあちゃんの仏壇に手を合わせていると突然知らない場所にいた。
訳がわからないまま、目の前にいる神官に勇者の召喚に失敗したと魔王の棲む森へと捨てられてしまう。
そして魔物に襲われかけたとき、小汚い男性に助けられた。けれどその男性が魔王だった。
魔王は百合を敵だと認識し、拘束して魔王城へと連れていく。
連れて行かれた魔王城はボロボロで出されたご飯も不味く魔王の生活はひどいありさまだった。
それから百合は美味しいご飯を作り、城を綺麗にし、魔王と生活を共にすることに。
一方、神官たちは本物の勇者を召喚できずに焦っていた。それもそう、百合が勇者だったのだから。
本人も気づかないうちに勇者としての力を使い、魔王を、世界を、変えていく。
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした。今さら戻れと言われても、もうスローライフ始めちゃったんで
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。
家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、
優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、
俺は必死に、置いていかれないようについていった。
自分には何もできないと思っていた。
それでも、少しでも役に立ちたくて、
誰にも迷惑をかけないようにと、
夜な夜な一人でダンジョンに潜り、力を磨いた。
仲間を護れるなら…
そう思って使った支援魔法や探知魔法も、
気づかれないよう、そっと重ねていただけだった。
だけどある日、告げられた。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、優しさからの判断だった。
俺も分かっていた。だから、何も言えなかった。
こうして俺は、静かにパーティを離れた。
これからは一人で、穏やかに生きていこう。
そう思っていたし、そのはずだった。
…だけど、ダンジョンの地下で古代竜の魂と出会って、
また少し、世界が騒がしくなってきたようです。
◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる