安全第一異世界生活

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愚王の崩壊

71話 「愚王」と呼ばれる男 2

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そのピンク色の美しい髪の娘は2週間前にテグルダ侯爵が連れてきた、10歳だったか、侯爵はそう言っていた。そして確か声が出せぬと……
コルドナは娘を大切に抱きしめこちらに向かって声をかけてきた。

「王よ、私は娘が消えてから生きた心地がしなかった。さらわれた我が愛娘がこのようなものを付けて王の横に侍らされて居たことにお聞かせていただきたい」

辺境伯は私の前に何かを投げ落とした。見るとそれは昨日まで娘の首についていた首輪だった。私の所に連れてこられた時にはもうついていた奴隷の首輪だ…私は背中に汗が伝うのを感じた

この国では奴隷は違法ではない。違法なのは未成年の奴隷だ。親の借金のかたに売られるなどをよけるため表では決して扱われない。扱った時点で、所持してる時点で犯罪になるからだ。国王が法律を無視していいわけではない。
どうする!どうする!どうするんだ!!

「お父様、わたくしあの首輪をつけられてどんな怖い想いをするのかと、とても恐ろしかったのです。ですが国王様は優しく頭をなでお話をしてくださいました。ねー国王様?」

ピンク色の髪の娘、アリーシャはニッコリ笑って私を見た

「アリーシャ‥‥無理はしなくて良いんだよ。」

アリーシャは首を横に振り辺境伯に抱き着いた。

「わたくしを国王様に連れて行ったのはテグルダ侯爵ですわ。わたくしを辺境伯の娘と分かったうえで国王様に差し出したのです。わたくし、首輪の魔術のせいで口がきけなくなっておりましたので国王様にその事を進言することもできず悔しかったのです。」

「ねーお父様、わたくしたちこの国の為、民の為と日夜魔獣と戦ってきましたのに、教会に裏切られ、わたくしは国王様の奴隷にされ、もうこの国に居るのが嫌になりましたわ。」

「……アリーシャ」

娘の言葉に辺境伯は沈痛な表情をしている。まさか…辺境伯が国を捨てると言うのか?この流れはまずいのではないのか!私は宰相に助けを求めようと宰相の方を向いた

「なので国王様!私達南の辺境伯領を独立させてくださいませ」

「「は?」」

私と辺境伯の声が重なった。宰相は目が点になっている。

「法律では未成年の奴隷は王国法で禁止のはず。国王様にも法律は適用されますわ。違法奴隷ですもの。でも他国から流れてきたものを保護していただけではいかがでしょう?少なくとも国王様にお咎めが行くことはございませんわ。その代わりわたくしを奴隷として捕まえたテグルダ侯爵には罰を与えてくださいませ。お父様は隣の領のテグルダ侯爵から何度も嫌がらせを受けておりました。それが国を隔てたら、へたしたら国際問題なりますでしょう?嫌がらせも避けられ一石二鳥ですわ♡」

まるで良いことを思いついたと言わんばかりに無邪気に手を叩いて提案する

「わたくしからのお願い聞いてくださいますわよね。」

少女は父親の腕から抜け出しこちらにまっすぐ向かい合い、およそ10歳の少女とは思えない妖艶な微笑みで私を見て

「ロナウジール・ド・オーラシアン国王陛下♡」

優しく・甘い蜜の様な声音で、のど元に刀の切っ先を突き付けられた心地がした。私は頷く以外の選択肢を取ることが出来なかった。口がきけないと言う彼女には、いろいろな秘密を話していたから。

ジャルの森に接し、日夜魔物との攻防戦を繰り広げるコルドナの辺境地はこうしてオーラシアン王国から抜け、建国することになった。それはオーラシアン王国の領土12分の1が国から無くなったと言う事である。宰相は今後の国の運営をどうしようかと頭を抱えたく魂はこの場に居ても半分は抜けたような気持ちであった。

ただしこの建国発表は4ヵ月後に王城で開催する『陽光の庭園会』と『春の夜会』昼と夜に大規模に行われる社交の時と定めた。

今回の辺境伯領内の孤児たちの件で謁見当初、辺境伯を「ギャフン」っと言わせる気満々だった陛下は、アリーシャ嬢に「ギャッフン」と言わせられしっぽを巻いて逃げている。嘆かわしい‥‥国王はよろよろと謁見の間をさっていった。
コルドナ親子も辺境の地の建国準備・各国に知らせ、まずいろいろな準備をしなければならず、今月末までの税収の支払いなど文官等との話し合いになる。世界地図も変わる。

今後の事をコルドナ殿と話すべく、1度でも奴隷となった過去を持つアリーシャ・コルドナ嬢は建国にあたり一国の姫となる。
それでも今後婚姻の打診など無いかもしれないとコルドナ殿に言うと、実は彼女10歳にして冒険者ランクCの実力者。貴族との婚姻など、はなから願ってなどいなかったのだと辺境伯は笑っていた。ただ念には念を入れ、聖女様に乙女かどうかの診断だけ頼むと言って腕を組んでいた。
それによって、オーラシアン王家に対する対応が変わると言っていた。

3か月後までに、どうにかこの処理をしなければならないと胃をきりきりさせて日々の職務に忙殺されていた私の所に息子が行方不明になったと言う知らせが届いた。
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