86 / 244
愚王の崩壊
85話 暗躍する者 トーさん編
しおりを挟む
※この話は81話が終わった後の時間軸です
皆との話し合いを終え、僅かに休息を取ると、すぐに動き出した。カナメが元護衛騎士と会う前に一度帰宅する必要がある。
闇魔法の使い手は日中よりも夜を好む。
あちらにも王宮魔術師団・闇魔法の使い手の爺さんが居ると聞く、警戒を怠るべきでは無い。慎重に進めねば…
闇夜に浮かび上がる白亜の城。本来ならば影渡りで容易に侵入したいところだが、今は我慢だ。
王城の周囲は警備のため、騎士、兵士、文官が交代で常駐しており、関係者が出入りする通用門が存在する。
その通用門にて、騎士に『宰相閣下への緊急の案件のため』と記された入城のための書状を手渡した。書状にはストーティオン伯爵家の紋章印が確かに押されており、騎士はそれを疑うことなく通した。
城内に入ると、まず最大限に存在感を希薄にし、気配を断った。宰相閣下の執務室方面へと歩を進める。急がず、静かに。周囲の気配を探りながら。
やはり、裏手の方が不穏な気配が濃い。
そちらか…おぉ? 大きく息を吐き、ゆっくりと気配を戻しながら、そのまま宰相執務室の扉の前に到着した。扉の前には騎士が一人。俺は彼に礼をし、書状を示した。
書状の印を確認した騎士は頷き、扉を叩いた。
『コンコン・コン』一拍置いてのノックか…簡単な確認だろう。
扉が開き、側近の男が現れた。彼に書状を手渡し
「ストーティオン伯爵様からの宰相閣下への緊急の知らせです。こちらでお返事をお待ちしております。」
そう言って俺が礼をすると、側近の男は頷き、扉を閉じた。騎士が立っている扉の反対側に身を置き、静かに待機した。中からは、何かがぶつかるような音が聞こえてくる。
その音を聞きながら、俺は騎士に話しかけた。
「夜分に騎士殿もご苦労様です」
騎士は疑念を抱きつつも、義務的な態度で正面に向き合い、事務的な返答をした。
「職務にございます。貴殿も同様でしょう。」
「私は今回限りの使いでございます。たまたま邸に足の速い者が私しかおりませんでしたので。」
「う、足が速いとは羨ましい限りですな。」
「恐れ入ります。私は騎士殿のような剣術の才はございませんので、逃げ足ばかり鍛えておりまして。」
俺も正面を向いたまま苦笑すると、騎士は小さく笑った。
「できれば日中に参上したかったのですが。これほど暗いと、せっかくの庭園も拝見できません。この時期ならば、さぞかし美しい花々が咲き誇っているのでしょうね。」
「ええ。休憩時などに解放されている場所では、美しい花々に心を癒されております。」
「貴殿も植物がお好きで? 実は私もでして。娘は花よりも薬草一筋でして。せめて女の子なのですから、もう少し花を愛でてほしいのですが。」
フフフ、騎士と軽く微笑んでいると、背後の扉が開き、先ほどの側近が驚いた表情で顔を出した。
「ザーワ殿が…お話しされている…」
騎士が咳払いをすると、出てきた側近はハッとしたように俺に声をかけた。
「伯爵の使いの方、どうぞお入りください。宰相閣下がお話をお待ちかねです。」
俺は騎士に一礼すると中に入っていった。
中に入るとすぐに、側近が耳元で囁いてきた。
「ザーワ殿は滅多に口を開かれないと伺っておりましたが…一体何を話されていたのですか?」
「草花の愛で方について、少々。」
側近は目を丸くして『草花……?』と考え込んでいる。いや、それよりも先に俺を宰相閣下の元へ案内するのが先だろう…こんな者が宰相室の担当で大丈夫なのか?
正面に立つ人物に視線を向けると、相手と視線が絡み合った。俺は口元に人差し指を立てると、宰相は何も言わずに俺を見つめ返した。
俺は黒い霧をゆっくりと部屋に広げ始めた。異変を察知した側近が口を開こうとした瞬間、闇沼へと引きずり込んだ。
しばらくの間、静かにしてもらうとしよう。部屋が闇の霧に深く覆われた時、一箇所に青く光る光が見えた。俺はその光にゆっくりと近づき、取り出した瓶の中にそれを押し込んだ。周囲を注意深く見渡すと、黒い霧の中に濃い黒色の部分を発見した。それも別の瓶に収めた。宰相閣下は目を見開いて驚愕している。
よし、もう良いだろうと側近を闇沼から引き上げると
側近の襟裏付近に赤い光が宿っている。即座にそれを瓶に封じた。
「ふむ、こんなところか。宰相、もう声を出しても構わない。」
「こ……これは一体?」
「ああ、今、簡単な隠蔽魔法を炙り出したのと、ついでに防音結界を張った。闇属性だからな、見た目は悪かろうが気にするな。」
「先ほどの光は…炙り出された魔法なのですか?」
「一つは闇魔法使いの爺のものだろう。青いのはどこかの輩の仕業か。そして赤は、魔族のものだ。」
「ま…魔族! 魔族がこの国を探り始めたと申すか…」
俺は首を傾げた…まさか。
「貴殿らは何も気づいていなかったのか? 呆れたものだな。城には優秀な魔法師が多いと聞いていたが、足元にいるものにすら気づかないとは…」
宰相は深い皺を刻み、鋭い眼光で俺を睨みつけてきた。俺は城の東の方角を指差した。
「あの方向には、何がある?」
「王妃の宮でございますが…まさか!」
「俺は、この城に入って五分も経たずに気づいたぞ。」
宰相は言葉を失い、顔面蒼白になっている。あまりにも顔色が変わりすぎだろう。
「あの辺りで、何匹もの異質な存在が飼われているようだ。人間の魔力ではない。だが、人間のような気配もする。魔族でもない…魔物に近いのだろうか、かなり歪んでいる…俺が遠くから感知できたのはそれだけだ。ああ…決して騎士団総出で動くような真似はするなよ。もし討伐するならば、教会の神聖魔法や聖騎士によるものが望ましい。ああいう歪んだ存在は、きちんと祓わなければレイスのような厄介なものになるからな。」
「宰相殿、我々に指名依頼を出す気はあるか? 結構な額になるが。魔族相手に、普通の騎士ではどうにもならないことは理解しているのだろう?」
「お受けいただけるのですか?」
「今の国王を退位させることだ。それが条件だ。第三王子には、良い筋書きを用意してやろう。」
俺はニヤリと笑った。宰相は言葉を失い、愕然とした表情でこちらを凝視している。俺は通信用の魔道具と説明書を宰相に手渡した。
「これは、王が退位するまで貸し与えよう。使い方はこれを見ろ。返事は、連絡をくれれば良い。良い返事を期待しているぞ。この魔道具を国に売るつもりはないから、交渉などしてくるなよ。ではな。」
俺は扉を開けながら、闇の霧を払った。そして振り返り
「では、これにて失礼いたします。」
そう言い残し、礼をして扉を閉めた。外に立つ騎士にも目礼し、その場を後にした。
そのまま王城の外へ向かいながら、再び気配を風の揺らぎ程度の微かなものにまで薄め、後宮へと向かった。後宮の入り口付近から、外周を警戒する感知魔法のようなものが張り巡らされている。
感知範囲は広いようだが…魔力の術式が見える者からすれば、穴だらけだな。
探索魔法と探索魔法の間隙を縫って、容易に通り抜けられる。
これに風魔法の移動術式を応用すれば、もっと強固な結界になるだろうに。魔力量が、この程度の展開では限界ということか? 勿体ないな、もっと効率的な術式があるのに。これが、噂の王宮魔術師団の闇魔法使いの爺さんの魔法か? ……カナメの方が、間違いなく腕は上だ。
と言うわけで!容易く後宮に侵入し、慎重に周囲を目視した後、影渡りで移動していく。王妃の部屋のすぐ近くに辿り着いた。
「今、何と仰いましたの、お父様?」
ほう、王妃の実家、エヴゲニー公爵家の当主が来ているのか。実に良いタイミングだ。
「どこから漏れたのか、幾つかの商会が摘発されたようです。」
「家紋の方に影響は?」
「対策は万全を期しております。ただ、念のためお前の耳に入れておきたくてな。」
「承知いたしましたわ。しばらくは動きません。」
「ああ。それでは、私はこれで失礼する。」
公爵が部屋を出て、歩いて行く姿を確認し、その後を追うべきか思案していると、ガシャン!!!!と、宮殿に大きな何かが割れる音が響き渡った。俺はにやりと口角を上げ、公爵の後を追うことに決めた。
皆との話し合いを終え、僅かに休息を取ると、すぐに動き出した。カナメが元護衛騎士と会う前に一度帰宅する必要がある。
闇魔法の使い手は日中よりも夜を好む。
あちらにも王宮魔術師団・闇魔法の使い手の爺さんが居ると聞く、警戒を怠るべきでは無い。慎重に進めねば…
闇夜に浮かび上がる白亜の城。本来ならば影渡りで容易に侵入したいところだが、今は我慢だ。
王城の周囲は警備のため、騎士、兵士、文官が交代で常駐しており、関係者が出入りする通用門が存在する。
その通用門にて、騎士に『宰相閣下への緊急の案件のため』と記された入城のための書状を手渡した。書状にはストーティオン伯爵家の紋章印が確かに押されており、騎士はそれを疑うことなく通した。
城内に入ると、まず最大限に存在感を希薄にし、気配を断った。宰相閣下の執務室方面へと歩を進める。急がず、静かに。周囲の気配を探りながら。
やはり、裏手の方が不穏な気配が濃い。
そちらか…おぉ? 大きく息を吐き、ゆっくりと気配を戻しながら、そのまま宰相執務室の扉の前に到着した。扉の前には騎士が一人。俺は彼に礼をし、書状を示した。
書状の印を確認した騎士は頷き、扉を叩いた。
『コンコン・コン』一拍置いてのノックか…簡単な確認だろう。
扉が開き、側近の男が現れた。彼に書状を手渡し
「ストーティオン伯爵様からの宰相閣下への緊急の知らせです。こちらでお返事をお待ちしております。」
そう言って俺が礼をすると、側近の男は頷き、扉を閉じた。騎士が立っている扉の反対側に身を置き、静かに待機した。中からは、何かがぶつかるような音が聞こえてくる。
その音を聞きながら、俺は騎士に話しかけた。
「夜分に騎士殿もご苦労様です」
騎士は疑念を抱きつつも、義務的な態度で正面に向き合い、事務的な返答をした。
「職務にございます。貴殿も同様でしょう。」
「私は今回限りの使いでございます。たまたま邸に足の速い者が私しかおりませんでしたので。」
「う、足が速いとは羨ましい限りですな。」
「恐れ入ります。私は騎士殿のような剣術の才はございませんので、逃げ足ばかり鍛えておりまして。」
俺も正面を向いたまま苦笑すると、騎士は小さく笑った。
「できれば日中に参上したかったのですが。これほど暗いと、せっかくの庭園も拝見できません。この時期ならば、さぞかし美しい花々が咲き誇っているのでしょうね。」
「ええ。休憩時などに解放されている場所では、美しい花々に心を癒されております。」
「貴殿も植物がお好きで? 実は私もでして。娘は花よりも薬草一筋でして。せめて女の子なのですから、もう少し花を愛でてほしいのですが。」
フフフ、騎士と軽く微笑んでいると、背後の扉が開き、先ほどの側近が驚いた表情で顔を出した。
「ザーワ殿が…お話しされている…」
騎士が咳払いをすると、出てきた側近はハッとしたように俺に声をかけた。
「伯爵の使いの方、どうぞお入りください。宰相閣下がお話をお待ちかねです。」
俺は騎士に一礼すると中に入っていった。
中に入るとすぐに、側近が耳元で囁いてきた。
「ザーワ殿は滅多に口を開かれないと伺っておりましたが…一体何を話されていたのですか?」
「草花の愛で方について、少々。」
側近は目を丸くして『草花……?』と考え込んでいる。いや、それよりも先に俺を宰相閣下の元へ案内するのが先だろう…こんな者が宰相室の担当で大丈夫なのか?
正面に立つ人物に視線を向けると、相手と視線が絡み合った。俺は口元に人差し指を立てると、宰相は何も言わずに俺を見つめ返した。
俺は黒い霧をゆっくりと部屋に広げ始めた。異変を察知した側近が口を開こうとした瞬間、闇沼へと引きずり込んだ。
しばらくの間、静かにしてもらうとしよう。部屋が闇の霧に深く覆われた時、一箇所に青く光る光が見えた。俺はその光にゆっくりと近づき、取り出した瓶の中にそれを押し込んだ。周囲を注意深く見渡すと、黒い霧の中に濃い黒色の部分を発見した。それも別の瓶に収めた。宰相閣下は目を見開いて驚愕している。
よし、もう良いだろうと側近を闇沼から引き上げると
側近の襟裏付近に赤い光が宿っている。即座にそれを瓶に封じた。
「ふむ、こんなところか。宰相、もう声を出しても構わない。」
「こ……これは一体?」
「ああ、今、簡単な隠蔽魔法を炙り出したのと、ついでに防音結界を張った。闇属性だからな、見た目は悪かろうが気にするな。」
「先ほどの光は…炙り出された魔法なのですか?」
「一つは闇魔法使いの爺のものだろう。青いのはどこかの輩の仕業か。そして赤は、魔族のものだ。」
「ま…魔族! 魔族がこの国を探り始めたと申すか…」
俺は首を傾げた…まさか。
「貴殿らは何も気づいていなかったのか? 呆れたものだな。城には優秀な魔法師が多いと聞いていたが、足元にいるものにすら気づかないとは…」
宰相は深い皺を刻み、鋭い眼光で俺を睨みつけてきた。俺は城の東の方角を指差した。
「あの方向には、何がある?」
「王妃の宮でございますが…まさか!」
「俺は、この城に入って五分も経たずに気づいたぞ。」
宰相は言葉を失い、顔面蒼白になっている。あまりにも顔色が変わりすぎだろう。
「あの辺りで、何匹もの異質な存在が飼われているようだ。人間の魔力ではない。だが、人間のような気配もする。魔族でもない…魔物に近いのだろうか、かなり歪んでいる…俺が遠くから感知できたのはそれだけだ。ああ…決して騎士団総出で動くような真似はするなよ。もし討伐するならば、教会の神聖魔法や聖騎士によるものが望ましい。ああいう歪んだ存在は、きちんと祓わなければレイスのような厄介なものになるからな。」
「宰相殿、我々に指名依頼を出す気はあるか? 結構な額になるが。魔族相手に、普通の騎士ではどうにもならないことは理解しているのだろう?」
「お受けいただけるのですか?」
「今の国王を退位させることだ。それが条件だ。第三王子には、良い筋書きを用意してやろう。」
俺はニヤリと笑った。宰相は言葉を失い、愕然とした表情でこちらを凝視している。俺は通信用の魔道具と説明書を宰相に手渡した。
「これは、王が退位するまで貸し与えよう。使い方はこれを見ろ。返事は、連絡をくれれば良い。良い返事を期待しているぞ。この魔道具を国に売るつもりはないから、交渉などしてくるなよ。ではな。」
俺は扉を開けながら、闇の霧を払った。そして振り返り
「では、これにて失礼いたします。」
そう言い残し、礼をして扉を閉めた。外に立つ騎士にも目礼し、その場を後にした。
そのまま王城の外へ向かいながら、再び気配を風の揺らぎ程度の微かなものにまで薄め、後宮へと向かった。後宮の入り口付近から、外周を警戒する感知魔法のようなものが張り巡らされている。
感知範囲は広いようだが…魔力の術式が見える者からすれば、穴だらけだな。
探索魔法と探索魔法の間隙を縫って、容易に通り抜けられる。
これに風魔法の移動術式を応用すれば、もっと強固な結界になるだろうに。魔力量が、この程度の展開では限界ということか? 勿体ないな、もっと効率的な術式があるのに。これが、噂の王宮魔術師団の闇魔法使いの爺さんの魔法か? ……カナメの方が、間違いなく腕は上だ。
と言うわけで!容易く後宮に侵入し、慎重に周囲を目視した後、影渡りで移動していく。王妃の部屋のすぐ近くに辿り着いた。
「今、何と仰いましたの、お父様?」
ほう、王妃の実家、エヴゲニー公爵家の当主が来ているのか。実に良いタイミングだ。
「どこから漏れたのか、幾つかの商会が摘発されたようです。」
「家紋の方に影響は?」
「対策は万全を期しております。ただ、念のためお前の耳に入れておきたくてな。」
「承知いたしましたわ。しばらくは動きません。」
「ああ。それでは、私はこれで失礼する。」
公爵が部屋を出て、歩いて行く姿を確認し、その後を追うべきか思案していると、ガシャン!!!!と、宮殿に大きな何かが割れる音が響き渡った。俺はにやりと口角を上げ、公爵の後を追うことに決めた。
200
あなたにおすすめの小説
できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―
愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。
彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。
魔法は使えない。
体は不器用で、成長も人より遅い。
前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。
けれどこの世界には、
見守り支えてくれる両親と、
あたたかい食卓があった。
泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、
彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。
これは、
最強でもチートでもない主人公が、
家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す
生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。
……の、予定です。
毎日更新できるように執筆がんばります!
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~
杵築しゅん
ファンタジー
戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。
3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。
家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。
そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。
こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。
身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
勇者召喚に失敗したと捨てられましたが、魔王の家政婦になりました。
藤 ゆみ子
ファンタジー
家政婦として働いていた百合はある日、会社の倒産により仕事を失った。
気が沈んだまま家に帰り、おばあちゃんの仏壇に手を合わせていると突然知らない場所にいた。
訳がわからないまま、目の前にいる神官に勇者の召喚に失敗したと魔王の棲む森へと捨てられてしまう。
そして魔物に襲われかけたとき、小汚い男性に助けられた。けれどその男性が魔王だった。
魔王は百合を敵だと認識し、拘束して魔王城へと連れていく。
連れて行かれた魔王城はボロボロで出されたご飯も不味く魔王の生活はひどいありさまだった。
それから百合は美味しいご飯を作り、城を綺麗にし、魔王と生活を共にすることに。
一方、神官たちは本物の勇者を召喚できずに焦っていた。それもそう、百合が勇者だったのだから。
本人も気づかないうちに勇者としての力を使い、魔王を、世界を、変えていく。
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした。今さら戻れと言われても、もうスローライフ始めちゃったんで
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。
家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、
優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、
俺は必死に、置いていかれないようについていった。
自分には何もできないと思っていた。
それでも、少しでも役に立ちたくて、
誰にも迷惑をかけないようにと、
夜な夜な一人でダンジョンに潜り、力を磨いた。
仲間を護れるなら…
そう思って使った支援魔法や探知魔法も、
気づかれないよう、そっと重ねていただけだった。
だけどある日、告げられた。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、優しさからの判断だった。
俺も分かっていた。だから、何も言えなかった。
こうして俺は、静かにパーティを離れた。
これからは一人で、穏やかに生きていこう。
そう思っていたし、そのはずだった。
…だけど、ダンジョンの地下で古代竜の魂と出会って、
また少し、世界が騒がしくなってきたようです。
◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる