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愚王の崩壊
89話 第三王子の心の支え
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僕はあの日、黒い威風堂々とした馬、タソガレに、長年逃げ出すこともできなかった白い牢獄から連れ出された。きっと城では僕が居なくなったことを王妃様方皆喜んでいる事だろう
父上は…僕に興味もなかったから…
目をつむりベッドに横になる。タソガレと言う立派な馬に連れられ、ミハイルとグレードにあった。彼らは普通に僕に接し、心配してくれた。そんな普通の反応が嬉しくて嬉しくて…宰相や聖女様くらいだった僕を普通に扱ってくれるのは…使用人たちからも軽視されていたからね…
タソガレに連れられてきた此処は聖女様の居る教会。外部との接触を禁止している建物
ここに来てから、刺客の心配なく泥のように眠り食事をして落ち着いたころから涙が出て不安が渦巻くようになった。城には戻りたくない。だって城には僕を大切にしてくれる人は居ないから…セルジオ…僕の心の支えだった護衛
僕のせいで腕を失ってなお戦い、僕を守ってくれた。
片腕でもよい、側に居てさえくれればあの場所で踏ん張れたのに…また瞳から雫がこぼれるもう何日身体が怠く動けないのだろう…
コンコンコン
ノックの音がする僕は扉の方を見て手で涙をぬぐい急いで返事をする
「はい。どうぞ」
白いワンピースに白いエプロンの聖女様が、今日も来てくれた。その後ろに、ヒョコっと小さな子供。聖女様と同じように白いワンピースとエプロンを身にまとった、ピンクブロンドでピンクの瞳の女の子。
「こんにちは、ルクレチア。お加減いかがかしら」
僕は少し身を起こして
「こんにちは聖女さま、いつも通りです。初めまして、小さなレディー」
聖女様に返答しつつ、小さな少女に声をかけると、少女は可愛い笑顔で微笑んでくれた。スカートをつまみ、僕にカーテシーで挨拶する。
「お初にお目にかかります。私、聖女様の補助員をしております「アソウ」でございます。お見知りおきください。」
小さな少女は、美しい所作で大人の様な挨拶をしてくれた。聖女様の補助員とは、何だろう?
「僕はルクレチア 。ただのルクレチア で覚えて」
少女は僕をじっと見ると、聖女様を見上げ
「ルークとルーア、どっちがいいかな?」
と質問してきたそれに聖女様が
「私的にチアもありだと思うんだけど、ルクレチア はどれで呼ばれたい?」
僕は、いつもより気やすい口調の聖女様にもびっくりしながら、
「なんですそれは?」
「「愛称」」
二人に同時に言われ、愛称…母上が読んでくれていた名前を思い出す…
「アーチェと、母には呼ばれてました…」
「じゃあ、お兄さんはアーチェ兄さんですね♡」
「あら、良いわね。今日から私もアーチェって呼ぶわ」
いきなりの愛称…兄さん…僕は嫌な気持ちが全くわかず、むしろ嬉しい…
「じゃあ、僕はお二人を何と呼べば?」
僕がそう言うと、二人はニィーっと笑い
「私は、三神 彩音(ミカミ アヤネ)。元居た世界でアヤって呼ばれていたので、『アヤ』でよろしく♡」
「私は、麻生 要(アソウ カナメ)。皆から「カナ」って呼ばれてます。よろしくね、アーチェ兄さん」
「アヤさんとカナちゃんで良い?」
「はい。アーチェ兄さん」
可愛らしくお返事をくれたカナちゃんと違い、聖女様はうーんと迷って、僕に人指し指を立て、
「私の事は、アヤ姉さんでよろしくね♡アーチェ」
「アヤ姉さん…なんか二人が僕の兄弟みたいですね」
そうはにかんで言うと、二人は嬉しそうに頬を染めて、
「アーチェみたいなイケメンが弟最高!」
「ですです!かっこいいお兄ちゃん最高です!」
キャッキャ言い出した。イケメン?かっこいい?初めて言われたな…
そんな風に思いながら二人を眺めていると
コンコンコン
扉が叩かれたが、ドアは開いているのだが?と扉を見ると、そこには背の高い黒づくめの男性と、薄茶の髪に赤い瞳の男性が立っていた。黒髪の男性が、
「そろそろ本題に入ってくれよ」
と言うと、横の薄茶の髪の男性がおずおずと僕に視線を向けてきた。僕はその彼の赤い目を見て、僕の知る人物とは違うのになぜか彼をすごく愛しいと思ってしまった。
僕はベットから急いで起き上がり、ふらつきながら彼にかけ寄り、抱き着いた。
彼は僕を支える様に両手を添えて、
「ルクレチア 殿下…」
あぁやっぱりそうだ。彼の声だ。僕を守って居なくなった、大事な僕の護衛。
「セルジオッ!セルジオ!!ごめんね、ごめん、僕が弱いから、君を…君を傷つけて!!」
涙が溢れた。もうどうしようもなく涙が止まらず、大声で泣き続けた。
気が付くと、先ほどの黒髪の男性とカナちゃん、アヤ姉さんは居なくて、部屋には僕とセルジオだけだった。
僕の顔から流れる涙を、彼の指が拭う。その時になってようやく僕は気づいた。今、涙をぬぐってくれたのは、彼の失われたはずの手。
肩から無くなったはずのその手は、何もなかったかのように普通に存在している。
「この手は…腕はどうした…」
「あなたの側に居るために、彼女達に治してもらいました。」
「彼女達…アヤ姉さんとカナちゃん?」
セルジオはコクリと頷き、
「あと私と一緒に居た彼も手伝ってくれました。治したんだから、これから国を支える新たな王を支えろと。」
え……新たな王?父上は…国王様は健在だろう?
僕はセルジオの言葉の意味が解らず頭の上に「???」がいっぱい飛んだ。
父上は…僕に興味もなかったから…
目をつむりベッドに横になる。タソガレと言う立派な馬に連れられ、ミハイルとグレードにあった。彼らは普通に僕に接し、心配してくれた。そんな普通の反応が嬉しくて嬉しくて…宰相や聖女様くらいだった僕を普通に扱ってくれるのは…使用人たちからも軽視されていたからね…
タソガレに連れられてきた此処は聖女様の居る教会。外部との接触を禁止している建物
ここに来てから、刺客の心配なく泥のように眠り食事をして落ち着いたころから涙が出て不安が渦巻くようになった。城には戻りたくない。だって城には僕を大切にしてくれる人は居ないから…セルジオ…僕の心の支えだった護衛
僕のせいで腕を失ってなお戦い、僕を守ってくれた。
片腕でもよい、側に居てさえくれればあの場所で踏ん張れたのに…また瞳から雫がこぼれるもう何日身体が怠く動けないのだろう…
コンコンコン
ノックの音がする僕は扉の方を見て手で涙をぬぐい急いで返事をする
「はい。どうぞ」
白いワンピースに白いエプロンの聖女様が、今日も来てくれた。その後ろに、ヒョコっと小さな子供。聖女様と同じように白いワンピースとエプロンを身にまとった、ピンクブロンドでピンクの瞳の女の子。
「こんにちは、ルクレチア。お加減いかがかしら」
僕は少し身を起こして
「こんにちは聖女さま、いつも通りです。初めまして、小さなレディー」
聖女様に返答しつつ、小さな少女に声をかけると、少女は可愛い笑顔で微笑んでくれた。スカートをつまみ、僕にカーテシーで挨拶する。
「お初にお目にかかります。私、聖女様の補助員をしております「アソウ」でございます。お見知りおきください。」
小さな少女は、美しい所作で大人の様な挨拶をしてくれた。聖女様の補助員とは、何だろう?
「僕はルクレチア 。ただのルクレチア で覚えて」
少女は僕をじっと見ると、聖女様を見上げ
「ルークとルーア、どっちがいいかな?」
と質問してきたそれに聖女様が
「私的にチアもありだと思うんだけど、ルクレチア はどれで呼ばれたい?」
僕は、いつもより気やすい口調の聖女様にもびっくりしながら、
「なんですそれは?」
「「愛称」」
二人に同時に言われ、愛称…母上が読んでくれていた名前を思い出す…
「アーチェと、母には呼ばれてました…」
「じゃあ、お兄さんはアーチェ兄さんですね♡」
「あら、良いわね。今日から私もアーチェって呼ぶわ」
いきなりの愛称…兄さん…僕は嫌な気持ちが全くわかず、むしろ嬉しい…
「じゃあ、僕はお二人を何と呼べば?」
僕がそう言うと、二人はニィーっと笑い
「私は、三神 彩音(ミカミ アヤネ)。元居た世界でアヤって呼ばれていたので、『アヤ』でよろしく♡」
「私は、麻生 要(アソウ カナメ)。皆から「カナ」って呼ばれてます。よろしくね、アーチェ兄さん」
「アヤさんとカナちゃんで良い?」
「はい。アーチェ兄さん」
可愛らしくお返事をくれたカナちゃんと違い、聖女様はうーんと迷って、僕に人指し指を立て、
「私の事は、アヤ姉さんでよろしくね♡アーチェ」
「アヤ姉さん…なんか二人が僕の兄弟みたいですね」
そうはにかんで言うと、二人は嬉しそうに頬を染めて、
「アーチェみたいなイケメンが弟最高!」
「ですです!かっこいいお兄ちゃん最高です!」
キャッキャ言い出した。イケメン?かっこいい?初めて言われたな…
そんな風に思いながら二人を眺めていると
コンコンコン
扉が叩かれたが、ドアは開いているのだが?と扉を見ると、そこには背の高い黒づくめの男性と、薄茶の髪に赤い瞳の男性が立っていた。黒髪の男性が、
「そろそろ本題に入ってくれよ」
と言うと、横の薄茶の髪の男性がおずおずと僕に視線を向けてきた。僕はその彼の赤い目を見て、僕の知る人物とは違うのになぜか彼をすごく愛しいと思ってしまった。
僕はベットから急いで起き上がり、ふらつきながら彼にかけ寄り、抱き着いた。
彼は僕を支える様に両手を添えて、
「ルクレチア 殿下…」
あぁやっぱりそうだ。彼の声だ。僕を守って居なくなった、大事な僕の護衛。
「セルジオッ!セルジオ!!ごめんね、ごめん、僕が弱いから、君を…君を傷つけて!!」
涙が溢れた。もうどうしようもなく涙が止まらず、大声で泣き続けた。
気が付くと、先ほどの黒髪の男性とカナちゃん、アヤ姉さんは居なくて、部屋には僕とセルジオだけだった。
僕の顔から流れる涙を、彼の指が拭う。その時になってようやく僕は気づいた。今、涙をぬぐってくれたのは、彼の失われたはずの手。
肩から無くなったはずのその手は、何もなかったかのように普通に存在している。
「この手は…腕はどうした…」
「あなたの側に居るために、彼女達に治してもらいました。」
「彼女達…アヤ姉さんとカナちゃん?」
セルジオはコクリと頷き、
「あと私と一緒に居た彼も手伝ってくれました。治したんだから、これから国を支える新たな王を支えろと。」
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