安全第一異世界生活

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イルグリット王国 魔道具編

112話 輩が多く暗躍する村

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石造りの大きな関所を超えると隣国 イルグリット王国 に入る。国境の関所は両国の兵士が門をはさんで入門審査を行っている。各街の兵士さんより、強そうな人が多いと感じる。私たちは、オーラシアン王国を抜けてイルグリット王国 に入った。トーさんは錬金術師の証明書、私は冒険者の証明書を出す。不思議な顔をする兵士さん。その顔が疑問に思い私は聞いてしまった。

「変ですか?」

兵士さんは笑いながら

「イヤイヤ失礼。親と登録ギルドが違うのが珍しくてな。」

「俺が体壊して、冒険者出来なくてな。出来るの何て、この子の付き添いぐらいだよ」

そう笑うトーさんに、兵士さんは申し訳ないという顔をした。

「これは失礼した。冒険者は危険な仕事だしな。嬢ちゃんも仕事する時は気を付けてするんだぞ」

「はーい」

手を上げて良い子の返事をした私の頭をトーさんがなでる。そうして私たちはイングリット王国に入ったのだった。

国境を越えたすぐに小さな村があり、そこに小さな宿屋がある。もうすぐ大きなお祭りがあるせいで、旅行のお客さんで埋まってしまっている宿屋に、野宿に適した場所を教えてもらい、村の食事処で昼食を食べに入った。窓辺の端の席。そこから店の中を見回すと、なかなかに人相の悪い人たちが多い……そしてこちらを値踏みするようにジロジロ見てくる。なんか居心地が悪い。

そう、この村に入ってから人相の悪い人たちが多いし、やたらジロジロみられている。なんか悪いことする人が品定めしている感じで嫌な感じ。だからかな…
出てきた食事を食べる前に念のため鑑定してみたら…あらこれは。
トーさんを見る。あぁ…わかっている顔だ…ため息をついたトーさんがテーブルを思いっきり音が鳴るように叩く

「おい!オヤジ」

トーさんが大声を上げる、店の主人がなんだなんだと言う顔でやってくる。

「娘の飯に虫が混入している…この店は虫入りの飯を出すのが普通なのか!」

「こ!!これはすみません!しかし私どもはきちんと確認をしてお出ししております!!」

トーさんは店主にしか聞こえないように小声で話す。

「飯に薬物混ぜておいて確認も何もない。お前の本位でないなら従業員を調べろ」

店主さんは目を見開いて顔を上げた、トーさんは頷いて

「こんな飯食えるか!カナ行くぞ!」

そう大声をあげ、私の手を引いて店をでていく。

「申し訳ありません」そう言って深々と店主さんが頭を下げていた。

「トーさん、あのお店大丈夫かな?」

「大丈夫だろ。すぐに従業員は捕まるさ。祭り前の繁盛期に雇ってる奴が何かしているんだろうよ。とりあえず門の兵士に伝えるだけ伝えておこう」

一度国境の門まで戻り、薬が入った食事を振舞われた事を話しておいた。どう動くかはこの国の兵士に任せることにしよう。あと、やたらとこちらを見てくる奴が多くて、調べた方が良いことを付け加えておいた。
門から街道に戻ったが、先ほどの村には寄らず、そのまま街道を進み念のため宿で教えられた野営場所が見渡せる所にテントを出した。

「トーさん、なんかあったらどうするの?」

「この国の人間に恩でも売ろうかな」

そうニヤリ顔で話すトーさんは全く人が良い。私ならさっきの村でのことに腹を立て見捨てていくけどな。

「ウハハ!!」

一日私の頭上で帽子のふりしてくれているウハハは自由になる今を謳歌中。テント周りをぴょんぴょん跳ねてちょうちょを追いかけている。
平和だ。
暗くなり、崖上の私たちの野営場所から、階下の野営場所が焚火の明かりでよく見える。ふと少し離れたところに明かりがあるのが分かる。トーさんに確認を取ると、

「あぁお出ましだな。祭り前だ。祭りに参加する人間は金を多く持っていると分かっているのさ。だからああいう輩が多く出てくるんだ。カナはここでウハハと一緒に待っているんだぞ。」

「はーい」

わたしはウハハと一緒に崖上で待機になった。私の返事を聞いて安心したのか、トーさんは崖から下に飛び降りて行った。いつ見ても規格外な存在だと感心する。

***

崖下の野営地では、ならず者の男たちに囲まれる野営中の旅行者が4組。用心棒の冒険者が前に出ているが20名ほどの男たちを前に数人では歯が立つはずもなく、ギリリと奥歯をかみしめている。そんな彼らの前に突如男が現れた。
そしてやってきた、ならず者たちを一気に黒い何かで動けなくしてしまった。

「はーい!襲われていた皆さん今のうちにロープでしっかり拘束していきますよ。」

用心棒の冒険者たちと協力して、20名捕縛完了。

「あなたは一体?」

野営組の人たちの中からおずおずと俺に話しかけてきた親父さんが居た。俺は指を上に向け

「いや~見晴らし良い所で野営してたら、なんか下が大変そうなので降りて来ただけですよ。お怪我はございませんか?」

「おかげさまで。貴方のおかげです。ありがとうございました。」

「では俺は娘が待っておりますので、これで失礼」

そう言って空中に小さな闇沼を階段のように出し、崖上に帰って行った。
助けられた人たちは唖然としたが、用心棒の冒険者の一人が足が速いと言う事で、頼んで門の兵士に知らせに行ってもらい、そのままその日は野営を続けた。

翌日野営組が起きたときには、崖上にあったテントは無くなり、助けてくれた彼は姿を消していた。少ししてようやく冒険者が兵士を連れて帰ってきた。
兵士も、誰一人傷付けることなく捕縛したその術に感心していた。
近くの村の方で、昨日突如兵士の抜き打ち調査が入り、どうやら何名も捕縛されたという。そのせいで兵士の人数が若干少ないが、ならず者たちには自分で歩いてもらうため警備に魔獣のワーウルフ達を帯同してきていた。
兵士たちは 男たちの前でワーウルフに 「反抗したり・逃走した場合ガブっと食べて良い」事を許可すると、早々にその場を収めてならず者たちを引き連れ帰って行った。

兵士5名に従魔のワーウルフ5匹集まれば圧巻の圧があったが…
昨日の助けてくれた兄ちゃんの方が圧が凄かったと感じた面々だった。
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