悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

文字の大きさ
41 / 70

第41話 いきなり決勝戦

しおりを挟む
 ローランドさんと意識合わせを終え、いざ魔法訓練場へ。
 ここは、周囲が観客席で囲まれているんだけど、魔法の力で守られているので、攻撃魔法を使っても大丈夫らしい。
 ただ魔法の力って言われても、私には何も見えないのでわからないんだけどね。
 いわゆる結界とか、そういう感じなのかな?
 端の方で様子を伺っていると、続々と生徒たちが観客席へ座っていく。

「そういえば、何か作戦とかってあるんですか?」
「ん? いや、特にないよ。強いていうなら、互いの魔法が当たらないように、近くに居よう……ってくらいかな」

 あー、ゲームでは敵を選択すれば敵だけに攻撃魔法が向くけど、実際はそうじゃないよね。
 攻撃魔法で味方を倒しちゃったりしたら笑えないし、二年生になってダンジョンに入った時にも同じ事が言えるから、その練習だと思って頑張ろう。
 そんな事を考えていると、スピーカー? みたいな感じで大きな声が聞こえてきて、選手入場とかって言っている。
 どうやら順番に名前が呼ばれるらしいんだけど、最初に呼ばれたのが、

「一年一組ケヴィン王子と近衛騎士ペア」

 ケヴィン王子だった。
 思いっきり近衛騎士って言っちゃっているけど、大丈夫なの!?
 いやまぁ、よく考えたら王子だし、護衛が居ない方が変か。

「続いて、一年一組ケヴィン王子様の近衛騎士ペア」

 また近衛騎士なの!?
 要は近衛騎士同士でペアを組んでいるっていう事なんだろうけど、これは良いの!?
 絶対にケヴィン王子が有利となるように動くよねっ!?
 実質四人チームだよねっ!?
 私たちは優勝とかを狙ってないから構わないけど、本気で優勝を目指しているチームは怒りそうよね。

「お次は、生徒会副会長率いる、生徒会ペア! 美人で有名な副会長メリッサと、お供の会計……あ、お供とか嘘です。謝るので予算は減らさないでっ!」

 へぇー。司会の人が美人で有名って言うだけあって、副会長さんは凄く綺麗……なんだけど、えーっと、何だか凄く怒ってる?

「あの、ローランドさん。メリッサさんが、物凄くこっちを睨んで居るんですけど、何かやっちゃったんですか?」
「え? いや、何もしてないと思うけど? 昼休みはちゃんと生徒会に顔を出しているし、会議で決まった事案の承認もしたんだけどね」
「……あれ? 昼休みって言いましたけど、生徒会の活動ってお昼だけなんですか?」
「いや、放課後も集まっているけど、別に僕が居なくても、メリッサが優秀だから、彼女が居れば大丈夫だよ」

 えーっと、もしかしてそれが原因じゃないかなー?
 ローランドさん、私が学校を休んだ時を除いて、常に菜園クラブで会っているんですけど。
 放課後も生徒会に来いって言っているんだと思いますよ?
 ……ただ、どういう訳か、メリッサさんの怒りの視線が、ローランドさんじゃなくて、私に向けられているような気がするのは、気のせいよね?
 そんな事を考えている内に、出場ペアの紹介がどんどん進んでいき、最後の一組……つまり私たちとなる。

「最後は生徒会から最強の……じゃなくて、菜園クラブ? あれ? 生徒会長……まぁいいか。えー、改めまして、最後は菜園クラブから、最強の生徒ローランドと、一年二組のルーシーさんでーす!」
「よし、ルーシー。行こうか」
「は、はい……って、ローランドさん。最強の生徒って紹介されていましたけど?」

 私の問いを愛想笑いで流したローランドさんが、私の手を取り、ずんずんステージへ上がって行く。
 ふぅ……とりあえず、やるだけやってみますか。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜

阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。 辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。 滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。 一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。 もう一人は、その影で虐げられてきた私。 偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。 だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。 △▼△▼△▼△▼△ 女性HOTランキング5位ありがとうございます!

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。

imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。 今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。 あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。 「—っ⁉︎」 私の体は、眩い光に包まれた。 次に目覚めた時、そこは、 「どこ…、ここ……。」 何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~

うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」 探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。 探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼! 単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。 そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。 小さな彼女には秘密があった。 彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。 魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。 そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。 たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。 実は彼女は人間ではなく――その正体は。 チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

処理中です...