45 / 70
第44話 毎日会いに来るケヴィン王子
しおりを挟む
魔法大会から数日後。
「ルーシーさん。お昼をご一緒いたしませんか?」
「ルーシーさん! 魔法の使い方を教えてくださいっ!」
「ルーシーさーんっ! 生徒会のイケメン先輩を紹介してくださーいっ!」
今まで、時々ローランドさん狙いっぽい、ルーシーの取り巻きの女の子が来るくらいしかなかったのに、やたらと話しかけられるようになってしまった。
けど、お昼ご飯を一緒に食べるくらいならともかく、魔法の使い方を教えるなんて無理だからっ!
むしろ私が教えて欲しいくらいなんだけどっ!
あと、よく来るルーシーの取り巻きの女の子は遠慮がなくなって、よりストレートになった!
まぁでも、ここまでは同じクラスの女子生徒たちだから良いんだけど、これとは別で困っている事がある。
「失礼。ルーシー、今日こそは付き合ってもらうぞ」
「えーっと、ケヴィン王子は隣のクラスですよね?」
「それがどうしたというのだ。それよりも、俺の魔法の訓練に付き合うのか付き合わないのか、どうなんだ?」
「いつも言っていますけど、放課後は菜園クラブがあるので」
休み時間の度に……とは言わないけど、ケヴィン王子が毎日やって来るのよね。
しかも、
「まぁ良い。では、ルーシー。これをやろう」
「……ネックレス?」
「実家にあった物だ。俺には不要の物だからな」
来る度に何かしらのプレゼントを置いていこうとする。
こんなの受け取れる訳がないじゃない!
「いえ、ケヴィン王子が要らないからって、受け取る訳にはいきません。そもそも、家にあった物……って、お城ですよね? 絶対に高い品じゃないですかっ!」
「別に俺からすれば高くはない。気にするな」
「気にしますっ! そもそも、こんな高い物は身につけられませんよ」
「くっ……その腕輪は普段から身につけているのに」
いや、これは魔法大会の賞品だし。
ある意味、自分で手に入れた物だから気兼ねなく付けられるし、性能が高いのよね。
一方、ケヴィン王子が持ってくる物って、高価ではあるんだけど、ステータス的な効果が何も無いっていうか、本当にただの装飾品なんだ。
だから、身につける意味が無い……は、言い過ぎかもしれないけど、私にとっては不要かな。
この学校では、誰かと恋に落ちたりする事もないから、着飾る必要もないしね。
「という訳で……というか、教室を移動しなきゃ! では、失礼します」
「これもダメなのかっ!? アイツらのレポートにも、高価なアクセサリーが好きだと……ま、まさか、もっと高価な物を!? ……俺の小遣いで買えない物となると……」
な、何だか不穏な言葉が聞こえてきたけど、無駄遣いはしないでね!?
王子のお小遣いって、要は国民の税金でしょ?
日本に居た頃は、私も社会人だった事があるから、お給料からもろもろ引かれて、残った手取りは……うぅっ、頭が!
それから今日も火魔法の授業に来たんだけど……なんだろう。誰かから凄く見られている感じがする。
最近、ずっとこんな感じなので、視線を無視して教科書を読んでいると、
「……ふむ。受ける授業は火魔法ばかり……と。あれだけの水魔法が使える事から、その反面、火魔法は苦手と思われる……」
すぐ隣から、何処かで聞いた事のある声が聞こえてきた。
「愛用の杖は、小振りの木の杖。宝石などの装飾などはなし。安物の杖に思える為、潜在魔力が非常に強大ではないかと……」
いや、安物の杖じゃないから!
世界樹の木で出来た、唯一無二の杖なのよっ! ……教えないけど。
「……って、ケヴィン王子の騎士の人? 何しているんですか?」
「ペンとノートも安物の平民が使うような普通の……おぉ、ケヴィン王子から調べ物を頼まれてな」
「はぁ……もしかして、私の事を調べているんですか?」
「うむ。ところで、一つ教えて貰いたいんだが、アンタの胸のサイズは……」
「教える訳ないでしょぉぉぉっ!」
ケヴィン王子……断った私が言うのも何だけど、部下は選んだ方が良いと思うわよ?
「ルーシーさん。お昼をご一緒いたしませんか?」
「ルーシーさん! 魔法の使い方を教えてくださいっ!」
「ルーシーさーんっ! 生徒会のイケメン先輩を紹介してくださーいっ!」
今まで、時々ローランドさん狙いっぽい、ルーシーの取り巻きの女の子が来るくらいしかなかったのに、やたらと話しかけられるようになってしまった。
けど、お昼ご飯を一緒に食べるくらいならともかく、魔法の使い方を教えるなんて無理だからっ!
むしろ私が教えて欲しいくらいなんだけどっ!
あと、よく来るルーシーの取り巻きの女の子は遠慮がなくなって、よりストレートになった!
まぁでも、ここまでは同じクラスの女子生徒たちだから良いんだけど、これとは別で困っている事がある。
「失礼。ルーシー、今日こそは付き合ってもらうぞ」
「えーっと、ケヴィン王子は隣のクラスですよね?」
「それがどうしたというのだ。それよりも、俺の魔法の訓練に付き合うのか付き合わないのか、どうなんだ?」
「いつも言っていますけど、放課後は菜園クラブがあるので」
休み時間の度に……とは言わないけど、ケヴィン王子が毎日やって来るのよね。
しかも、
「まぁ良い。では、ルーシー。これをやろう」
「……ネックレス?」
「実家にあった物だ。俺には不要の物だからな」
来る度に何かしらのプレゼントを置いていこうとする。
こんなの受け取れる訳がないじゃない!
「いえ、ケヴィン王子が要らないからって、受け取る訳にはいきません。そもそも、家にあった物……って、お城ですよね? 絶対に高い品じゃないですかっ!」
「別に俺からすれば高くはない。気にするな」
「気にしますっ! そもそも、こんな高い物は身につけられませんよ」
「くっ……その腕輪は普段から身につけているのに」
いや、これは魔法大会の賞品だし。
ある意味、自分で手に入れた物だから気兼ねなく付けられるし、性能が高いのよね。
一方、ケヴィン王子が持ってくる物って、高価ではあるんだけど、ステータス的な効果が何も無いっていうか、本当にただの装飾品なんだ。
だから、身につける意味が無い……は、言い過ぎかもしれないけど、私にとっては不要かな。
この学校では、誰かと恋に落ちたりする事もないから、着飾る必要もないしね。
「という訳で……というか、教室を移動しなきゃ! では、失礼します」
「これもダメなのかっ!? アイツらのレポートにも、高価なアクセサリーが好きだと……ま、まさか、もっと高価な物を!? ……俺の小遣いで買えない物となると……」
な、何だか不穏な言葉が聞こえてきたけど、無駄遣いはしないでね!?
王子のお小遣いって、要は国民の税金でしょ?
日本に居た頃は、私も社会人だった事があるから、お給料からもろもろ引かれて、残った手取りは……うぅっ、頭が!
それから今日も火魔法の授業に来たんだけど……なんだろう。誰かから凄く見られている感じがする。
最近、ずっとこんな感じなので、視線を無視して教科書を読んでいると、
「……ふむ。受ける授業は火魔法ばかり……と。あれだけの水魔法が使える事から、その反面、火魔法は苦手と思われる……」
すぐ隣から、何処かで聞いた事のある声が聞こえてきた。
「愛用の杖は、小振りの木の杖。宝石などの装飾などはなし。安物の杖に思える為、潜在魔力が非常に強大ではないかと……」
いや、安物の杖じゃないから!
世界樹の木で出来た、唯一無二の杖なのよっ! ……教えないけど。
「……って、ケヴィン王子の騎士の人? 何しているんですか?」
「ペンとノートも安物の平民が使うような普通の……おぉ、ケヴィン王子から調べ物を頼まれてな」
「はぁ……もしかして、私の事を調べているんですか?」
「うむ。ところで、一つ教えて貰いたいんだが、アンタの胸のサイズは……」
「教える訳ないでしょぉぉぉっ!」
ケヴィン王子……断った私が言うのも何だけど、部下は選んだ方が良いと思うわよ?
242
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜
阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。
辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。
滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。
一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。
もう一人は、その影で虐げられてきた私。
偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。
だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。
△▼△▼△▼△▼△
女性HOTランキング5位ありがとうございます!
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~
うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」
探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。
探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼!
単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。
そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。
小さな彼女には秘密があった。
彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。
魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。
そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。
たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。
実は彼女は人間ではなく――その正体は。
チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる