悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

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第46話 ローランドさんへのプレゼント

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「……なるほど。水魔法で対戦相手を全員場外負けにさせたと」
「そ、そうなの。私は魔力の多さだけの力押しで勝った訳で、実際に凄い魔法が使える訳じゃないのよ」
「いえ、凄い魔法は使えますよね? 倉庫魔法だなんて、誰も使えないと思いますけど。あと、ルーシー様は火魔法がお得意のはずなのに、苦手な水魔法で人を押し流す程の水を出しただなんて……かなり怪しいのですが」

 あぁぁぁ、テレーズさんは元々のルーシーの事を知っているから、話がややこしいっ!
 いっそ、私が異世界転生してきた事を話せれば、ユリシアみたいに話が早いんだけど、普通の人に言っても変な人だって思われるだけだし、どうしよう。
 とりあえず、私が魔法大会で優勝した事についても、明日ローランドさんに聞けばハッキリするという事を説明し、一旦この話は終わらせる事に。

「ところで、テレーズさん。そちらの荷物は? いつもの食事の材料とは違う感じがするんですけど」
「これは、先日ルーシー様がお世話になったローランド様へのお礼の品となります。ルーシー様から、食べ物がお好きな方だとお伺いしておりましたので、領地で取れた果物の中から、特に質の良い物を選んで参りました」

 あー、買取屋さんで売ったアイテムのお礼の件ね。
 実際はダニエルが持ってきてくれたんだけど、テレーズさんを会わせる訳にはいかないから、ローランドさんに貰った事にしたんだよね。
 ……だから、お礼の品もダニエルが好きな食べ物になってしまった訳で。
 ローランドさんって、作物を育てているけど、どういう食べ物が好きとか、全然知らないんだよね。
 ……大丈夫かな?

「ね、ねぇ、テレーズさん。実は、さっき話した魔法大会の事なんだけど、私の出場ペアがそのローランドさんなの」
「……つまり、先日いただいたアイテム以外でも、何かしらのお世話になったと?」
「うん。あと、普段魔法を教えてくれているのもローランドさんだから、テレーズさんから食べ物をプレゼントするのに加えて、何か私からも贈りたいんだけど……」
「ふむ……わかりました。では、昼食の後に街へ何か買いに行きましょうか」
「ありがとう」

 よ、よし。一先ず、これで万が一食べ物でがっかりされた場合にもフォローが出来るはずよっ!
 元より、買取屋さんに売った物はローランドさんに関係ないから、それだけの為に行くと意味不明なやり取りになるかもしれなかったけど、魔法大会のお礼だと言えば、強引に話を纏められるはずっ!
 それから、テレーズさんが部屋の掃除をしてくれている間に、私も服を着替え、テレーズさんが持ってきてくれていた昼食をいただく。
 サンドウィッチとスープなんだけど、どれも家の領地で取れた作物から作った物らしい。
 ローランドさんの領地も作物を作っているし、ときメイの世界では作物を作っている貴族が多いのかな?
 ……というか、土地を治めているんだから、作物を作るのが当たり前なの?
 そんな事を考えつつ、昼食を終えると街へ。

「ルーシー様。どのような物をお贈りされようとお考えなのですか?」
「んー、食べ物はテレーズさんと被っちゃうのと、装飾品には興味が無さそうな人なのよね」
「なるほど。では、実用的な物がよろしいのでしょうか?」
「そうかもね。何が良いんだろ?」

 私が身に着けている守りの腕輪を、メリッサさんが欲しいって言ったら即あげちゃったし、テレーズさんの言う通り実用的な物を……って、何だろ?
 石鹸とか? タオルとか?
 ……良く考えたら私、日本でも男性にプレゼントとかあげた事が無かった!
 だ、男性にプレゼントって、何が喜ばれるのっ!?
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