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第22話 人工ダンジョンのボス
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「じゃあ、俺たちは先に出発させてもらうぜ……ちなみに、左の通路を進ませもらう」
最後の課題を前に、二人組の男たちが先に出発した。
俺とフレイアとソフィアは残ってオジサンの説明を受ける事に。
「彼らは数回目の受講なので先に行きましたが、このダンジョンは三つの道があります。左側を進むと言っていたので、皆さんは真ん中か右の道を進むようにしてください」
「あの、私たちが左側を通ってはいけない理由は?」
「左側の通路に出る魔物とボスを、あの二人が先に倒してしまいますからね」
なるほど。それはそうか。
魔物を倒して素材集め……とかなら別だが、ダンジョンを突破しろという課題で、後をついて行くだけでクリアっていうのはダメだよな。
「ちなみに、このダンジョンに現れる魔物は弱いが、距離が物凄く長い。地上からここへ戻って来るのも翌日になるので、野営をする事になるだろう。尚、仮に夜通し歩いて深夜に戻って来たとしても私は居ない。その為、夜はしっかり休むように」
野営か。
俺は全く問題無いが、フレイアとソフィアは大丈夫だろうか。
チラっと様子を伺ってみたけど……二人とも何とも思っていなさそうだな。
「以上で説明は終わりだ。では、最後の課題、頑張ってくれ」
そう言って、オジサンが何処かへ行ってしまった。
「じゃあ、真ん中と右……どっちでも構わないよな?」
「うむ。では、真ん中にしよう」
「あ、私も連れて行ってくださーい!」
フレイアの提案で真ん中の道へ入り、ソフィアもついて来る。
暫く歩くと、魔物っぽいのが現れたのだが、
「……このネズミが魔物なのだろうか? 随分弱いし、ダンジョンに棲みついている動物かな?」
「そうかもしれないな。無視しても良いが、目障りなら私が斬り捨てよう」
「あの、それってラージ・マウスって言って、一応魔物として扱われているんですけど……お二人にとっては障害にならないんですね」
とにかく出現するのが弱い。
ネズミだとか、蛇とか、サソリとかが、ちょっと大きくなった程度の魔物だ。
白虎の力や風魔法を使うまでもなく、蹴り倒しながら暫く進むと、黄色いスライムが現れた。
「お。ちょっとだけ魔物っぽくなったな。俺の風魔法を試してみよう……ウインド・カッター」
腰に差した借りている杖を手にすると、手首のスナップを利かせながら杖を振り……一撃でスライムを倒した。
「うむ、見事だな。アルフレッドは体術と風魔法が使えるようになったのだな。剣しか使えない私とは大違いだ」
「……今のは、どっちかっていうと魔法じゃなくて体術な気が……いえ、何でも無いです」
ソフィアが俺の魔法について、何か言いかけてくれていたようだが、何だったのだろうか。
良く聞こえなかったので、改めて聞いてみよと思ったのだが、前方に明るい光が差し込んでいる。
「あれ? まさか、もうダンジョンは終わりなのか?」
「そんな事はないだろう。あの試験管の男性は、ダンジョンにボスが居ると言っていたし」
「だよな。じゃあ、このダンジョンを出た所にボスが居るのかもな」
光苔の薄暗い明かりに慣れていた目には眩し過ぎる外へ出ると、大きなドラゴンが居た。
なるほど。これなら確かにボスっぽいな。
「あ、アルフレッド……これは棄権しよう。流石にこんなのがボスだなんて、おかしい」
フレイアが棄権するというが……あぁ、俺が白虎の力を使わずには勝てないと言いたいのか。
確かに、白虎の力を使えば一撃だが、使わずに風魔法だけで倒すのは難しいのかもしれない。
「あ、アルフレッドさん! フレイアさんの言う通りです。ドラゴンの鱗は魔法が効きにくいですし、無理ですよっ!」
なるほど。ドラゴンに風魔法は効かないと。
それは確かに困ったな。だが、白虎の力を使わずに冒険者としてやっていけるようになりたいのだが……いや、待てよ。
俺一人なら使わずに挑んでも良いけど、フレイアとソフィアと一緒に行動している訳だし、二人の合否もかかっているから、ダメか。
俺の我が儘に二人を付き合わす訳にもいかないし、さっさと倒すか。
「アルフレッド!? 何をする気なんだ!? 流石にアルフレッドでも無理だ……は!?」
「え!? えぇぇぇっ!? あ、アルフレッドさん!? ちょ、ちょっと、今ドラゴンを殴って……一発で倒しました!?」
フレイアとソフィアが何か騒いでいるけど……お、前と違ってこのドラゴンは消えないのか。
「おーい、フレイア。ドラゴンの肉を適当に斬ってくれないか? 旨そうだから食べてみよう」
「は……ははは。なるほど、私が勝てぬ訳だ。えーっと……ど、ドラゴンステーキという奴か。アルフレッドの料理は旨いし、楽しみだな」
「えっ!? これ、夢……ですよね? どうしてドラゴンに遭遇して平然と……あ、私も食べます! 食べますぅーっ!」
流石に、大きなドラゴンの肉を全ては持ち運べないので、少し早めの昼食とする事にした。
最後の課題を前に、二人組の男たちが先に出発した。
俺とフレイアとソフィアは残ってオジサンの説明を受ける事に。
「彼らは数回目の受講なので先に行きましたが、このダンジョンは三つの道があります。左側を進むと言っていたので、皆さんは真ん中か右の道を進むようにしてください」
「あの、私たちが左側を通ってはいけない理由は?」
「左側の通路に出る魔物とボスを、あの二人が先に倒してしまいますからね」
なるほど。それはそうか。
魔物を倒して素材集め……とかなら別だが、ダンジョンを突破しろという課題で、後をついて行くだけでクリアっていうのはダメだよな。
「ちなみに、このダンジョンに現れる魔物は弱いが、距離が物凄く長い。地上からここへ戻って来るのも翌日になるので、野営をする事になるだろう。尚、仮に夜通し歩いて深夜に戻って来たとしても私は居ない。その為、夜はしっかり休むように」
野営か。
俺は全く問題無いが、フレイアとソフィアは大丈夫だろうか。
チラっと様子を伺ってみたけど……二人とも何とも思っていなさそうだな。
「以上で説明は終わりだ。では、最後の課題、頑張ってくれ」
そう言って、オジサンが何処かへ行ってしまった。
「じゃあ、真ん中と右……どっちでも構わないよな?」
「うむ。では、真ん中にしよう」
「あ、私も連れて行ってくださーい!」
フレイアの提案で真ん中の道へ入り、ソフィアもついて来る。
暫く歩くと、魔物っぽいのが現れたのだが、
「……このネズミが魔物なのだろうか? 随分弱いし、ダンジョンに棲みついている動物かな?」
「そうかもしれないな。無視しても良いが、目障りなら私が斬り捨てよう」
「あの、それってラージ・マウスって言って、一応魔物として扱われているんですけど……お二人にとっては障害にならないんですね」
とにかく出現するのが弱い。
ネズミだとか、蛇とか、サソリとかが、ちょっと大きくなった程度の魔物だ。
白虎の力や風魔法を使うまでもなく、蹴り倒しながら暫く進むと、黄色いスライムが現れた。
「お。ちょっとだけ魔物っぽくなったな。俺の風魔法を試してみよう……ウインド・カッター」
腰に差した借りている杖を手にすると、手首のスナップを利かせながら杖を振り……一撃でスライムを倒した。
「うむ、見事だな。アルフレッドは体術と風魔法が使えるようになったのだな。剣しか使えない私とは大違いだ」
「……今のは、どっちかっていうと魔法じゃなくて体術な気が……いえ、何でも無いです」
ソフィアが俺の魔法について、何か言いかけてくれていたようだが、何だったのだろうか。
良く聞こえなかったので、改めて聞いてみよと思ったのだが、前方に明るい光が差し込んでいる。
「あれ? まさか、もうダンジョンは終わりなのか?」
「そんな事はないだろう。あの試験管の男性は、ダンジョンにボスが居ると言っていたし」
「だよな。じゃあ、このダンジョンを出た所にボスが居るのかもな」
光苔の薄暗い明かりに慣れていた目には眩し過ぎる外へ出ると、大きなドラゴンが居た。
なるほど。これなら確かにボスっぽいな。
「あ、アルフレッド……これは棄権しよう。流石にこんなのがボスだなんて、おかしい」
フレイアが棄権するというが……あぁ、俺が白虎の力を使わずには勝てないと言いたいのか。
確かに、白虎の力を使えば一撃だが、使わずに風魔法だけで倒すのは難しいのかもしれない。
「あ、アルフレッドさん! フレイアさんの言う通りです。ドラゴンの鱗は魔法が効きにくいですし、無理ですよっ!」
なるほど。ドラゴンに風魔法は効かないと。
それは確かに困ったな。だが、白虎の力を使わずに冒険者としてやっていけるようになりたいのだが……いや、待てよ。
俺一人なら使わずに挑んでも良いけど、フレイアとソフィアと一緒に行動している訳だし、二人の合否もかかっているから、ダメか。
俺の我が儘に二人を付き合わす訳にもいかないし、さっさと倒すか。
「アルフレッド!? 何をする気なんだ!? 流石にアルフレッドでも無理だ……は!?」
「え!? えぇぇぇっ!? あ、アルフレッドさん!? ちょ、ちょっと、今ドラゴンを殴って……一発で倒しました!?」
フレイアとソフィアが何か騒いでいるけど……お、前と違ってこのドラゴンは消えないのか。
「おーい、フレイア。ドラゴンの肉を適当に斬ってくれないか? 旨そうだから食べてみよう」
「は……ははは。なるほど、私が勝てぬ訳だ。えーっと……ど、ドラゴンステーキという奴か。アルフレッドの料理は旨いし、楽しみだな」
「えっ!? これ、夢……ですよね? どうしてドラゴンに遭遇して平然と……あ、私も食べます! 食べますぅーっ!」
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