4 / 12
4
しおりを挟む
4人で食事をとることになったのはいいものの、ランのマナーが想像以上に出来てなくて困った。
ナイフやフォークの扱い方は間違えてるし、カチャカチャと食器の音を立ててしまう回数も多い。
「ラン、家でマナーについてはあまり教わってない?」
「あっ。ごめん。不快な思いをさせたよね」
「いや、不快な思いは全くしてないんだけど、少し気になって。これから会食とかも増えるだろうし」
これももしかしてイジメとみなされるのだろうか。俺は冷や汗をかく。
「お父さんもお母さんもゆっくり学んでいけばいいって言ってくれてるんだ。だからあんまり教わってない。
お父さんもお母さんも優しいんだけど、僕に甘いところがあるっていうか…。
今まで離れ離れだったから余計過保護になるのも仕方ないんだけどね」
「よかったらこれから俺が教えようか?」
思わずそんなことを言ってしまった。
「いいの?ビシバシ教育してほしい!」
「言っておくけど、俺の指導は厳しいからな~?」
「頑張るよ!」
ランはフンスと可愛らしく鼻息を荒くした。
こうして関わらないと決めていた主人公と仲良くなることになってしまった。
その日から俺のスパルタ教育が始まった。
「違う!使うナイフは外側から!」
「ナイフの握り方はこう!」
「ナプキンはこう畳んで!」
食事くらいゆっくり楽しみたいのではと言ったこともあるが、ランがそうしてほしいというので俺は全面的に協力している。
仲間の1人はダンスが得意なので、ダンスは基本的にソイツが主力となってやっている。
「何をしてるの?」
不意に声をかけられ振り向くと、そこにはロージーが立っていた。
「ラン様のマナーを正しているところです」
「ランも食事くらいゆっくり取りたいんじゃない?」
「私もそう申し上げましたが、ラン様たってのご希望なので」
「そうなの?」
ロージーがランに尋ねる。
「はい!僕はマナーに至らないところが多いので、早くみんなに馴染みたくて!」
「そうなんだ…。ランは努力家だね。私も手伝おうか?」
俺の第六感が叫んでいる。このままではランとロージーはいい感じになると。
阻止しないと、断罪される。
「ロージー様!ロージー様は生徒会長の仕事で忙しいではありませんか。ロージー様に手間をかけさせるわけにはいきません。私がしっかり指導しますので」
「私もランの同級生の1人として手伝いたいだけなんだけど…」
回答をミスったようだ。あからさまにロージーのテンションが下がった。
頭の中でサイレンが鳴る。
好感度を下げないためには何といえばいいんだ?
「では、ロージー様にはまた今度ご指導お願いしにいきますね!
ロージー様がこんなにお優しい人だなんて知らなかった!とても嬉しいです!」
「そんな、優しいだなんて…。当たり前のことを言ったまでだよ。
じゃあ、またね、ラン。ガベラも。」
ガベラもって。ガベラもって何だよ!付属品みたいに言いやがって。
心の中で悪態をつく。
しかし、こんなことを考えている場合ではない。
長年良好に築いてきた関係性に信頼を置きすぎたのだ。
このままではランにロージーを奪われてしまう。
何とかしないと、と思いつつも、恋をしてしまった時、その気持ちは誰にも止められないのだということを頭のどこかで理解していた。
ナイフやフォークの扱い方は間違えてるし、カチャカチャと食器の音を立ててしまう回数も多い。
「ラン、家でマナーについてはあまり教わってない?」
「あっ。ごめん。不快な思いをさせたよね」
「いや、不快な思いは全くしてないんだけど、少し気になって。これから会食とかも増えるだろうし」
これももしかしてイジメとみなされるのだろうか。俺は冷や汗をかく。
「お父さんもお母さんもゆっくり学んでいけばいいって言ってくれてるんだ。だからあんまり教わってない。
お父さんもお母さんも優しいんだけど、僕に甘いところがあるっていうか…。
今まで離れ離れだったから余計過保護になるのも仕方ないんだけどね」
「よかったらこれから俺が教えようか?」
思わずそんなことを言ってしまった。
「いいの?ビシバシ教育してほしい!」
「言っておくけど、俺の指導は厳しいからな~?」
「頑張るよ!」
ランはフンスと可愛らしく鼻息を荒くした。
こうして関わらないと決めていた主人公と仲良くなることになってしまった。
その日から俺のスパルタ教育が始まった。
「違う!使うナイフは外側から!」
「ナイフの握り方はこう!」
「ナプキンはこう畳んで!」
食事くらいゆっくり楽しみたいのではと言ったこともあるが、ランがそうしてほしいというので俺は全面的に協力している。
仲間の1人はダンスが得意なので、ダンスは基本的にソイツが主力となってやっている。
「何をしてるの?」
不意に声をかけられ振り向くと、そこにはロージーが立っていた。
「ラン様のマナーを正しているところです」
「ランも食事くらいゆっくり取りたいんじゃない?」
「私もそう申し上げましたが、ラン様たってのご希望なので」
「そうなの?」
ロージーがランに尋ねる。
「はい!僕はマナーに至らないところが多いので、早くみんなに馴染みたくて!」
「そうなんだ…。ランは努力家だね。私も手伝おうか?」
俺の第六感が叫んでいる。このままではランとロージーはいい感じになると。
阻止しないと、断罪される。
「ロージー様!ロージー様は生徒会長の仕事で忙しいではありませんか。ロージー様に手間をかけさせるわけにはいきません。私がしっかり指導しますので」
「私もランの同級生の1人として手伝いたいだけなんだけど…」
回答をミスったようだ。あからさまにロージーのテンションが下がった。
頭の中でサイレンが鳴る。
好感度を下げないためには何といえばいいんだ?
「では、ロージー様にはまた今度ご指導お願いしにいきますね!
ロージー様がこんなにお優しい人だなんて知らなかった!とても嬉しいです!」
「そんな、優しいだなんて…。当たり前のことを言ったまでだよ。
じゃあ、またね、ラン。ガベラも。」
ガベラもって。ガベラもって何だよ!付属品みたいに言いやがって。
心の中で悪態をつく。
しかし、こんなことを考えている場合ではない。
長年良好に築いてきた関係性に信頼を置きすぎたのだ。
このままではランにロージーを奪われてしまう。
何とかしないと、と思いつつも、恋をしてしまった時、その気持ちは誰にも止められないのだということを頭のどこかで理解していた。
991
あなたにおすすめの小説
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
尊敬している先輩が王子のことを口説いていた話
天使の輪っか
BL
新米騎士として王宮に勤めるリクの教育係、レオ。
レオは若くして団長候補にもなっている有力団員である。
ある日、リクが王宮内を巡回していると、レオが第三王子であるハヤトを口説いているところに遭遇してしまった。
リクはこの事を墓まで持っていくことにしたのだが......?
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!
灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」
そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。
リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。
だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く。が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。
みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。
追いかけてくるまで説明ハイリマァス
※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!
シレッとBL大賞に応募していました!良ければ投票よろしくおねがいします!
闇を照らす愛
モカ
BL
いつも満たされていなかった。僕の中身は空っぽだ。
与えられていないから、与えることもできなくて。結局いつまで経っても満たされないまま。
どれほど渇望しても手に入らないから、手に入れることを諦めた。
抜け殻のままでも生きていけてしまう。…こんな意味のない人生は、早く終わらないかなぁ。
何故か男の僕が王子の閨係に選ばれました
まんまる
BL
貧乏男爵家の次男カナルは、ある日父親から呼ばれ、王太子の閨係に選ばれたと言われる。
どうして男の自分が?と戸惑いながらも、覚悟を決めて殿下の元へいく。
しかし、殿下は自分に触れることはなく、何か思いがあるようだった。
優しい二人の恋のお話です。
婚約破棄を傍観していた令息は、部外者なのにキーパーソンでした
Cleyera
BL
貴族学院の交流の場である大広間で、一人の女子生徒を囲む四人の男子生徒たち
その中に第一王子が含まれていることが周囲を不安にさせ、王子の婚約者である令嬢は「その娼婦を側に置くことをおやめ下さい!」と訴える……ところを見ていた傍観者の話
:注意:
作者は素人です
傍観者視点の話
人(?)×人
安心安全の全年齢!だよ(´∀`*)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる