狂わせたのは君なのに

一寸光陰

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図書館で勉強しているとあの3人組が乱入してくることが増えた。
そこでランの家で勉強することになった。


家の前でランが俺を待ってくれていた。ランにエスコートされながら家の中に入っていく。

「ここがランの家か~!素敵だね」

「ガベラの家も荘厳で美しいけど」

「ランの家はあったかい感じがする。色合いも優しいし。ランみたい!」

「ありがとう」

ランが頬を染めて笑った。

その姿があまりにも美しくて、俺は思わず見惚れてしまった。

最近ランはますます美しくなったようだ。
可愛さだけでなく色気までもつようになった。背もぐんぐん伸びて、ランと話す時、俺は少し見上げなくてはならない。


「あっ、ガベラ、僕のお父さんとお母さんだよ」

そこには美しい2人の男女が立っていた。

ランは母親似なんだな。

「君がガベラ君だね。いつもランが世話になってるよ。ランは君のことが大好きみたいでね、いつも君の話ばかり聞かされてるんだ」

「そうなんですか!
私の方こそランさんにはお世話になっております。ランさんといると本当に楽しくて…。こんなに素晴らしい友人と巡り会えて幸せです。」

「ガベラ君はマカロンが好きって聞いたわ。たくさん用意してあるからゆっくりくつろいでね」

「ありがとうございます」


ランの両親は、ランのように優しい人たちだった。話していると心がポカポカして暖かくなる。


「じゃあ僕の部屋に行こっか!」

ランの部屋は意外にもシンプルで落ち着いていた。木目調の家具で統一されており、壁紙もシンプルな白だ。

「今日はごめんね。僕の家になっちゃって。なぜだかロージー様達に目をつけられてるんだ」

ランはそこまで言うとハッとした顔をしてこちらを見た。
ロージーの婚約者である俺にこんなことを言うのは無礼だと思ったのだろう。

「いや、いいんだ。別にロージー様に愛情はそんなになかったし。なんだろう、小さい頃から知っていた近所の猫みたいな?近所の子供みたいな?」

「ふふふっ。何それ。変な例え」

ランはくすくす笑う。

「愛がなかったって言うと嘘になるけど、恋ではなかったんだ。だからこうなるのも仕方ないのかもしれない」

「ガベラ…。僕、今度ガツンと言うよ!ガベラにいじめられてないし、僕に構わないでって!」

「やめとけ!そう思われてた方がランにとっては有利だろ?王太子に気に入られてて損することはないし。そのまま王妃になれるかもしれないし…」

「ガベラはそれでいいの?」

ランにまっすぐ見つめられる。淡い黄色の瞳に見つめられてクラクラしそうだ。

「いいんだ。俺はランの幸せを願ってる。ランが幸せになるためなら、婚約者だって差し出すさ」

「本当にいいんだね、ロージー様と婚約解消することになっても。」

「いいよ。昔から覚悟はしてたところもあるから」

「僕、遠慮はしないよ?」

「うん。ランならどんな人も虜にできるさ。ランと結婚できる人は幸せだよ」

「ガベラ、ありがとう。僕頑張るね」

ランの瞳が熱く燃えているような気がした。


やっぱり2人は両想いだったんじゃないか。

でもランを恨むことはできないな。

俺は来たる市井生活のことを考えていた。


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