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6月
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「おはよう、、、」
「秋人おはよう。どうした?寝不足か?」
「寝不足に決まってんだろ!今日は遠足だぞ!!」
俺はまだ少し重い瞼を大きく開いて反論する。
今日は遠足。この遠足で誰と過ごすかでどのルートに入るのかという初期選択が決まる。2年の紫苑先輩のルートに入りたい時は、遠足には参加せず学校に行く。だが、黒瀬は遠足のバスに乗り込もうとしているし、紫苑先輩ルートではないのだろう。後からルート変更もできなくはないが。
黒瀬は誰のことを選ぶのだろう。隣の座席の黒瀬のことをじっと見る。
黒瀬はゲーム設定通り、整った顔立ちをしている。くっきりとした二重に高い鼻、手足は長くモデルのようだ。だが、西洋風という感じもなく純日本風のイケメンだ。
俺はこの3年以上の月日を黒瀬と共に過ごしてきた。黒瀬のゲーム設定に載ってないようないいところもたくさん知っている。黒瀬ならどのヒロインを選んでもうまくいくだろう。
またドクンと心臓が大きく鼓動した。
「そんなに見つめてどうした?
もしかしてこのお菓子欲しいのか?ほらよ。」
そんな俺とは対照的に、いつも通りすぎる黒瀬に思わず笑みがこぼれてしまう。
「さんきゅ。でも俺、ガムはミントじゃなくてソーダ味派だから。これからはそっちを買ってきて。」
いつもなら何か言い返す黒瀬も、様子のおかしかった俺がいつも通りの口調に戻って安心したのだろうか、
「秋人の好きな味くらい知ってる。ソーダ味もあるよ。」
と言って微笑んだ。
また胸が強く鼓動した。でも嫌な感じはしなかった。
バスはBBQ会場に到着した。
「海だー!!!」
騒ぐ俺に黒瀬はやれやれといった表情だ。
「海を見ながらBBQなんて最高じゃん!しかも午後は海のほうに行ってもいいんだって!」
「6月だぞ。海の中には入るなよ?」
「わかってるって」
BBQのメンバー表を見る。BBQのメンツは俺、黒瀬、青柳さん、桃瀬さん、赤星さん、そして田中君だ。
「オレ、田中翔っていいます!よろしくね~」
田中くんが笑顔で挨拶する。明るくていい人そうで安心だ。
「黒瀬に、鈴木、だったよな。俺ら入学式早々話題になってた美人四天王と一緒なんてラッキーだよな」
田中くんがこそこそ耳打ちする。
「美人四天王?」
何だそのダサい名前。
「知らねぇの?青柳さん、桃瀬さん、赤星さん、黄川さんの4人で美人四天王!あそこはずば抜けて美人だから、俺芸能人かと思っちゃったよ」
「へー」
黒瀬が興味なさそうに返事をする。
「え!興味ねぇの?お前モテそうなのに恋愛とか興味ない感じ?」
「いや、恋愛に興味がないことはないけど、、」
「あ!!好きな人いるんだろ。」
黒瀬の耳が少し赤くなる。
「誰だよ?誰!せっかく一緒のメンバーになったんだし教えろよ~」
「集まって下さーい」
先生の声がする。
「そんなことより収集だ。行こう。」
「ちぇっ。なんかはぐらされた気がする」
誰だ??ていうか好きな人いるなんて話聞いてない!俺親友なのに、、、
そういえば今まで黒瀬と恋愛話なんてしたことなかったな。ゲームの題名「premier amour」はフランス語で初恋の意味。だから高校までは恋愛なんてしないだろって思って一切そういう話をしてこなかった。
黒瀬の好きな人。気持ちが昂ったような、焦燥感のような、切なさのような、そんな気持ちが胸に広がる。
親友の黒瀬にいよいよ恋が訪れるのかもしれないと焦っているのかもしれない。俺は恋愛なんてしたことないから。前世では小学校時代に一度だけあったが、何もせず終わってしまった。恋愛初心者なのだ。
「黒瀬!」
「ん?」
気がつけば黒瀬の名前を呼んでいた。
「どうした?」
「どっちが速く集合場所行けるか勝負な!」
俺は思い切り地面を蹴って黒瀬を追い越した。
黒瀬にこんな醜いことを思ってるなんて知られたくなかった。
「秋人おはよう。どうした?寝不足か?」
「寝不足に決まってんだろ!今日は遠足だぞ!!」
俺はまだ少し重い瞼を大きく開いて反論する。
今日は遠足。この遠足で誰と過ごすかでどのルートに入るのかという初期選択が決まる。2年の紫苑先輩のルートに入りたい時は、遠足には参加せず学校に行く。だが、黒瀬は遠足のバスに乗り込もうとしているし、紫苑先輩ルートではないのだろう。後からルート変更もできなくはないが。
黒瀬は誰のことを選ぶのだろう。隣の座席の黒瀬のことをじっと見る。
黒瀬はゲーム設定通り、整った顔立ちをしている。くっきりとした二重に高い鼻、手足は長くモデルのようだ。だが、西洋風という感じもなく純日本風のイケメンだ。
俺はこの3年以上の月日を黒瀬と共に過ごしてきた。黒瀬のゲーム設定に載ってないようないいところもたくさん知っている。黒瀬ならどのヒロインを選んでもうまくいくだろう。
またドクンと心臓が大きく鼓動した。
「そんなに見つめてどうした?
もしかしてこのお菓子欲しいのか?ほらよ。」
そんな俺とは対照的に、いつも通りすぎる黒瀬に思わず笑みがこぼれてしまう。
「さんきゅ。でも俺、ガムはミントじゃなくてソーダ味派だから。これからはそっちを買ってきて。」
いつもなら何か言い返す黒瀬も、様子のおかしかった俺がいつも通りの口調に戻って安心したのだろうか、
「秋人の好きな味くらい知ってる。ソーダ味もあるよ。」
と言って微笑んだ。
また胸が強く鼓動した。でも嫌な感じはしなかった。
バスはBBQ会場に到着した。
「海だー!!!」
騒ぐ俺に黒瀬はやれやれといった表情だ。
「海を見ながらBBQなんて最高じゃん!しかも午後は海のほうに行ってもいいんだって!」
「6月だぞ。海の中には入るなよ?」
「わかってるって」
BBQのメンバー表を見る。BBQのメンツは俺、黒瀬、青柳さん、桃瀬さん、赤星さん、そして田中君だ。
「オレ、田中翔っていいます!よろしくね~」
田中くんが笑顔で挨拶する。明るくていい人そうで安心だ。
「黒瀬に、鈴木、だったよな。俺ら入学式早々話題になってた美人四天王と一緒なんてラッキーだよな」
田中くんがこそこそ耳打ちする。
「美人四天王?」
何だそのダサい名前。
「知らねぇの?青柳さん、桃瀬さん、赤星さん、黄川さんの4人で美人四天王!あそこはずば抜けて美人だから、俺芸能人かと思っちゃったよ」
「へー」
黒瀬が興味なさそうに返事をする。
「え!興味ねぇの?お前モテそうなのに恋愛とか興味ない感じ?」
「いや、恋愛に興味がないことはないけど、、」
「あ!!好きな人いるんだろ。」
黒瀬の耳が少し赤くなる。
「誰だよ?誰!せっかく一緒のメンバーになったんだし教えろよ~」
「集まって下さーい」
先生の声がする。
「そんなことより収集だ。行こう。」
「ちぇっ。なんかはぐらされた気がする」
誰だ??ていうか好きな人いるなんて話聞いてない!俺親友なのに、、、
そういえば今まで黒瀬と恋愛話なんてしたことなかったな。ゲームの題名「premier amour」はフランス語で初恋の意味。だから高校までは恋愛なんてしないだろって思って一切そういう話をしてこなかった。
黒瀬の好きな人。気持ちが昂ったような、焦燥感のような、切なさのような、そんな気持ちが胸に広がる。
親友の黒瀬にいよいよ恋が訪れるのかもしれないと焦っているのかもしれない。俺は恋愛なんてしたことないから。前世では小学校時代に一度だけあったが、何もせず終わってしまった。恋愛初心者なのだ。
「黒瀬!」
「ん?」
気がつけば黒瀬の名前を呼んでいた。
「どうした?」
「どっちが速く集合場所行けるか勝負な!」
俺は思い切り地面を蹴って黒瀬を追い越した。
黒瀬にこんな醜いことを思ってるなんて知られたくなかった。
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