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8月
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「鈴木くんに話があるの。」
桃瀬さんは突然現れてそう言った。
「どうしたの?」
「えっとね~、、、ここじゃちょっと」
「放課後空いてる?それなら人もいないし。」
「そうしよっか!じゃあまた放課後ね~!」
話とは一体なんだろう。見当もつかない。
俺と桃瀬さんははっきり言って仲良くはない。中学からの付き合いだし、黒瀬と桃瀬さんがあんなに仲がいいんだから仲良くなってもおかしくはないのだが、何故かあまり話した事はない。だからと言って仲が悪いわけでもない。本当にただのクラスメイトだ。
放課後の教室には誰もいない。遠くから弦楽部のバイオリンの音が聞こえてくる。
「それで話って?」
「実はね、夢乃、れいのことが好きなんだ。」
知ってます!とも言いづらく、そうなんだと少し驚いた表現をする。
「でもなかなか幼馴染っていう立ち位置から進展できなくて困ってるの、、、。
遊ぶ回数も話す回数も昔に比べたら減ってるし、、、。」
瞳をうるうるさせながら見つめてくる桃瀬さん。可愛い!可愛すぎる!
「何でだろって夢乃考えたの。そしたらね、いつも鈴木くんと遊ぶからって断られてたのに気づいちゃって、」
俺はこの後のセリフが分かってしまった。本来ならここで分かった!協力する!と答えるべきなのだろうが、どうにも気が進まない。どうか別のお願い事であってくれと祈る。
「それでね、夢乃、夏休み中にれいと付き合いたいの。
だから、、、」
俺は息を呑む。
「だから、あんまり黒瀬くんに付き纏わないで欲しいの。」
俺は2人のおじゃま虫だったんだなと気づく。ゲームと違って黒瀬が毎朝俺と学校に登校しているのも、海辺で俺と過ごしたのも、全部他のヒロインたちの邪魔をしていると薄ら気づいていたもの、目を背けていた。黒瀬のそばにいたかったから。でも、面と向かって苦情を言われてしまったのならもう引き時なのかもしれない。俺たちは一緒にいすぎた。
俺がもしかしたら黒瀬の恋路の邪魔をしていたのかもしれない。
俺は雷に打たれたように、しばらく動けずにいた。
「明日から夏休みが始まるが気を抜くんじゃないぞー。毎日勉強して勉強習慣を身につけるように。」
「夏休みだー!やったー!!」
「まあ、補修あるけどな。」
「おい、黒瀬。そんな冷めるようなこと言うなよ。」
「夏といったら海にプールにキャンプでしょ!楽しみー!!」
「じゃあ俺は今年は秋人の家に入り浸ろうかな。」
「え!無理!」
俺は必死に黒瀬を止める。
「俺さー、母親がうるさくて勉強しなきゃダメなんだよな。だからあんまり家いないと思う。図書館に行くつもりだから!」
「でも、さっきプールとかキャンプとか言ってたじゃん。」
「興奮して忘れてたの!」
「じゃあ俺も図書館行こうかな。」
「お前は来るな!お前はやらなきゃいけないことがいっぱいあるだろ?」
「お前と過ごすこと以外見つからないんだけど。」
「幼馴染と親睦深めるとかさー。桃瀬さん誘ってどこか遠出でもしてこいよ!」
「、、、そんなに俺と一緒にいたくないの?」
俺はやばいと思って黒瀬の顔を見る。
黒瀬は怒ったような泣きそうなような顔をしていた。あ、やばい、そう思った時にはもう手遅れだ。
「言われてみれば一緒にいたいって思ってるの俺だけかもな。
朝一緒に登校してるのだって俺から誘ったことだし、休み時間話しかけるのだって俺からの方が多い。
迷惑だったんなら言ってくれないとわからないよ。」
「黒瀬!!!」
俺は教室を出た黒瀬を追いかける。
黒瀬の腕を掴んだが振り解かれてしまった。
「しばらく話しかけないで。」
黒瀬の泣きそうな声が頭にこだました。
桃瀬さんは突然現れてそう言った。
「どうしたの?」
「えっとね~、、、ここじゃちょっと」
「放課後空いてる?それなら人もいないし。」
「そうしよっか!じゃあまた放課後ね~!」
話とは一体なんだろう。見当もつかない。
俺と桃瀬さんははっきり言って仲良くはない。中学からの付き合いだし、黒瀬と桃瀬さんがあんなに仲がいいんだから仲良くなってもおかしくはないのだが、何故かあまり話した事はない。だからと言って仲が悪いわけでもない。本当にただのクラスメイトだ。
放課後の教室には誰もいない。遠くから弦楽部のバイオリンの音が聞こえてくる。
「それで話って?」
「実はね、夢乃、れいのことが好きなんだ。」
知ってます!とも言いづらく、そうなんだと少し驚いた表現をする。
「でもなかなか幼馴染っていう立ち位置から進展できなくて困ってるの、、、。
遊ぶ回数も話す回数も昔に比べたら減ってるし、、、。」
瞳をうるうるさせながら見つめてくる桃瀬さん。可愛い!可愛すぎる!
「何でだろって夢乃考えたの。そしたらね、いつも鈴木くんと遊ぶからって断られてたのに気づいちゃって、」
俺はこの後のセリフが分かってしまった。本来ならここで分かった!協力する!と答えるべきなのだろうが、どうにも気が進まない。どうか別のお願い事であってくれと祈る。
「それでね、夢乃、夏休み中にれいと付き合いたいの。
だから、、、」
俺は息を呑む。
「だから、あんまり黒瀬くんに付き纏わないで欲しいの。」
俺は2人のおじゃま虫だったんだなと気づく。ゲームと違って黒瀬が毎朝俺と学校に登校しているのも、海辺で俺と過ごしたのも、全部他のヒロインたちの邪魔をしていると薄ら気づいていたもの、目を背けていた。黒瀬のそばにいたかったから。でも、面と向かって苦情を言われてしまったのならもう引き時なのかもしれない。俺たちは一緒にいすぎた。
俺がもしかしたら黒瀬の恋路の邪魔をしていたのかもしれない。
俺は雷に打たれたように、しばらく動けずにいた。
「明日から夏休みが始まるが気を抜くんじゃないぞー。毎日勉強して勉強習慣を身につけるように。」
「夏休みだー!やったー!!」
「まあ、補修あるけどな。」
「おい、黒瀬。そんな冷めるようなこと言うなよ。」
「夏といったら海にプールにキャンプでしょ!楽しみー!!」
「じゃあ俺は今年は秋人の家に入り浸ろうかな。」
「え!無理!」
俺は必死に黒瀬を止める。
「俺さー、母親がうるさくて勉強しなきゃダメなんだよな。だからあんまり家いないと思う。図書館に行くつもりだから!」
「でも、さっきプールとかキャンプとか言ってたじゃん。」
「興奮して忘れてたの!」
「じゃあ俺も図書館行こうかな。」
「お前は来るな!お前はやらなきゃいけないことがいっぱいあるだろ?」
「お前と過ごすこと以外見つからないんだけど。」
「幼馴染と親睦深めるとかさー。桃瀬さん誘ってどこか遠出でもしてこいよ!」
「、、、そんなに俺と一緒にいたくないの?」
俺はやばいと思って黒瀬の顔を見る。
黒瀬は怒ったような泣きそうなような顔をしていた。あ、やばい、そう思った時にはもう手遅れだ。
「言われてみれば一緒にいたいって思ってるの俺だけかもな。
朝一緒に登校してるのだって俺から誘ったことだし、休み時間話しかけるのだって俺からの方が多い。
迷惑だったんなら言ってくれないとわからないよ。」
「黒瀬!!!」
俺は教室を出た黒瀬を追いかける。
黒瀬の腕を掴んだが振り解かれてしまった。
「しばらく話しかけないで。」
黒瀬の泣きそうな声が頭にこだました。
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