病んでる愛はゲームの世界で充分です!

書鈴 夏(ショベルカー)

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監視型③

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「……だりい」

「なんかあったの?」

 俺の机に突っ伏した体勢のまま。心底疲れているらしく、くぐもった声が聞こえた。

「……補習受けろって言われたんだよ」

「……補習? なんで?」

「小テスト適当にやったら赤点だった」

 不良だ。女の子にいいとこを見せようとしていたときのように、少し本気を出せば勉強だってできそうなものなのに。
 面倒が優先してしまうのか、実力を発揮しないのがなんとも勿体なく思えてしまう。

「早く帰ろうぜ。見つかったらめんどいし」

「……え、補習は?」

「直也と帰る方が大切だろ」

 平然と言うものだから、呆気にとられて。ふと、思い立つ。……もし、俺のことをそんなに大切に思ってくれているならば。俺の前でも、少しいい所を見せようとはしてくれないだろうか?

「……俺はちゃんと補習受ける人の方が好きだな」

「……!」

 衝撃を受けたような顔。

「あとテストもちゃんとやる人の方が好き」

「……!!」

 放った追い打ちに、また雷に撃たれたような表情を浮かべて。大きな目をまあるくし、数秒固まっていたかと思うと──突然、がたりと勢いよく椅子から立ち上がり。

「……ちゃんと受けるからな。いいか、サボったりしないからな。覚えておけ」

 カバンを引っ掴み、去っていってしまった。口ぶりからするに──補習へと向かったのだろう。……思いのほか上手くいきすぎてしまった。ついつい笑いが漏れた。あとで彼にジュースでも買おう。

 どこか寂しさを覚えながら、久々にひとりの気分を味わう。かりかりとシャーペンが紙の上を走る音、時計の針の音、それと部活に打ち込む生徒たちの声。それらを聞きながら、ただ課題を解いた。形容しがたい寂寥感には無視をして。

 ***

 んん、と伸びをする。周りの生徒たちは、いつの間にか帰ってしまっていたようだ。ワークも解き終わった。これで明日、少なくとも締切に追われて地獄を見ることはなくなった。

 疲れた。そろそろ帰り支度をしようか。思っていたよりも遅くなってしまった。だけど、立ち上がるのは少しだるい。吹奏楽の演奏の音と、野球部のバッティングをする音が遠くから聞こえる。
 そうだ。課題も終わったことだし、もう少しだけやんぱらを進めておこうか。ゲームを開き、キャラのストーリーを進めていく。

 監視タイプの少女が、うっとりとした表情を浮かべて主人公に迫るスチルが画面に映った。

『遠くから見ているだけじゃ、我慢できなくなったんです。……ああ、やっぱり。近くで見た方が、魅力的ですね』

 マジで、かなり良い。良すぎ。最高。噛み締めながら、進めるべく画面をタップしようとした瞬間──

「……キミさぁ」

「うわーっ!?」

 後ろから声がして、思わず大声を張り上げていた。
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