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夏だ!遊園地だ!①
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「遊園地だーーーー!!!!」
デジャヴだ。
青空の下、受付を済ませた楓真がはしゃぐ。今日は一日中遊び倒すぞ、と言っていた言葉通り、動きやすいカジュアルな服装だ。それはもちろん、俺も──そして、彼ら兄弟もなのだが。
「茂部くん、前よりも日焼けしたね。ちゃんと日焼け止め塗ってる?」
「あーいや、今日は忘れちゃって……」
確かに、この夏休みで多少肌が焼けたかもしれない。海に行ったときは塗ったはずなのだが──塗りが甘かっただろうか。しかも今日は快晴と来た。日焼け止めを忘れた日に限ってこれだ。
「また焼けますよ。ほら、手を出して」
「はは……うん、ありがとう」
優しい子だ。陽真くんに促されて手を出す。彼は面倒見が良い。おっちょこちょいな兄の背中を見て育ったからだろうか。
出された日焼け止めを塗っていると、優真さんが微笑ましげに笑いを漏らした。
「ふたりとも本当に仲良くなったね」
「とんでもない勘違いされてましたけどね」
「う……その節はすみませんでした……」
それに関しては何も言えない。申し訳なさから視線を落とし、渋い顔で謝罪をすれば、あはは、と快活な声で陽真くんが笑った。珍しい。彼の顔を見ると、口元を押さえて無邪気に破顔して。
「いいですよ、別に。僕らだって悪かったんですから──今日は、楽しみましょうね」
うん。
ああ、本当に──俺たちはれっきとした友人なのだ。再確認し、俺もつられて笑う。
にしても。傍で俺たちの動向を見つめていた優真さんへ目を向ける。
「……優真さんは、勉強とか大丈夫ですか? なんか、いつも来てもらっちゃって……」
「あれ。俺、邪魔だった?」
「違います違います! 受験勉強の邪魔してないか、気になって!」
慌てた俺の反応に、優真さんはおかしそうにくすりと口元を綻ばせた。
「大丈夫。家でちゃんと勉強してるし、模試の判定も問題ないから」
「……すご……」
なんやかんやこの夏休みは遊び倒してしまっていたが、この人はきちんと勉強していたのか。俺は……考えたくないくらいにはできていない。努力を大っぴらには見せないところも、なんだかスマートで憧れてしまう。
「だから、今日はむしろ丁度いい息抜きだよ」
「兄さんは頭いいとこ目指してるけど、A判定なんだよ! すごいよね!」
いつの間にか隣にいた楓真が、自慢げに口を開く。彼のように優秀な兄を持つと、弟としても確かに鼻が高いだろう。
「楓真も成績伸びてきてるしね。陽真も毎日しっかり勉強してるし。えらいえらい」
「もう、また子ども扱いする……」
「諦めましょう。優真兄さんのことですから、何歳になっても多分やりますよ」
ふたりの頭を撫でる。……なんだか、久しぶりに見た気がする。
懐かしさを覚えてじいと見つめていると、なにかに気づいたように優真さんが俺の顔を見た。
「茂部くんも撫でようか」
「えっ、いや、え!? だ、大丈夫です!!」
決して嫌なわけではないけれど、恥ずかしいから。優真さんは幾分か口惜しそうに見えたが、撫でられても気持ちの悪い反応しか返せない気がするし。
「あ、あー……よし! ここで立って話してるのもあれですし、そろそろアトラクションの方に行きましょう!」
照れ混じりに呼びかければ、三人は微笑ましげに頷いた。
デジャヴだ。
青空の下、受付を済ませた楓真がはしゃぐ。今日は一日中遊び倒すぞ、と言っていた言葉通り、動きやすいカジュアルな服装だ。それはもちろん、俺も──そして、彼ら兄弟もなのだが。
「茂部くん、前よりも日焼けしたね。ちゃんと日焼け止め塗ってる?」
「あーいや、今日は忘れちゃって……」
確かに、この夏休みで多少肌が焼けたかもしれない。海に行ったときは塗ったはずなのだが──塗りが甘かっただろうか。しかも今日は快晴と来た。日焼け止めを忘れた日に限ってこれだ。
「また焼けますよ。ほら、手を出して」
「はは……うん、ありがとう」
優しい子だ。陽真くんに促されて手を出す。彼は面倒見が良い。おっちょこちょいな兄の背中を見て育ったからだろうか。
出された日焼け止めを塗っていると、優真さんが微笑ましげに笑いを漏らした。
「ふたりとも本当に仲良くなったね」
「とんでもない勘違いされてましたけどね」
「う……その節はすみませんでした……」
それに関しては何も言えない。申し訳なさから視線を落とし、渋い顔で謝罪をすれば、あはは、と快活な声で陽真くんが笑った。珍しい。彼の顔を見ると、口元を押さえて無邪気に破顔して。
「いいですよ、別に。僕らだって悪かったんですから──今日は、楽しみましょうね」
うん。
ああ、本当に──俺たちはれっきとした友人なのだ。再確認し、俺もつられて笑う。
にしても。傍で俺たちの動向を見つめていた優真さんへ目を向ける。
「……優真さんは、勉強とか大丈夫ですか? なんか、いつも来てもらっちゃって……」
「あれ。俺、邪魔だった?」
「違います違います! 受験勉強の邪魔してないか、気になって!」
慌てた俺の反応に、優真さんはおかしそうにくすりと口元を綻ばせた。
「大丈夫。家でちゃんと勉強してるし、模試の判定も問題ないから」
「……すご……」
なんやかんやこの夏休みは遊び倒してしまっていたが、この人はきちんと勉強していたのか。俺は……考えたくないくらいにはできていない。努力を大っぴらには見せないところも、なんだかスマートで憧れてしまう。
「だから、今日はむしろ丁度いい息抜きだよ」
「兄さんは頭いいとこ目指してるけど、A判定なんだよ! すごいよね!」
いつの間にか隣にいた楓真が、自慢げに口を開く。彼のように優秀な兄を持つと、弟としても確かに鼻が高いだろう。
「楓真も成績伸びてきてるしね。陽真も毎日しっかり勉強してるし。えらいえらい」
「もう、また子ども扱いする……」
「諦めましょう。優真兄さんのことですから、何歳になっても多分やりますよ」
ふたりの頭を撫でる。……なんだか、久しぶりに見た気がする。
懐かしさを覚えてじいと見つめていると、なにかに気づいたように優真さんが俺の顔を見た。
「茂部くんも撫でようか」
「えっ、いや、え!? だ、大丈夫です!!」
決して嫌なわけではないけれど、恥ずかしいから。優真さんは幾分か口惜しそうに見えたが、撫でられても気持ちの悪い反応しか返せない気がするし。
「あ、あー……よし! ここで立って話してるのもあれですし、そろそろアトラクションの方に行きましょう!」
照れ混じりに呼びかければ、三人は微笑ましげに頷いた。
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