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5.終戦を拒む者たち
米・秘密講和調査団の接触
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1942年(昭和17年)2月上旬。
東京・赤坂のとある洋館に、極秘裏に4名のアメリカ人が入国していた。
彼らは国務省およびOSS(戦略諜報局)から派遣された非公式調査団であり、名目上はスウェーデン赤十字の“文化交流使節”として滞在していた。
団長の名は、ジョセフ・グルー。
かつての駐日アメリカ大使であり、親日家としても知られる人物だった。
「私は“過去の日本”を知っている。そして、今、君という“未来の日本”を確かめに来た」
彼はそう言って、蒼月レイと握手を交わした。
⸻
帝国大学・戦略研究室、地下会議室。
密かに設けられた会談の場で、レイは静かに切り出した。
「我々は“全面講和”を望んでいるわけではありません。
戦局を制することではなく、“戦局を閉じる”方法を探しています」
レイが示したのは、“最小戦域講和案”。
これは、「太平洋地域における戦闘の停止と、アジア域内での日本の限定的自立を維持したまま講和を成立させる」現実的提案だった。
アメリカ側の反応は――驚きと、静かな納得。
ジョセフ・グルーは言った。
「ルーズベルト大統領は、今なお“勝利”を求めている。だが、我々は“勝ったあとの統治”に怯え始めている。
君の案は、現実的だ。だが、それ以上に――希望がある」
⸻
しかしその動きは、すぐに帝国陸軍の耳にも入った。
陸軍省・参謀本部第1部。
情報課長辻政信中佐は、憤然として報告書を叩きつけた。
「このレイとかいうガキ、今度は“敵と手を組んだ”と来た。
――外患誘致罪に問える。十分に処刑対象だ」
だが、もう一人の将校・石原莞爾(陸軍の戦略家・満州事変立案者・レイの導きで軍部に戻る)は静かに反論する。
「彼の行動が“罪”になるなら、私はとっくに死刑だな。
未来を語る者を殺す組織に、国家を語る資格はない」
辻は舌打ちし、退席した。
この日、陸軍内部においても、レイを支持する“沈黙の派閥”が芽を出し始めていた。
⸻
深夜。
レイは久坂に言う。
「アメリカは、“こちら側の論理”を理解し始めました。
ならば次は、“こちら側が信じられない者たち”を説得する番です」
「日本の中にいる“敵”か?」
「はい。おそらく、外より内の方が、ずっと深い戦場になります」
レイは薄暗い書類の束の上に、地図を広げた。
戦地ではない。都市の、そして心の地図だった。
「勝ちを捨てるっていう選択は、負けよりも怖いです。
でもその先にしか、“生き残る”ことはできません」
東京・赤坂のとある洋館に、極秘裏に4名のアメリカ人が入国していた。
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戦局を制することではなく、“戦局を閉じる”方法を探しています」
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アメリカ側の反応は――驚きと、静かな納得。
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君の案は、現実的だ。だが、それ以上に――希望がある」
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