日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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7.運命の設計図

紅蓮の道

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1942年(昭和17年)4月3日
東京帝国大学 医療研究棟・特別病室

葬儀の翌朝。レイはベッドの上に起き上がり、静かに紙とペンを握っていた。

「……岸本さん、あなたの代わりはいない。
でも、あなたの“遺志”なら、僕が継げる」

レイは、赤く腫れた目でそう呟き、ペンを走らせた。

その紙に記されたのは、こうだった。

『アジア共栄憲章・基礎案』
日本・満州・朝鮮・中国・東南アジアの各民族に“独立尊重と文化保護”を前提とした共栄圏構想を認め、
日本はその設計と調整を担うが、直接支配は行わない。
民族ごとの“言語・教育・宗教・生活様式”に対する内政不干渉を原則とする。



同日午後、重臣会議。
近衛文麿を中心に、陸海軍・商工・外務・拓務の代表者が集まっていた。

「講演後の世論の変化は予想以上だ」
「国民は蒼月レイを英雄視し始めている。もはや無視できない」
「……だが、“満州共栄憲章”を本気でやる気か? 軍の面子は?」

重苦しい空気の中、レイが会議室に現れた。

「お集まりいただき、ありがとうございます。今日は“選択”の話をしに来ました」

全員が黙り込む。

「皆さんが望むのは、“今の支配構造を守ること”ですか? それとも“50年後も勝者であること”ですか?」

「我々はすでに勝っている!」と陸軍の幹部が声を上げた。

レイは一瞬、目を細めてから、静かに口を開く。

「では聞きます。――なぜ今、満州の若者は日本軍に志願しないのですか?
なぜ教育現場では“反日詩”が密かに回覧されているのですか?」

誰も答えられない。

「“恐怖”によって支配する時代は、あと10年も持ちません。
一発の銃弾が、明治以来の国策を揺るがせる時代です。岸本信介を殺したのもまた、旧来の“暴力の論理”でした」

沈黙。

「僕は、武器ではなく“協調”で国を強くします。
日本が世界を導くには、“見本”となる秩序をここに作る必要があります。
その第一歩が、“満州の再構築”です」

近衛は立ち上がった。

「異論は……あるか?」

誰も声を出さなかった。



4月10日
奉天(現・瀋陽)・関東軍司令部

レイは、関東軍の上層部と直接交渉に臨んだ。

「我々は軍人だ。政治家ではない」
「だが、お前の論理には反論できなかった」と司令官は言った。

その場で、「満州共栄憲章」への“限定的支持”が表明された。



翌日、満州国の新聞各紙に、一つの報道が掲載された。

『満州国、協議制改革へ――蒼月レイ提唱の“共栄憲章”を初承認』
「軍政から民政への移行」「教育・宗教・言語の保護」「日満同盟の再定義」などが中心議題に



同日夜。
レイは帝大の医療室に戻り、静かに窓の外を見つめていた。

「……紅い炎が道を焼く。だが、その先に咲く花は、もう見えてる」

彼の視線の先には、燃えるような夕焼けが広がっていた。
それは、岸本の棺に捧げた“誓い”の色と、まったく同じだった。
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