日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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12.静かなる覇道

見えざる交渉線

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(1942年8月27日・東京/ワシントンD.C.)

東京・首相官邸の一室に、再び蒼月レイの姿があった。

「──ついに、ここまで来ましたね」
近衛文麿首相が微笑みながら言った。

「はい。ですが、“これから”です。世界の中で日本がどう立ち振る舞うのか、真価が問われます」

レイの視線は、広げられた書類の山を越え、世界地図へと向けられていた。
その指先は、アメリカ本土に軽く触れていた。

「ワシントンから、非公式ながら返答がありました。米国側は、“君個人”の存在に強い関心を寄せています」

近衛が差し出した封筒には、“F・D・ルーズベルト大統領私信”の文字があった。
レイはそれを受け取ると、静かに封を切った。

──手紙には、驚くべきことが記されていた。
「アメリカは、日本が三国同盟から距離を置くならば、講和と未来の提携も“選択肢にある”とする。
ただし、枢軸国に対する日本の立場は、世界に明確にされなければならない」

レイは黙読の後、ふっと息をついた。

「……まずは、“曖昧な友情”を解消することからですね。ドイツとの距離を整理します」



その頃、ワシントンD.C.
ルーズベルトは、閣僚たちと会談していた。

「蒼月レイ──たった14歳の少年が、この戦争を変えようとしている。
我々は、彼が“偽物”か“新しい現実”か、見極める必要がある」

「しかし彼が三国同盟を切るなら、それは我々にとっても希望だ。ドイツ・イタリアと日本を分断できる」

「逆に言えば、それをしなければ、彼もただの“幻想”だ」

大統領は頷いた。

「幻想か、未来か……我々も賭けに出るときだな」



8月5日・東京・帝大病室。

久坂がレイに資料を渡す。

「ドイツ軍、スターリングラードで足止めの報。戦線拡大が限界に達してる」

「……やはり。無敵の進撃など存在しない。だからこそ“持続可能な帝国”が必要なんです」

レイは筆を取り、ノートに新たな章題を書き記した。

『外交による勝利──新しい帝国のかたち』

彼の静かな目には、もはや武力ではなく、知と理による覇道の始まりが映っていた。
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