日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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16.ヨーロッパの扉

信仰の王国

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(1942年10月30日・バチカン市国)

世界最小の国家――だが、その精神的影響力は世界最大。
蒼月レイは、厳粛な衛兵の敬礼を受けながら、サン・ピエトロ大聖堂を背景に、法王庁の謁見室へと足を進めていた。

法王ピウス十二世。
彼はナチスの暴力に沈黙を保ちつつも、水面下ではユダヤ人保護に動いていた人物。
対話の場に現れた彼は、レイを一目見て、わずかに微笑んだ。

「少年よ。あなたの噂はローマの石畳にすら響いている。今日は、神の前で話そう」



謁見室の奥。静寂の中で、レイは自らの道を語った。

「戦争を止めるには、武器ではなく理念が必要です。
私は、アジアに“信頼”の基盤を築きました。そして今、それをヨーロッパにも広げたいのです」

ピウス十二世は、手に持った十字架を見つめながら、低く応えた。

「信仰の名のもとに、かつては剣も振るわれた。だが本当の信仰とは、人の心を照らす光だ。
君の言葉には、理と慈しみがある。ゆえに私は、バチカンとして君の構想に祈りを捧げよう」

レイは目を伏せ、深く頭を下げた。

「……ありがとうございます。私も、剣を掲げぬ帝国の実現に命を懸けます」

「ならば、君に神の祝福を。
だが忘れてはならぬ。信仰は力ではない。道を照らす灯であると――」



その夜、レイは法王庁の書庫から貸し出された書簡を読みながら、日記にこう記した。

「いずれ、宗教さえも超えて人がつながる世界を創りたい。
その始まりが“この国”であったことに、深い意味がある気がする――」



翌朝、帰国の飛行機に乗る前、ローマの空港にて。

側近が尋ねた。

「これで欧州は一段落ですね。次は、国内の再構築ですか?」

レイは荷物を手に取り、小さく頷いた。

「はい。……一度、日本に帰ります。
この手で築いた秩序が、どれほどの重みを持っているのか。祖国の土で確かめたい」

その眼差しは、すでに次の未来を見つめていた。
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