106 / 293
第六章 神殿と辺境伯
第二十一話 訓練・・・?
しおりを挟む『マスター。ご報告があります』
ヤスは寝室で目を覚ました。
「マルス。セバスとツバキは?」
『個体名セバス・セバスチャンと個体名ツバキはリビングで朝食の用意をしています』
「わかった。報告はリビングで聞く、モニタに出せるだろう?」
『了』
セバスは、移住者に行う移設の説明を眷属のメイドに任せて、ツバキと揃ってリビングで朝食の準備をして待っていた。
「旦那様。おはようございます」
「マスター。おはようございます」
セバスとツバキが揃って頭を下げる。
「おはよう。セバス。ツバキ。問題はないか?」
「ございません」「ございません」
「セバス。施設の説明はどうする?」
「メイドたちが行っております。工房だけは後回しにしております」
「わかった。ツバキ。工房の説明は任せていいか?」
「はい。大丈夫です。マスターの設備は移動しますか?」
「車関連の設備は移動して、地下3階の工房だけを公開すればいいよな?」
『了。地下3階に繋がるルートは指示通りに作成しました』
「わかった。ツバキ。そのままドワーフたちの好きに使わせろ」
「かしこまりました。タブレットはどうしますか?」
「うーん。アーティファクトと説明してくれ。持ち出しは禁止にするけど、工房内で見るだけなら問題ないだろう。使い方も説明してくれ、工房の設備で足りない物は聞いておいてくれ、討伐ポイントで交換できるようなら交換しよう」
「かしこまりました」
ツバキはヤスに朝食を出して一礼してリビングから出た。ドワーフたちに工房の説明を行う。
「セバス。マルスからの報告を聞いたら車の操作訓練を行う。眷属を招集しておいて欲しい」
「かしこまりました」
出された食事に手をつけながらヤスはセバスとツバキに指示を出す。
セバスはリビングから出て外に向かおうとしたがヤスが引き止めた。眷属の呼び出しだけなら念話を使えばいいと思ったからだ。眷属の一人にカスパルを呼びに行かせたのだ。1時間後に神殿の前に来るように伝えた。同時、リーゼにも同じように伝える。
「マスター。アフネス様もおられますが?」
「そうか、見学するのならリーゼと一緒に来るように言ってくれ」
「かしこまりました」
「それで、マルス。報告とは?」
『はい。マスター。端末に情報を表示します』
「わかった」
ヤスはディスプレイに表示された内容を見ている。
「マルス。これは?」
『ポイントと討伐ポイントです』
「それはわかるが、急に増えているよな?」
『はい。個体名ディアス・アラニスが膨大なポイントを稼いでいます』
「うーん。そうか・・・。魔力か?!」
『はい。比較対象が増えたことで確定しました。ポイントが増えるのは・・・・』
ヤスは、マルスの説明を聞いていたが半分以上わからなかった。
移住者が増えて個体差からポイントの類推が出来た事実は把握した。それから、カードを発行しただけではポイントとして計上されなくて、カードを鍵として使える状態になった時点で計上されるようになったらしい。
また同じ程度の魔力でもポイントに差が出てきているらしい。住民になったと認識した時点で討伐ポイントの対象になるのだが、数値としては少ない。神殿に帰属したと認識した時点でより多くのポイントになるようだ。
住居を構えただけではなく、神殿に所属したと認識した時点で帰属したことになるようだ。マルスもまだわからないようで経過を観察していく。
「マルス。そうなると、帰属している者なら運転を覚えるのに問題はないのだな?」
『はい。帰属が認識できるように地下3階に降りる入り口に検査できる魔道具を配置します』
「そうだな。外側に扉を作って帰属している者しか開かないようにしてくれ、内扉は登録した者だけ開くようにしてくれ」
『了』
「それで、運転を覚えることができるのは誰だ?」
『個体名カスパル。個体名ディアス・アラニス。個体名リーゼの3名と眷属です』
「わかった。そうだ!マルス。地下三階にはゲストでも入られるようにしてくれ」
『特別なカードを発行します』
「わかった。セバスに渡しておいてくれ」
『了』
時間までマルスからポイントの収支計画を確認していたヤスだったのだがほとんど頭に入っていない。討伐ポイントの収支も確認した。やはり、所属している者からは討伐ポイントも多く入ってくるようだ。
赤字でなければ問題ないと思っている。実際、赤字にならないだけなら、ディアスがいれば十分なのだ。現在ヤスが作った施設だけなら維持できるだけのポイントが入ってくる。討伐ポイントも増えていくので、大きな物資の交換も可能になっていく。
ヤスは、もともと移住の受け入れは流れで承諾したのだが思わず大きなメリットが生まれた。孤児や難民の受け入れを考えるようになるのだが、実際に動くのはまだ先の話になる。
「マスター」
「もう時間か?」
「はい」
リーゼのところに行っているメイドだ。リーゼとアフネスとカスパルとディアスが神殿の前に来たので、ヤスを呼びに来たのだ。
「マルス。準備は出来ているよな?」
『はい。カートも人数分を用意しました。自転車とキックスケーターも用意しました。帰属していない者でも自転車とキックスケーターなら操作出来ます』
「わかった。アフネスができるかわからないが教えてみる」
『了』
ヤスがメイドと神殿の前に行くと、セバスとセバスの眷属が並んでいる。
近くには、リーゼとアフネスとカスパルとディアスが動きやすそうな格好で待っていた。
「悪い。またせたな」
「ヤス」!遅い!」
文句を言ってきたのはリーゼだけだ。
「わかった。わかった。こっちだ」
ヤスは皆を誘導しながら今日の予定を告げる。
まずはカートでアーティファクトの操作に慣れてもらう。そのあとで運搬用のアーティファクトの操作をカスパルとセバスと眷属に教える。
リーゼとディアスとアフネスは、眷属と一緒に自転車とキックスケーターの練習をしてもらう。
ヤスは軽く考えていた。
カスパルは問題なかった。
アフネスもゲストだと認識しているので問題にはならなかった。
セバスと眷属たちも問題になるはずもなかった。
リーゼとディアスが問題を起こした。ことの始まりは、リーゼがディアスにカートで負けたのが始まりだった。
運転は、ヤスが教えて皆がすぐに覚えた。最初に覚えたのは意外なことにリーゼだった。それから、カスパルとディアスが続いた。しかし、一番運転がうまいのはディアスだ。ブレーキを適切につかえているのだ。リーゼはアクセルを踏みっぱなしなのでオーバースピードでスピンしたりコースオフしたりすることが多い。堅実なのがディアスだ。カスパルも徐々にわかってきたのかアクセルを離してブレーキを踏むようになる。セバスはマルスやディアナの補助を受けてドリフトまでできるようになっているが、補助を使ったので違うくくりで練習してもらっている。
皆がなんとかコースオフしないで回ってこられるようになってからヤスはレースを行った。余興のつもりだったのだが・・・。後から考えれば間違いだったのだ。
ディアスが1位になった。ヤスがディアスを褒めたのがリーゼは気に入らなかったようだ。もう一度、もう一度と三回ほど続けてレースを行った。
結果はディアスが全勝した。ディアスも手を抜けばいいのに、負けず嫌いな性格なのか・・・。手を抜かずに勝ってしまった。
5回目の勝負でリーゼが競り勝った。
これで終われると皆が思ったが今度はディアスがもう1回と言い出した。リーゼにチャンスを与えたのだが自分にも・・・。と、いうことだ。
「わかった。わかった。二人とも落ち着け!アフネス。笑っていないでなんとかしろよ」
「無理だ。ヤス。諦めろ」
「うーん。そうだ!リーゼ。ディアス。これから、カートを操作できる者も増えるだろう。そうしたら、大会を開こう」
「「大会?」」
「そうだ。カートの大会で、そうだな。操作できるのが20名になったら、月に一度レースをしよう。コースも沢山作るから毎レースで違うコースを使おう。それで、レース毎にポイントを付与して一年間で一番ポイントを稼いだ者の優勝としよう。何か商品を考える。それでどうだ?」
苦し紛れのヤスの提案だったのだが二人はものすごくいい感じで食いついた。
午前中だけで終わらせようと思っていたカートの操作練習は結局一日行うことになってしまった。
リーゼとディアスがヤスに挑んでいる。ヤスも切り上げたかったのだが、状況が許さなかった。
メイドの一人が自転車とキックスケーターをアフネスに教え始めるまでカートでのレースが続いた。
翌日は、疲れてしまったヤスは運転の基礎ができるツバキにカスパルとセバスたちへの説明と教習を頼んで一日寝て過ごすことにした。
リーゼとディアスは二人でカートの練習をすると言って地下3階に籠っていた。
アフネスは夕方にツバキが運転するバスでユーラットに戻った。
ユーラットから神殿に戻ってくるときにカスパルが運転して帰ってきた。サンドラとドーリスとダーホスが乗ってきた。
0
あなたにおすすめの小説
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる