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第五章 王国編
第199話 諸島連合の状況
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リオン帝国、ジーヌ共和国、シミアン王国、護神中立国、公地。
この大陸五区域については紅い狂気との決戦へ向けた準備が整ったといっていい。
あと必要なのは、俺が残り二つの試練をクリアすることだ。
「世界王様、こんなことを聞くと怒られるかもしれませんが、私のお兄様たちはいまはどのようなご様子なのでしょうか?」
ミューイがヌイを通して俺に問いかけてきた。
ミューイの兄たちは諸島連合へと島流しにしたが、その後のことは追跡していなかった。
「仕方ない。確認してやるから、しばらく待っていろ」
俺は諸島連合を無視して問題ないと思っていた。
諸島連合は小さな国家の集合体だが、その一つひとつがあまりにも後進的だし、国民たちも極めて民度が低い。原始人みたいに野蛮な彼らを人間扱いする気になれないのだ。
しかしそれは甘えでしかない。面倒だからと手を抜いているにすぎない。
もし彼らの感情が狂気を内包していたら、紅い狂気のエネルギー源になりかねない。ギリギリ勝てるか分からない戦いをしようというのに、そんな怠惰は絶対にあってはならない。
ちゃんと考えるとそういう結論に達するというのに、なぜかさっきまでの俺は考えないようにしていた。
いや、本当になぜだろう。なぜ俺は諸島連合を蔑ろにしていたのだろう。紅い狂気に潜在意識をいじられていたか?
なんにせよ、ミューイのおかげで見落としていた可能性にも予防線を張ることができそうだ。
「エア、悪いが第二の試練に向かうのは一日延期だ。諸島連合に行ってくる」
俺は魔導学院の屋上から、エアを残して飛び立った。
諸島連合のある方角は魔導学院のある公地からは真西になる。この大陸では朝日は日本と同じく東から昇るので、俺は太陽から離れる方向に飛んだ。
諸島連合は多数の島から成り、そのそれぞれが一つの国である。だが、その中で国家と呼べるものは五つ程度しかない。
五つの国にはリーダーがいて、それぞれ統治されている。
技術レベルは極めて低いものの、組織だって食料を生産し、衣料を製造し、住居を建築し、人材と物資のやりとりによって交易をしている。
国ごとに得意分野は異なり、弱小国家なりに互いに協力して生き抜いていた。
それ以外の国は森や洞穴を住処として狩りや採集により生活しており、本当に原始人のような暮らしぶりをしている。
俺は追放したシミアン王家の王子と二人の王女を探したが見つからなかった。
彼らの特徴をもっとしっかり把握していなければ空間把握で見つけるのは難しい。しかも、どの島にいるか見当がついていないのでなおさらだ。
だが、代わりに衝撃的な光景を目の当たりにする。
なんと、諸島連合内で戦争が起きていたのだ。
国力が低いゆえに共生し、野蛮な民族性は内包するものの平和な領域だった。元来の彼らは欲望に忠実で、国家級の島においても、自分にとって必要なものがあれば人から奪い取るという個人レベルでの争いは多かったが、必要以上を望むことはなかった。
国家間で戦争が起きたのは、明らかに必要以上を望んだからだ。進行形の飢えを凌ぐだけではなく、将来の安定性を求めたということだ。
これは由々しき事態だ。原因を追究して排除しなければならない。
「エア、聞こえるか?」
俺は声を大陸にいるエアまで飛ばした。公地まで空気への魔法リンクを伸ばし、公地で空間把握を展開し、エアを探して声を届けた。
「聞こえる」
俺の耳元で声がした。エアは闇の魔法で、影を介して声をワープさせてきたのだ。
「すまんが手伝ってくれ。諸島連合が戦争をしている。これを止めたい」
「分かった。とりあえずそっちに行くね」
俺の体の影が空間に広がってできた闇の穴からエアが姿を現した。俺が時間をかけて移動してきた距離を、エアは一瞬で移動してしまう。羨ましい能力だ。
精霊として契約していたときなら気兼ねはなかったが、人成したいまとなっては、エアを足として使うのは気が引けたから自分で飛んできたのだ。
「戦争を終わらせ再発を防止するには、原因を突きとめてそれを解消する必要がある。その原因調査をエアにも手伝ってもらいたい」
正直なところ、いまからやろうとしていることはかなり面倒なことだ。断られても仕方のないことだ。その場合は時間をかけて俺が一人でやるしかない。
「分かった。あと、帰りは送るね」
エアはニッコリと俺に微笑んだ。
「あ、ああ、頼む……」
なんて素敵な娘になったのだろう。ゲスの俺と契約していたことが嘘みたいだ。
この大陸五区域については紅い狂気との決戦へ向けた準備が整ったといっていい。
あと必要なのは、俺が残り二つの試練をクリアすることだ。
「世界王様、こんなことを聞くと怒られるかもしれませんが、私のお兄様たちはいまはどのようなご様子なのでしょうか?」
ミューイがヌイを通して俺に問いかけてきた。
ミューイの兄たちは諸島連合へと島流しにしたが、その後のことは追跡していなかった。
「仕方ない。確認してやるから、しばらく待っていろ」
俺は諸島連合を無視して問題ないと思っていた。
諸島連合は小さな国家の集合体だが、その一つひとつがあまりにも後進的だし、国民たちも極めて民度が低い。原始人みたいに野蛮な彼らを人間扱いする気になれないのだ。
しかしそれは甘えでしかない。面倒だからと手を抜いているにすぎない。
もし彼らの感情が狂気を内包していたら、紅い狂気のエネルギー源になりかねない。ギリギリ勝てるか分からない戦いをしようというのに、そんな怠惰は絶対にあってはならない。
ちゃんと考えるとそういう結論に達するというのに、なぜかさっきまでの俺は考えないようにしていた。
いや、本当になぜだろう。なぜ俺は諸島連合を蔑ろにしていたのだろう。紅い狂気に潜在意識をいじられていたか?
なんにせよ、ミューイのおかげで見落としていた可能性にも予防線を張ることができそうだ。
「エア、悪いが第二の試練に向かうのは一日延期だ。諸島連合に行ってくる」
俺は魔導学院の屋上から、エアを残して飛び立った。
諸島連合のある方角は魔導学院のある公地からは真西になる。この大陸では朝日は日本と同じく東から昇るので、俺は太陽から離れる方向に飛んだ。
諸島連合は多数の島から成り、そのそれぞれが一つの国である。だが、その中で国家と呼べるものは五つ程度しかない。
五つの国にはリーダーがいて、それぞれ統治されている。
技術レベルは極めて低いものの、組織だって食料を生産し、衣料を製造し、住居を建築し、人材と物資のやりとりによって交易をしている。
国ごとに得意分野は異なり、弱小国家なりに互いに協力して生き抜いていた。
それ以外の国は森や洞穴を住処として狩りや採集により生活しており、本当に原始人のような暮らしぶりをしている。
俺は追放したシミアン王家の王子と二人の王女を探したが見つからなかった。
彼らの特徴をもっとしっかり把握していなければ空間把握で見つけるのは難しい。しかも、どの島にいるか見当がついていないのでなおさらだ。
だが、代わりに衝撃的な光景を目の当たりにする。
なんと、諸島連合内で戦争が起きていたのだ。
国力が低いゆえに共生し、野蛮な民族性は内包するものの平和な領域だった。元来の彼らは欲望に忠実で、国家級の島においても、自分にとって必要なものがあれば人から奪い取るという個人レベルでの争いは多かったが、必要以上を望むことはなかった。
国家間で戦争が起きたのは、明らかに必要以上を望んだからだ。進行形の飢えを凌ぐだけではなく、将来の安定性を求めたということだ。
これは由々しき事態だ。原因を追究して排除しなければならない。
「エア、聞こえるか?」
俺は声を大陸にいるエアまで飛ばした。公地まで空気への魔法リンクを伸ばし、公地で空間把握を展開し、エアを探して声を届けた。
「聞こえる」
俺の耳元で声がした。エアは闇の魔法で、影を介して声をワープさせてきたのだ。
「すまんが手伝ってくれ。諸島連合が戦争をしている。これを止めたい」
「分かった。とりあえずそっちに行くね」
俺の体の影が空間に広がってできた闇の穴からエアが姿を現した。俺が時間をかけて移動してきた距離を、エアは一瞬で移動してしまう。羨ましい能力だ。
精霊として契約していたときなら気兼ねはなかったが、人成したいまとなっては、エアを足として使うのは気が引けたから自分で飛んできたのだ。
「戦争を終わらせ再発を防止するには、原因を突きとめてそれを解消する必要がある。その原因調査をエアにも手伝ってもらいたい」
正直なところ、いまからやろうとしていることはかなり面倒なことだ。断られても仕方のないことだ。その場合は時間をかけて俺が一人でやるしかない。
「分かった。あと、帰りは送るね」
エアはニッコリと俺に微笑んだ。
「あ、ああ、頼む……」
なんて素敵な娘になったのだろう。ゲスの俺と契約していたことが嘘みたいだ。
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