残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~

日和崎よしな

文字の大きさ
201 / 302
第五章 王国編

第200話 きのこ・たけのこ戦争

しおりを挟む
 連合の中央上空にて、俺はエアと合流した。
 調査の結果、連合では二つの戦争が起こっていることが分かった。その一つが《きのこ・たけのこ戦争》だ。
 その戦争が起きた原因は実にくだらないものだった。キノコとタケノコ、どちらがおいしいか。それを決めるための戦争だったのだ。
 自然からの採集では収穫量に限度があるため、どちらを栽培するかを決めるために、どちらのほうがおいしいのかをはっきりさせなければならないというのだ。

「馬鹿げている。実に馬鹿げている」

「そうね」

 多少、効率が落ちたとしても、両方栽培すればいいだけの話だ。その比率は需要を調査すればいい。

「エア、また光の魔法でモニターを出してくれるか? 声は自分で届ける」

「分かった」

 シミアン王国のときと同じように、《きのこ・たけのこ戦争》に参加している各国全土に光のモニターが出現した。それを見上げる彼らに俺の声が降り注いだ。

「戦争を即刻中止せよ。食の好みが分かれるのは当然のこと。それをどちらかがおいしいのだと決めつけて言い争うなど愚の骨頂だ。他人の嗜好しこうを認め、十人十色の価値観があることを知れ」

 光のモニターを見上げる民衆は動きを止めていたが、モニターが消えると彼らは少しずつ元の行動に戻っていった。
 要するに、争いは収まらなかったのだ。すでに多くの血が流れてしまっているから引き下がれないのかもしれない。
 戦争をする民衆の声をいくつか拾ってくると、戦争の原因はとっくに変わっているようだった。
 もはやこの戦争は報復合戦と化していることは明らかだった。キノコやタケノコの話をしている者など一人もいない。

 俺は再びエアに頼んで光のモニターを出してもらった。

「聞け、諸島連合に属する者たちよ。この俺、ゲス・エストが世界王として命じる。ただちに争いをやめよ。これは法である。これ以後、手を出した者、手を出させた者は単なる殺人者とみなし、即死刑とする」

 一人くらいは公開処刑をせざるを得ないかと覚悟していたが、意外にも彼らはそれぞれの居住域へと退いていった。
 おそらくモニター越しにシミアン王国での光景を目撃したことで、俺の恐ろしさを理解していたのだろう。

「ありがとう、エア。一件落着だ。さて、残りの戦争も止めるぞ」

「うん。ところで、エストはキノコとタケノコ、どっちが好きなの?」

「そんなの、キノコに決まってんだろ。お菓子の話ならともかく、野菜の話なら迷う要素はない。俺はタケノコ特有の辛味と気持ちの悪い硬さが苦手なんだ。対してキノコは甘みがあるし、優しい食感だし、吸い物にもよく合うから好きなんだ」

「ふーん。キノコが好きなのに贔屓ひいきしないのね」

「当然だ。俺は贔屓というものがタケノコなんかよりずっと嫌いだからな。俺の敵派閥はキノコ派でもタケノコ派でもなく、自分の派閥しか認めないと言っている奴らだ」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

処理中です...