262 / 302
最終章 狂酔編
第261話 カケララ戦‐護神中立国②
しおりを挟む
サンディア、アンジュ、エンジュの三人が護神中立国で狂気からの救出活動を始めて、かれこれ三時間以上が経っていた。
護神中立国の人口は世界で最も少ない。しかしいっこうに救出が終わらないのは、一度正気に戻ってもまた狂気に呑まれる人が多いからだ。
狂気に呑まれる人とそうでない人の違いは、単純に精神力の差である。意志が強く芯がしっかりしている人は狂気に呑まれにくい。
エストたちは紅い狂気の存在を認知した上で、それに立ち向かうという覚悟をしているため、そのメンバーの中で狂気に呑まれる者はほとんど出ないのだ。
しかし、エンジュは再び狂気に呑まれようとしていた。
カケラと戦うのは世界で最強クラスの猛者たちだし、カケララと戦うのも生徒会長に任せている。
エンジュの中で、どこか他人事のように感じている部分があった。
もちろん、カケラとの決戦メンバーとして名乗りを挙げたのは自分自身なのだが、そこにはアンジュもやるからというのもあったし、紅い狂気との直接的戦闘ではなく、あくまでサポートメンバーとして参加するという浅い決意しか持っていなかった。
護神中立国では三人で救助活動をして、自分が人を救えたという喜びを覚え、やりがいを感じ、もっと頑張ろうと再決意をした。
しかし、助けたはずの人が目を紅くして自分に襲いかかってきたとき、エンジュは恐怖して逃げた。
逃げた判断は正しかっただろう。
しかし、エンジュの失策は恐怖に慄いてしまったことだ。
負の感情が別の負の感情を呼ぶ。
恐怖という一滴の雫が、心に紅い波紋を生んだ。透き通った水に墨汁が垂らされたように、ほんの一滴の失意がエンジュの心を紅く暗く染めていく。
サンディアもアンジュもそれぞれ一人で人々を正気に戻してまわっている。エンジュはそれを見て、自分だけが役に立っていないと感じた。
エンジュは自分の中には存在しないはずの何かが、心の内側から自分を呑み込んでいくのを自覚した。
「もう無理だ……。いっつもそうだし、こんな大事なときですら。自分がいたたまれない。ウチだけぜんぜん役に立ってない。ウチだけ、ウチだけ……」
エンジュの目はすでに紅く染まっていた。
さらに爪が鋭く伸びはじめる。
血の涙を流しながら、背後からアンジュに近づいて、その首に手を伸ばす。
「エンジュ!」
アンジュはエンジュの動向に気づいていた。エンジュのことが心配でずっと気にかけていたのだ。
アンジュは手を伸ばし、首に迫るエンジュの手に静電気を飛ばした。
しかし、エンジュは止まらなかった。無垢な心と違って、深い絶望が狂気の器を拡げている。ちっとやそっとの衝撃では狂気を追い出せない。
エンジュの手で首が絞まり、爪が皮膚に食い込む。
「正気に戻って、エンジュ……」
アンジュの首を絞める手の力が増していく。だんだんと増していき、それから少しずつ、少しずつ緩んだ。
エンジュの手は砂で覆われていた。
これはサンディアの魔法だ。砂の操作型魔法。砂でエンジュの手を押し返し、アンジュの首から引き剥がした。
「アンジュ、大丈夫?」
アンジュは数度咳き込んでから大丈夫と答えた。
そして、エンジュを救ってほしいとサンディアに頼んだのだった。
エンジュの体からは紅いオーラが漏れ出していた。その量はしだいに増え、爪もどんどん鋭く伸びて、携帯ナイフくらいの長さにまでなった。
紅いオーラが触れると、サンディアの操る砂はその操作権が奪われたらしく、まるで攻撃の号令がかかるまで待機する取り巻きのようにエンジュの周囲を浮遊しだした。
サンディアはエンジュにまっすぐ近づく。
エンジュにはまだ自我が残っているらしく、吐き出す言葉にはまだ彼女の意思が乗っていた。
「離れてください。このままじゃウチ、先輩を傷つけてしまう」
サンディアは止まらない。迷わない。ゆっくりとだが、まっすぐ近づいていく。
エンジュは尖った爪をサンディアに向けた。エンジュは近づくと危険だという警告の意図でそうしていたが、サンディアを突き刺すために構えているのだと錯覚しはじめていた。
それを知ってか知らずか、構えも取らずに愚直に近づくサンディアは、とても優しい顔をエンジュに向けていた。
エンジュは尊敬する先輩を傷つけるのが怖くて涙を流す。その涙は粘っこくて、紅い色をしていた。
爪が細く尖るように変形し、殺意を剥き出しにした。
(ウチは役に立たない。ウチは皆の足をひっぱる。ウチのせいでみんな死ぬ。ウチがみんなを殺す。サンディア先輩をこの爪で刺し殺す)
エンジュの脳内に響く声は、自分の弱音か、狂気の洗脳か、神の啓示か、自分の欲望か、もはや何なのか分からない。
葛藤と我慢になぶられるエンジュ。
サンディアはそのエンジュの正面までやってきて、さらに一歩を踏み入れた。
そして、エンジュを優しく抱きしめた。
「いいえ、エンジュ。あなたはそんなことはしない。だって、あなたは優しいんだもの。私が知る限り、あなたは誰よりも優しい。あなたは気づいていないかもしれないけれど、あなたの優しさは多くの人を救ってきたのよ。かくいう私も、これまで何度も救われてきた。だから、役立たずなんかじゃない」
「先輩、ウチ、ウチ……」
サンディア・グレイン。エンジュの尊敬する先輩。
自分のことをずっと見ていてくれて、自分でも気づかないようないいところを見つけてくれて、優しく褒めてくれる。
エンジュはそんな先輩が、大好きだった。
「その爪で私を傷つけてもいいわよ。それをあなたが望むならね」
サンディアは白いオーラに包まれていた。
そのオーラは触れられるものではないが、エンジュはとても温かく感じた。
頬にできた紅い筋の上を、透明な雫が流星のように流れ落ちた。
「望むわけ……ないじゃないですか!」
エンジュからあふれ出した白いオーラが、紅いモヤを霧散させた。
エンジュはサンディアに抱きついて、大声で泣いた。
サンディアがエンジュを抱きしめる腕にも少しだけ力が入った。
アンジュはもらい泣きして、閉じた目を腕にこすりつけた。
三人から放出される白いオーラが空を覆っていた紅を塗り替えた。
そして神聖なる建造物の破壊に勤しむ人々から狂気が薄れていき、人々は自然と正気に戻っていった。
護神中立国の人口は世界で最も少ない。しかしいっこうに救出が終わらないのは、一度正気に戻ってもまた狂気に呑まれる人が多いからだ。
狂気に呑まれる人とそうでない人の違いは、単純に精神力の差である。意志が強く芯がしっかりしている人は狂気に呑まれにくい。
エストたちは紅い狂気の存在を認知した上で、それに立ち向かうという覚悟をしているため、そのメンバーの中で狂気に呑まれる者はほとんど出ないのだ。
しかし、エンジュは再び狂気に呑まれようとしていた。
カケラと戦うのは世界で最強クラスの猛者たちだし、カケララと戦うのも生徒会長に任せている。
エンジュの中で、どこか他人事のように感じている部分があった。
もちろん、カケラとの決戦メンバーとして名乗りを挙げたのは自分自身なのだが、そこにはアンジュもやるからというのもあったし、紅い狂気との直接的戦闘ではなく、あくまでサポートメンバーとして参加するという浅い決意しか持っていなかった。
護神中立国では三人で救助活動をして、自分が人を救えたという喜びを覚え、やりがいを感じ、もっと頑張ろうと再決意をした。
しかし、助けたはずの人が目を紅くして自分に襲いかかってきたとき、エンジュは恐怖して逃げた。
逃げた判断は正しかっただろう。
しかし、エンジュの失策は恐怖に慄いてしまったことだ。
負の感情が別の負の感情を呼ぶ。
恐怖という一滴の雫が、心に紅い波紋を生んだ。透き通った水に墨汁が垂らされたように、ほんの一滴の失意がエンジュの心を紅く暗く染めていく。
サンディアもアンジュもそれぞれ一人で人々を正気に戻してまわっている。エンジュはそれを見て、自分だけが役に立っていないと感じた。
エンジュは自分の中には存在しないはずの何かが、心の内側から自分を呑み込んでいくのを自覚した。
「もう無理だ……。いっつもそうだし、こんな大事なときですら。自分がいたたまれない。ウチだけぜんぜん役に立ってない。ウチだけ、ウチだけ……」
エンジュの目はすでに紅く染まっていた。
さらに爪が鋭く伸びはじめる。
血の涙を流しながら、背後からアンジュに近づいて、その首に手を伸ばす。
「エンジュ!」
アンジュはエンジュの動向に気づいていた。エンジュのことが心配でずっと気にかけていたのだ。
アンジュは手を伸ばし、首に迫るエンジュの手に静電気を飛ばした。
しかし、エンジュは止まらなかった。無垢な心と違って、深い絶望が狂気の器を拡げている。ちっとやそっとの衝撃では狂気を追い出せない。
エンジュの手で首が絞まり、爪が皮膚に食い込む。
「正気に戻って、エンジュ……」
アンジュの首を絞める手の力が増していく。だんだんと増していき、それから少しずつ、少しずつ緩んだ。
エンジュの手は砂で覆われていた。
これはサンディアの魔法だ。砂の操作型魔法。砂でエンジュの手を押し返し、アンジュの首から引き剥がした。
「アンジュ、大丈夫?」
アンジュは数度咳き込んでから大丈夫と答えた。
そして、エンジュを救ってほしいとサンディアに頼んだのだった。
エンジュの体からは紅いオーラが漏れ出していた。その量はしだいに増え、爪もどんどん鋭く伸びて、携帯ナイフくらいの長さにまでなった。
紅いオーラが触れると、サンディアの操る砂はその操作権が奪われたらしく、まるで攻撃の号令がかかるまで待機する取り巻きのようにエンジュの周囲を浮遊しだした。
サンディアはエンジュにまっすぐ近づく。
エンジュにはまだ自我が残っているらしく、吐き出す言葉にはまだ彼女の意思が乗っていた。
「離れてください。このままじゃウチ、先輩を傷つけてしまう」
サンディアは止まらない。迷わない。ゆっくりとだが、まっすぐ近づいていく。
エンジュは尖った爪をサンディアに向けた。エンジュは近づくと危険だという警告の意図でそうしていたが、サンディアを突き刺すために構えているのだと錯覚しはじめていた。
それを知ってか知らずか、構えも取らずに愚直に近づくサンディアは、とても優しい顔をエンジュに向けていた。
エンジュは尊敬する先輩を傷つけるのが怖くて涙を流す。その涙は粘っこくて、紅い色をしていた。
爪が細く尖るように変形し、殺意を剥き出しにした。
(ウチは役に立たない。ウチは皆の足をひっぱる。ウチのせいでみんな死ぬ。ウチがみんなを殺す。サンディア先輩をこの爪で刺し殺す)
エンジュの脳内に響く声は、自分の弱音か、狂気の洗脳か、神の啓示か、自分の欲望か、もはや何なのか分からない。
葛藤と我慢になぶられるエンジュ。
サンディアはそのエンジュの正面までやってきて、さらに一歩を踏み入れた。
そして、エンジュを優しく抱きしめた。
「いいえ、エンジュ。あなたはそんなことはしない。だって、あなたは優しいんだもの。私が知る限り、あなたは誰よりも優しい。あなたは気づいていないかもしれないけれど、あなたの優しさは多くの人を救ってきたのよ。かくいう私も、これまで何度も救われてきた。だから、役立たずなんかじゃない」
「先輩、ウチ、ウチ……」
サンディア・グレイン。エンジュの尊敬する先輩。
自分のことをずっと見ていてくれて、自分でも気づかないようないいところを見つけてくれて、優しく褒めてくれる。
エンジュはそんな先輩が、大好きだった。
「その爪で私を傷つけてもいいわよ。それをあなたが望むならね」
サンディアは白いオーラに包まれていた。
そのオーラは触れられるものではないが、エンジュはとても温かく感じた。
頬にできた紅い筋の上を、透明な雫が流星のように流れ落ちた。
「望むわけ……ないじゃないですか!」
エンジュからあふれ出した白いオーラが、紅いモヤを霧散させた。
エンジュはサンディアに抱きついて、大声で泣いた。
サンディアがエンジュを抱きしめる腕にも少しだけ力が入った。
アンジュはもらい泣きして、閉じた目を腕にこすりつけた。
三人から放出される白いオーラが空を覆っていた紅を塗り替えた。
そして神聖なる建造物の破壊に勤しむ人々から狂気が薄れていき、人々は自然と正気に戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる