離婚したので冒険者に復帰しようと思います。

黒蜜きな粉

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その後

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 ――三ケ月後。


「――おはよう!」

 ライラは階段を勢いよく駆け下りると、食堂フロアに続く扉を開けながら大きな声で挨拶をした。

「おっはよー。今日もずいぶんと寝坊だね」

「マスターが無茶ぶりばっかりするからよ。昨日なんて依頼が終わったときには日付が変わっていたわ」

 呆れた顔をしているルーディに、ライラは唇を尖らせる。
 マスターはライラが冒険者として活動を再開してから、事あるごとに呼び出してはこき使ってくる。
 早くランクを上げるために依頼をまわしてくれているらしいが、マスターからすればライラは都合の良い駒だというのはわかっている。
 実力が約束されている上、新人のような安い価格で依頼を受けてくれるのだから使わない手はないのだろう。
 ランクが上がるまでの辛抱だというのはわかるが、それにしても人使いが荒い。

「わあ、今日もおいしそう。いただきます!」

 ライラがカウンターの席に着くと、ジークが朝食を用意してくれた。
 ライラは手を合わせてジークに向かってウィンクをすると、食事に手をつける。

「……もう、そんなに慌てて食べるとまた吐くよ。まったく、子供じゃないのだから落ち着いて食べなって」

 慌てて料理を口に押し込むライラに、ルーディがため息まじりで注意をしてくる。

「今日も引き続きこき使われる予定なの。だから早く行かなきゃなのよね」

「だったら寝坊しなきゃいいだろうにねえ」

「それは努力するわ。――それじゃ、いってきます!」

 ライラは朝食を食べ終えると、食器を流しに下げて店を飛び出した。



 ライラが冒険者組合に向かって街の通りを走っていると、行く先に見覚えのある大小二つの背中を見つける。
 ライラはこっそりと二人の背後に忍び寄ると声をかけた。

「おはよう! 朝から二人でお出かけなんていいわね」

 とつぜん背後から声をかけられた二人が慌ててライラを振り返る。

「ライラお姉ちゃん! おはよ、じゃなくて……えっと、ごきげんようライラお姉さま」

 アヤはライラの姿を見ると、それまで掴んでいたトゥールの手を離してこちらに飛びついてきた。
 しかし、すぐにはっとした顔をしてライラから離れる。

 アヤは顔を引き締めてすまし顔をすると、スカートの裾を掴んで丁寧にお辞儀をしてきた。
 最近のアヤはお嬢様ごっこがお好きらしい。
 どうやら初めて会ったときのライラの態度に影響を受けたらしいのだ。

「おう、おはようさん。そろそろ飽きねえのかねえ、この遊び」

「まあ、遊びだなんて失礼ですわよ?」

 ライラがそう言ってくすくす笑うと、トゥールは困惑した顔をする。

「――ふふふ。ではそろそろ失礼させて頂きますわね」

 ライラは二人に手を振って別れた。
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