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ランクアップ
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「――ライラ殿!」
ライラは執務室から組合ロビーに続く廊下を、肩を怒らせながら勢いよく歩いていた。
すると、背後から大きな声で名前を呼ばれて、がっしりと肩を掴まれしまう。
さきほどセアロに肩を押されたばかりだったので、またかと苛々しながら足を止めて振り返る。
そこにいたのはエリクだった。ライラは舌打ちしてしまいそうになるのを、なんとか耐えた。
「……まだ何かご用事が?」
「――っえ⁉ い、いや……あの……」
ライラが冷たく言うと、エリクは困惑した顔で視線を泳がせる。
「……はあああああー……」
ライラはうろたえているエリクを見つめながら、大きなため息をついた。
「あ、あの……、どうかなさいましたか?」
「どうして追いかけてくるのがあなたなのよ。ここはファルちゃんがよかったわ。次点でイルシア君ね」
「……え、そ、それは申し訳ございません!」
「謝ることじゃないわよ。それより、痛いから離してくださる?」
「――っ申し訳ございません!」
エリクがライラの肩から慌てて手を離す。
彼は額から大量の汗を流していた。何をそんなに焦っているのか不思議に思ったが、すぐにライラは理由が思い当たって尋ねてみた。
「まさか、私がこのまま街を去ると心配しているのかしら?」
エリクはライラの動向を報告する役目を担っている。
逃げられてしまっては困るのだろう。
「そりゃ逃げたいけど、イルシア君のことを投げ出したりしないわよ。そんなに無責任じゃないわ」
「……いえ、そのような心配は……。していないことは、なかったですが……」
エリクは額から流れ出る汗を必死に拭っている。
ライラはいつかの侯爵家の執事のようだと思いながら、彼を眺めていた。
「何よ? 用事があるなら早く言ってくれないかしら。この後は大切な予定があるのよね」
「――も、申し訳ございません!」
エリクが勢いよく頭を下げた。
「何度も謝らないでよ。いい加減にしないと、もう行くわよ?」
ライラがそう言って立ち去ろうとエリクに背を向けると、再び肩を掴まれた。
「――っランクアップ、おめでとうございます!」
「…………え、あ、ありがとう。わざわざそれを言いに来てくれたの、かしら?」
至近距離でこちらを見つめながら力強く言ってきたエリクに圧倒されながら、ライラはひとまず礼を伝えた。
「……あの、それだけではなくて、二人でお祝いに食事でもいかがかな、と。それでお誘いに来たのです」
「はあ?」
ライラは唐突な食事の誘いに顔がひきつる。自分のものとは思えないくらい低い声が出てしまった。
「……え、何? 本気で言っているのかしら。このタイミングでそんなこと言われても、からかわれているとしか思えないのだけど?」
「からかってなどいません! 私についてライラ殿は誤解をされている部分があるかと思いまして……。二人で話をする機会を作りたいなと、以前から思っておりました」
「誤解? 何が誤解なのよ。あなたが私のことを誰かさんに報告している件のことかしら?」
「ええ、その件です。やはり誤解されているような気がするのですが……」
「だからって二人で食事? それはおかしいでしょう」
ライラは執務室から組合ロビーに続く廊下を、肩を怒らせながら勢いよく歩いていた。
すると、背後から大きな声で名前を呼ばれて、がっしりと肩を掴まれしまう。
さきほどセアロに肩を押されたばかりだったので、またかと苛々しながら足を止めて振り返る。
そこにいたのはエリクだった。ライラは舌打ちしてしまいそうになるのを、なんとか耐えた。
「……まだ何かご用事が?」
「――っえ⁉ い、いや……あの……」
ライラが冷たく言うと、エリクは困惑した顔で視線を泳がせる。
「……はあああああー……」
ライラはうろたえているエリクを見つめながら、大きなため息をついた。
「あ、あの……、どうかなさいましたか?」
「どうして追いかけてくるのがあなたなのよ。ここはファルちゃんがよかったわ。次点でイルシア君ね」
「……え、そ、それは申し訳ございません!」
「謝ることじゃないわよ。それより、痛いから離してくださる?」
「――っ申し訳ございません!」
エリクがライラの肩から慌てて手を離す。
彼は額から大量の汗を流していた。何をそんなに焦っているのか不思議に思ったが、すぐにライラは理由が思い当たって尋ねてみた。
「まさか、私がこのまま街を去ると心配しているのかしら?」
エリクはライラの動向を報告する役目を担っている。
逃げられてしまっては困るのだろう。
「そりゃ逃げたいけど、イルシア君のことを投げ出したりしないわよ。そんなに無責任じゃないわ」
「……いえ、そのような心配は……。していないことは、なかったですが……」
エリクは額から流れ出る汗を必死に拭っている。
ライラはいつかの侯爵家の執事のようだと思いながら、彼を眺めていた。
「何よ? 用事があるなら早く言ってくれないかしら。この後は大切な予定があるのよね」
「――も、申し訳ございません!」
エリクが勢いよく頭を下げた。
「何度も謝らないでよ。いい加減にしないと、もう行くわよ?」
ライラがそう言って立ち去ろうとエリクに背を向けると、再び肩を掴まれた。
「――っランクアップ、おめでとうございます!」
「…………え、あ、ありがとう。わざわざそれを言いに来てくれたの、かしら?」
至近距離でこちらを見つめながら力強く言ってきたエリクに圧倒されながら、ライラはひとまず礼を伝えた。
「……あの、それだけではなくて、二人でお祝いに食事でもいかがかな、と。それでお誘いに来たのです」
「はあ?」
ライラは唐突な食事の誘いに顔がひきつる。自分のものとは思えないくらい低い声が出てしまった。
「……え、何? 本気で言っているのかしら。このタイミングでそんなこと言われても、からかわれているとしか思えないのだけど?」
「からかってなどいません! 私についてライラ殿は誤解をされている部分があるかと思いまして……。二人で話をする機会を作りたいなと、以前から思っておりました」
「誤解? 何が誤解なのよ。あなたが私のことを誰かさんに報告している件のことかしら?」
「ええ、その件です。やはり誤解されているような気がするのですが……」
「だからって二人で食事? それはおかしいでしょう」
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