離婚したので冒険者に復帰しようと思います。

黒蜜きな粉

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ランクアップ

11

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 ライラは冒険者組合を出てすぐに、ファルにエリクと何を話していたのかと聞いてみた。
 しかし、ファルは適当にはぐらかすだけで何も教えてはくれなかった。

 ライラはもやもやした気持ちを抱えたまま、ランクアップ祝いをしてくれるという店に到着してしまった。
 会場は温めておくとハチが言っていた通り、店の中はすでにかなりの盛り上がりをみせていた。
 遅れてやって来たというのに、ライラはあっさりと輪の中に溶けこむことができた。
 しっかりと他の冒険者たちと会話を交わし、もやもやしていた気持ちを忘れてしまうほど場を楽しんだ。

 日付が変わる頃になると、盛り上がっていた者たちが酔いつぶれて寝はじめてしまった。
 徐々に店内の喧騒が静まりかえっていく。
 ライラが酔いつぶれてしまった者を店の個室に運んで寝かせているところに、ハチが近付いてきた。

「姉さん姉さん。落ち着いてきたから、ちょっとお話よろしいですか?」

「……あら、何かしら。すっごく真面目な顔をしちゃって。その顔からするとあまり良い話じゃなさそうね」

「あはははは、そうなんですよー」

 ハチは真剣な顔つきをしている。
 彼は周囲の視線を気にしながら、個室の扉を閉めた。

「……姉さんなら心配ないとは思うのですけど。やっぱりどうしてもお耳に入れておきたいと……」

「あら嫌だ。今日はお耳に入れておきたいお話がたくさんあるわね」

 ライラがそう言って嫌な顔をすると、ハチは目を丸くして首を傾げる。マスターから聞いた話をハチは知らないのだから当然だ。

「ごめんなさい、こっちの話よ。――それで、何かしら?」

「いつもの馬鹿な連中がよからぬことを企んでいるみたいです」

 ハチがため息まじりにそう言った。
 いつもの馬鹿な連中と聞いて、ライラはこの店に来る前に組合ロビーで絡まれたことを思い出した。

「あの口だけが達者な連中のことね。それがどうしたのかしら?」

「姉さんに一泡吹かせるって、ここ最近いろんなところで言いまわっているんです。具体的なことはわかりませんけどね」

「あら素敵。とっても面白いことを企んでいそうね」

 ハチは肩をすくめて呆れた顔をしているが、ライラは口の端をあげてにやりと笑った。

「……どうしますか? そりゃ心配ないとは思いますけど、何をするつもりかくらいは調べましょうか」

「必要ないでしょう。あんな連中がやれることなんて大したことじゃないわ」

 ライラはハチの申し出をすぐに断る。
 すると、ハチは戸惑った顔をして腕を組んだ。

「あら嫌だ。またそんな顔をして、どうしたのよ?」

「それがですね、姉さん。あいつらがいつも気に入らない相手にやる手口って、ちょっと面倒なんですよー」

「あらまあ、面倒ってどういうこと?」

「標的を直接狙わずに、その周辺にいる人にちょっかいかけてくるんです」

 ハチが大きく息を吐いた。
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