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魔族
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ライラは、その後も瘴気で作った影を操り、クロードの動きを制限しながら矢で狙い続けた。
彼はまだこの場にある瘴気を全て浄化できるほどの高位の精霊を呼びだしてはいない。彼が力のある精霊を呼びだせないようにしながら、早く彼の体力を消耗させたかった。
「そんなところから攻撃をしてこないで、私の間合いで戦うつもりはないか?」
「残念ね。私にはこの距離がいいのよ」
クロードが影を避けながら余裕たっぷりに話しかけてきた。
ライラは舌打ちをしてから、力を込めて弦を引くと、上空に向かって矢を射った。
放った矢は上空で大きく弾けた。すると、弾けた一つ一つのかけらが刃のような形状に変化して、クロードの頭上に降り注ぐ。
クロードがあまりにちょこまかと動くので、このあたりで派手に力を使わせて一気に体力を削ごうと考えた。
ついでに、思うように動けずに苛立ちを募らせて心を乱してくれたら尚よいと思った。心を乱せば精霊は呼びだせない。
ライラの狙い通り、クロードは降り注いでくる矢を全身にまとった精霊の力で一気に吹き飛ばした。これでかなりの力は消耗したはずだ。
しかし、彼は冷静に事態へ対処をしている。心を乱す様子は一切みられない。
ライラは周辺で見ている者たち、中でもイルシアがどう動くかが気がかりだった。
今はクロードと一対一で戦えているが、彼が不利になればこのままの状態を続けさせてくれるわけがない。
どこかで必ず精霊を呼びだすための時間稼ぎをしてくるはずだ。
相手が何かを仕掛けてくる前に、こちらが先にクロードの動きを封じるための一手を打つべきかライラは悩む。
ライラがそんなことを考えていると、クロードに一気に距離を詰められてしまった。
油断をしたつもりはなかった。少し考え事をしていた一瞬の隙に、目の前にクロードがいた。
首筋に剣を突きつけられる。
しかし、クロードはライラを切り裂くことはなく、そのまま動きをぴたりと止めてしまった。
「どうして首を落とさなかったの? 今ならできたはずよ」
「………………………………」
「まさか情けでもかけたつもりなのかしら? 屈辱以外の何ものでもないわよ」
「……こんなのは君らしくない。こんな簡単に君の命が奪えるはずがないんだ」
クロードが声を震わせながらそう言った。
「君はいつも通りにしているつもりなのかもしれないが、こんなのはまったくらしくない」
クロードが顔を歪ませる。心なしか目が潤んでいるような気がする。
その姿を見ていたら無性に腹が立ってきた。
この男にだけは自分のことを語って欲しくはない。
ライラは弓を手放して、降参の意思を示すように両手を上げた。
クロードは目を見開いている。訳が分からないと言った顔でライラを見つめてくる。
「……どういうつもりだ?」
「別にどうってことはないわ。殺すつもりがないのなら、降参したら見逃してくれるかなと思ったの」
「見逃すつもりはない。君は必ずここで殺す」
「じゃあ今すぐに殺したらいいじゃない」
「違う! そうじゃない‼」
片手で顔を覆って叫んだクロードに向かって、ライラは妖しく笑う。
「じゃあ、私と一緒に死んでくれる?」
喉に突きつけられている剣に構わず、ライラはクロードに歩み寄る。剣先が首筋を切り裂いて血が流れ落ちる。
ライラはクロードが顔を覆っている手に触れようとした。すると、伸ばした腕を彼にがっしりと掴まれる。
「駄目だ。私はまだ死ねない」
「あら、どうして?」
「私にはまだやり残したことがある。だから死ねない」
ライラの腕を掴んでいるクロードの手に力が入る。
彼はまだこの場にある瘴気を全て浄化できるほどの高位の精霊を呼びだしてはいない。彼が力のある精霊を呼びだせないようにしながら、早く彼の体力を消耗させたかった。
「そんなところから攻撃をしてこないで、私の間合いで戦うつもりはないか?」
「残念ね。私にはこの距離がいいのよ」
クロードが影を避けながら余裕たっぷりに話しかけてきた。
ライラは舌打ちをしてから、力を込めて弦を引くと、上空に向かって矢を射った。
放った矢は上空で大きく弾けた。すると、弾けた一つ一つのかけらが刃のような形状に変化して、クロードの頭上に降り注ぐ。
クロードがあまりにちょこまかと動くので、このあたりで派手に力を使わせて一気に体力を削ごうと考えた。
ついでに、思うように動けずに苛立ちを募らせて心を乱してくれたら尚よいと思った。心を乱せば精霊は呼びだせない。
ライラの狙い通り、クロードは降り注いでくる矢を全身にまとった精霊の力で一気に吹き飛ばした。これでかなりの力は消耗したはずだ。
しかし、彼は冷静に事態へ対処をしている。心を乱す様子は一切みられない。
ライラは周辺で見ている者たち、中でもイルシアがどう動くかが気がかりだった。
今はクロードと一対一で戦えているが、彼が不利になればこのままの状態を続けさせてくれるわけがない。
どこかで必ず精霊を呼びだすための時間稼ぎをしてくるはずだ。
相手が何かを仕掛けてくる前に、こちらが先にクロードの動きを封じるための一手を打つべきかライラは悩む。
ライラがそんなことを考えていると、クロードに一気に距離を詰められてしまった。
油断をしたつもりはなかった。少し考え事をしていた一瞬の隙に、目の前にクロードがいた。
首筋に剣を突きつけられる。
しかし、クロードはライラを切り裂くことはなく、そのまま動きをぴたりと止めてしまった。
「どうして首を落とさなかったの? 今ならできたはずよ」
「………………………………」
「まさか情けでもかけたつもりなのかしら? 屈辱以外の何ものでもないわよ」
「……こんなのは君らしくない。こんな簡単に君の命が奪えるはずがないんだ」
クロードが声を震わせながらそう言った。
「君はいつも通りにしているつもりなのかもしれないが、こんなのはまったくらしくない」
クロードが顔を歪ませる。心なしか目が潤んでいるような気がする。
その姿を見ていたら無性に腹が立ってきた。
この男にだけは自分のことを語って欲しくはない。
ライラは弓を手放して、降参の意思を示すように両手を上げた。
クロードは目を見開いている。訳が分からないと言った顔でライラを見つめてくる。
「……どういうつもりだ?」
「別にどうってことはないわ。殺すつもりがないのなら、降参したら見逃してくれるかなと思ったの」
「見逃すつもりはない。君は必ずここで殺す」
「じゃあ今すぐに殺したらいいじゃない」
「違う! そうじゃない‼」
片手で顔を覆って叫んだクロードに向かって、ライラは妖しく笑う。
「じゃあ、私と一緒に死んでくれる?」
喉に突きつけられている剣に構わず、ライラはクロードに歩み寄る。剣先が首筋を切り裂いて血が流れ落ちる。
ライラはクロードが顔を覆っている手に触れようとした。すると、伸ばした腕を彼にがっしりと掴まれる。
「駄目だ。私はまだ死ねない」
「あら、どうして?」
「私にはまだやり残したことがある。だから死ねない」
ライラの腕を掴んでいるクロードの手に力が入る。
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