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真実
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――笑顔を向けられると幸せな気持ちになれた。彼の瞳に映る自分の姿を見ると安心した。
「……人は誰かを愛すると馬鹿になる、か」
ライラは自分にだけ聞こえるような小さな声でぼやいたつもりだった。
しかし、そばにいるイルシアとファルにはライラの発言が聞こえてしまったらしい。二人は互いに顔を見合わせて首を傾げた。
「急になんだよ。またおかしくなったんじゃねえよな?」
イルシアが怪訝そうな顔をして尋ねてきた。
ライラは困惑気味にイルシアに笑いかけてからクロードへ視線を向ける。彼に鋭いにらみを利かせながら、イルシアの質問にはっきりと答えた。
「この人と結婚するときに人に言われた言葉を思い出したの。愛は人に予想外の行動を取らせることがある。取り扱いの難しい感情だから気をつけろってね」
ライラが自分をさげすむように笑うと、クロードの表情が崩れた。口をあんぐりと開けた間抜けな顔をして、ライラを見つめてくる。
そんなに驚くような意外なことを言ったのかと呆れて物申したい気持ちになったが、クロードの隣でマスターが妙に感心した顔をしながら頷いているのが目に入る。それを見て食ってかかるのも面倒だと思い、ライラは何も見なかったことにしてイルシアに視線を戻した。
「おかしくなったと言われてしまえばその通りなのだろうなと思ったのよ。この土地にきてずいぶんと正気になったつもりでいたけれど、まだまだ駄目ね」
「たしかに初めて会った頃のお前はかなり馬鹿っぽかったけどさ。俺と会う前のことは知らないって言っているだろ」
「もう! 馬鹿だなんで失礼なことを言わないの。ごめんなさいライラさん。口が悪いだけでイルはライラさんのことを心配しているんですよ。もちろん私だって心配したんですからね!」
ファルがあたふたとしながらイルシアの背中を叩いて頭を下げる。ライラは彼女を安心させるように微笑みかけた。
「わかっているわ。二人ともありがとう」
ライラとファルが笑い合っていると、クロードが安堵したように頬をほころばせた。
お前に笑顔を向けたわけじゃないぞ、とライラはもう一度ぎろりとクロードを睨みつけた。
「あなたが本気で私を愛してくれていたのなら、きっとあなたも馬鹿になっていたのよね。だからといって全てを許す気持ちはこれっぽっちもないから。安心したような顔をしないでちょうだい」
「――私は君を愛している」
ライラは拒絶の意思をはっきりと態度にあらわしているつもりだった。しかし、クロードは真面目な顔をして、ライラの言葉をさえぎるように声をあげた。
ライラはすぐに次の言葉を発言する気になれずにため息をついた。
婚姻関係を継続していた頃の自分なら、愛していると言われれば喜んだろう。どんなに歯の浮くような台詞でも、待ちに待っていた言葉に違いない。
だが、今となっては不快にしかならない。最低な言葉にしか聞こえない。そんな自分の感情の変化に気がついてひどく驚いてしまった。
「……そう。あなたもいまだに馬鹿をやっているということね。これからどんな素敵なお話を聞かせてくれるのか楽しみだわ」
「そ、そんな喧嘩腰にならなくてもいいじゃないか。私はただ本音を隠すのはやめようと思っただけで……」
「ああもう! あなたがいると苛々するわ」
「……人は誰かを愛すると馬鹿になる、か」
ライラは自分にだけ聞こえるような小さな声でぼやいたつもりだった。
しかし、そばにいるイルシアとファルにはライラの発言が聞こえてしまったらしい。二人は互いに顔を見合わせて首を傾げた。
「急になんだよ。またおかしくなったんじゃねえよな?」
イルシアが怪訝そうな顔をして尋ねてきた。
ライラは困惑気味にイルシアに笑いかけてからクロードへ視線を向ける。彼に鋭いにらみを利かせながら、イルシアの質問にはっきりと答えた。
「この人と結婚するときに人に言われた言葉を思い出したの。愛は人に予想外の行動を取らせることがある。取り扱いの難しい感情だから気をつけろってね」
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そんなに驚くような意外なことを言ったのかと呆れて物申したい気持ちになったが、クロードの隣でマスターが妙に感心した顔をしながら頷いているのが目に入る。それを見て食ってかかるのも面倒だと思い、ライラは何も見なかったことにしてイルシアに視線を戻した。
「おかしくなったと言われてしまえばその通りなのだろうなと思ったのよ。この土地にきてずいぶんと正気になったつもりでいたけれど、まだまだ駄目ね」
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「もう! 馬鹿だなんで失礼なことを言わないの。ごめんなさいライラさん。口が悪いだけでイルはライラさんのことを心配しているんですよ。もちろん私だって心配したんですからね!」
ファルがあたふたとしながらイルシアの背中を叩いて頭を下げる。ライラは彼女を安心させるように微笑みかけた。
「わかっているわ。二人ともありがとう」
ライラとファルが笑い合っていると、クロードが安堵したように頬をほころばせた。
お前に笑顔を向けたわけじゃないぞ、とライラはもう一度ぎろりとクロードを睨みつけた。
「あなたが本気で私を愛してくれていたのなら、きっとあなたも馬鹿になっていたのよね。だからといって全てを許す気持ちはこれっぽっちもないから。安心したような顔をしないでちょうだい」
「――私は君を愛している」
ライラは拒絶の意思をはっきりと態度にあらわしているつもりだった。しかし、クロードは真面目な顔をして、ライラの言葉をさえぎるように声をあげた。
ライラはすぐに次の言葉を発言する気になれずにため息をついた。
婚姻関係を継続していた頃の自分なら、愛していると言われれば喜んだろう。どんなに歯の浮くような台詞でも、待ちに待っていた言葉に違いない。
だが、今となっては不快にしかならない。最低な言葉にしか聞こえない。そんな自分の感情の変化に気がついてひどく驚いてしまった。
「……そう。あなたもいまだに馬鹿をやっているということね。これからどんな素敵なお話を聞かせてくれるのか楽しみだわ」
「そ、そんな喧嘩腰にならなくてもいいじゃないか。私はただ本音を隠すのはやめようと思っただけで……」
「ああもう! あなたがいると苛々するわ」
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