離婚したので冒険者に復帰しようと思います。

黒蜜きな粉

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その後

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「待ちくたびれたって……。もしかして、二人は私が起きてくるのを待っていたのかしら……?」

 ライラは首を傾げながら、二人に向かって声をかけた。
 すると、二人が返事をするよりも先にルーディが大きな声を上げた。

「そうだよ! この子たちは朝一番からアンタのことをずっと待っていたのさ。昨日だって散々迷惑をかけたのだから、あとできちんとお礼を言っておきな!」

 ルーディはかなり立腹しているようだ。
 ライラは驚きながら、慌てて礼の言葉を口にする。

「二人ともありがとう! ごめんね、今はちゃんと思い出せないのだけど……。思いだしたら改めてお礼を言うから許してね」

「――え、いやいやそんな! 私は構いませんよ。誰だって調子の悪い時くらいありますよね」

 ファルはぶんぶんと手を振って顔を引きつらせながら笑う。
 彼女は口では構わないと言っているが、その表情で苦々しい思いをしたのが分かりライラは焦りだす。

「……ど、どうしよう。本当にありがとう。なんで覚えていないのかしら……?」

「――っふん! あんなみっともねえ姿は忘れちまっているほうが身のためだぜ」

 ライラがファルの両肩に手を置いておろおろしていると、イルシアが馬鹿にしたような顔をして見つめてくる。

「……みっともない姿、私が……?」

 ライラはイルシアの言葉に首を傾げる。
 すると、ジークが厨房から身を乗り出して、昨日の出来事をライラの耳元でこっそりと説明してくれた。
 ライラはジークの話を聞きながら、昨日のことが徐々に蘇ってきた。
 
「……あー、そう。そうね、昨日はそんなことがあったかしらね」

 ジークの説明を全て聞き終えたライラは、すっと椅子から立ちあがる。
 そのまま床に座り込むと、両手を床についてイルシアとファルに向かって頭を下げた。

「昨日は本当に申し訳ありませんでした。お二人にはお手間をかけさせてしまい、どのようにお礼を申し上げたらよいのか……。以後このようなことがないように精進してまいりますので、今回はどうかご容赦頂ければ幸いでございます」

 ライラの突然のしおらしい態度に、イルシアとファルは何も言えずに茫然と立ち尽くしている。
 そこへ、朗らかなルーディの笑い声が響く。

「あはははははははは! いい年をした大人がみっともなくびーびー泣いて、こんな若い子の前で粗相して世話までされちゃ立場がないさね」

 ルーディは一通り笑い飛ばしたあと、床に手をつくライラを無理やり立たせて背中を押すと店の外に放り出した。

「――さあさあ、もう店を開けるからお三方はさっさと出てってちょうだいな!」
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