108 / 151
行方不明
11
しおりを挟む
「もしアンタが大人しく降参するというのなら、ガキだけは五体満足で返してあげるわ」
ライラの耳元でエセリンドの声がした。
「――――――――――――っ⁉」
ライラは驚いて背後を振り返ったが、そこには誰もいない。それなのに、どこからともなく妖しく笑う声がする。
ライラはすぐさま身構えて、周囲を見渡した。薄暗い森の中、目を凝らして注意深く観察してみるが、声の主であるエセリンドの姿はどこにもない。
「ふふふふふふふ。あらまあ、そんなに慌ててどうしたのかしら?」
はっきりと声は聞こえるのに、どうしてもエセリンドの姿が見つけられない。彼女の姿の代わりにあるのは、周辺一帯に漂う瘴気の黒い霧だけだ。その瘴気の霧からエセリンドの気配が漂ってくる。
「…………これは、いったいどういうカラクリなのかしらね?」
「ふふふふふ、そんなことをアンタに教える必要はないわ。どうせアンタに説明したって意味がないもの」
「へえ、そうなの。もし降参したら、私はどうなってしまうのかしらねえ?」
「私ね、美しい僕が欲しいのよ」
ねっとりとした気持ちの悪い声が耳に届く。ライラは吐き気がしそうになるのを堪えながら、エセリンドの言葉に耳を傾ける。
「そこの男たちはね、アンタに恨みがあるから操りやすかっただけなの。本当は醜い者なんていらないのよね」
「……ふうん、操るねえ。私はあいつらのように自分の身体をもてあそばれるのは嫌だわ」
ライラはそう答えながら、森の中に視線を移した。森の暗闇の中に小さな光が浮かび上がったのだ。
その光があっという間に大きくなって、こちらに勢いよく向かってくる。
ライラはその光を見つめながらニヤリと笑った。
「――っ来るのが遅いわよ!」
ライラは近づいてきた光に向かって叫んだ。
「何だよその態度は! 助けに来て欲しいってんなら、ちゃんと居場所を伝えておけよな。探すの面倒だったんだぞ!」
光の正体は全身に炎を纏っているイルシアだった。
イルシアはライラの元へ到着するなり、文句を口にする。
しかし、その文句を言い終わるよりも先に、周囲に漂っていた瘴気の霧を炎で燃やしてしまった。
ライラの耳元でエセリンドの声がした。
「――――――――――――っ⁉」
ライラは驚いて背後を振り返ったが、そこには誰もいない。それなのに、どこからともなく妖しく笑う声がする。
ライラはすぐさま身構えて、周囲を見渡した。薄暗い森の中、目を凝らして注意深く観察してみるが、声の主であるエセリンドの姿はどこにもない。
「ふふふふふふふ。あらまあ、そんなに慌ててどうしたのかしら?」
はっきりと声は聞こえるのに、どうしてもエセリンドの姿が見つけられない。彼女の姿の代わりにあるのは、周辺一帯に漂う瘴気の黒い霧だけだ。その瘴気の霧からエセリンドの気配が漂ってくる。
「…………これは、いったいどういうカラクリなのかしらね?」
「ふふふふふ、そんなことをアンタに教える必要はないわ。どうせアンタに説明したって意味がないもの」
「へえ、そうなの。もし降参したら、私はどうなってしまうのかしらねえ?」
「私ね、美しい僕が欲しいのよ」
ねっとりとした気持ちの悪い声が耳に届く。ライラは吐き気がしそうになるのを堪えながら、エセリンドの言葉に耳を傾ける。
「そこの男たちはね、アンタに恨みがあるから操りやすかっただけなの。本当は醜い者なんていらないのよね」
「……ふうん、操るねえ。私はあいつらのように自分の身体をもてあそばれるのは嫌だわ」
ライラはそう答えながら、森の中に視線を移した。森の暗闇の中に小さな光が浮かび上がったのだ。
その光があっという間に大きくなって、こちらに勢いよく向かってくる。
ライラはその光を見つめながらニヤリと笑った。
「――っ来るのが遅いわよ!」
ライラは近づいてきた光に向かって叫んだ。
「何だよその態度は! 助けに来て欲しいってんなら、ちゃんと居場所を伝えておけよな。探すの面倒だったんだぞ!」
光の正体は全身に炎を纏っているイルシアだった。
イルシアはライラの元へ到着するなり、文句を口にする。
しかし、その文句を言い終わるよりも先に、周囲に漂っていた瘴気の霧を炎で燃やしてしまった。
39
あなたにおすすめの小説
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。
木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。
その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。
本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。
リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。
しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。
なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。
竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。
※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。
※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活
アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。
妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。
貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。
しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。
小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる