離婚したので冒険者に復帰しようと思います。

黒蜜きな粉

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行方不明

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 ライラはきっと少年を睨みつけた。 
 すると、少年がライラの視線に気がついて、こちらに向かって襲いかかってくる。

 ライラは少年の攻撃を受け止めようと身構える。
 しかし、少年はライラの目の前で腕を振り上げた姿勢でぴたりと止まってしまった。少年はその姿勢のまま、地面にゆっくりと倒れ込んでしまう。

 ライラが何事かと思っているところへ、エリクがやってきた。彼が相手にしていた冒険者たちも、地面に倒れて動かなくなってしまっている。
 どうやらエセリンドはイルシアの相手で手一杯になってしまい、他者を操る余裕がなくなってしまったらしい。

「……さすがですね。イルシア君があの女の相手をしてくれたおかげで助かりました」

「私はここに残ってイルシアを手伝うわ。エリクさんはアヤちゃんを連れて早くここから離れてちょうだい」

 ライラはエリクと共に急いでアヤの元へ駆けつけると、彼女が瘴気の影響を受けていないか確認をした。
 アヤは気絶していたおかげか呼吸が浅く、瘴気を吸い込むことはなかったようだ。規則正しい寝息を立てて、目を閉じている。

「お任せください。この子は必ず街に連れて帰ります!」

「ありがとう。よろしくね」

 エリクはすぐにアヤを抱きかかえると、街の方角に向かって走り出す。

 ライラは彼の背中を見送りながら、自分だけだったらこんなに早くアヤを助けだせなかっただろうと考えていた。
 それどころか、少年や冒険者たちと同じ末路になっていたかもしれない。ライラはその光景を思い浮かべてしまい、背筋に冷たいものが走った。

「……一人じゃ何もできないのに、どうして一人でやらなきゃいけないって思い込んでいたのかしら……?」

 ライラがそうぼやいていると、イルシアがエセリンドの身体に槍を突き刺した。

「ぎゃあああああああああああああああ‼︎」

 エセリンドの断末魔のような叫びが周囲に響き渡る。
 イルシアが勢いよく槍を引き抜くと、彼女の身体にぽっかりと穴が空いていた。
 エセリンドは苦しそうに身体をよじりながら、音を立てて地面に膝をついた。すでに彼女は虫の息になっている。
 もう不快な呻き声も、耳ざわりな叫び声も聞こえない。

「…………そっか、そうよね。もっと人を頼ってもいいのよね」

 ライラだけならこんなに早く状況が好転することはなかっただろう。
 早く気がつきたかった、ライラはそう思いながら、頼もしい背中を見せているイルシアの元へとゆっくりと近付いていった。
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