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温室の最奥には大きな木があった。その木の根元に、なぜかトルソーが置かれている。
「…………その、一番それらしい雰囲気の場所がここだったのだ。だから、驚かそうと思って用意していたのだが」
トルソーが着ている服を見て、ソフィアは目を見開く。
「仕立て屋の夫人に相談したら、喜んで作ってくれた。君に似合う最高のデザインだと言っていた」
トルソーが着ていたのは白いドレスだった。
どう考えてもウエディングドレスとしか思えず、ソフィアは驚きのあまり言葉を失ってしまう。
イーサンは驚いて固まってしまっているソフィアの隣にやってくると、小さな箱を取り出した。彼はその箱をソフィアの目の前に突き出して蓋を開ける。
「考えてみたら、何もかも君のために用意された物がなかったのだなと気がついて……。先にこっちを渡してから案内したかったのだが……」
箱の中に入っていたのは指輪だ。
イーサンはソフィアの左手に触れると、今している指輪を薬指から外した。
「客を招いた大々的な式をやり直すことはさすがにできないが、せめて二人で式のようなものができたらよいなと……」
ソフィアの手から指輪を抜き取ったイーサンの薬指にはめられていたのは、箱の中にある指輪と同じデザインのものだった。いつから彼の指輪は変わっていたのだろうか。まったく気が付いていなかった。
ソフィアが慌てて顔を上げると、気恥ずかしそうに笑うイーサンと視線が合った。
「……わ、私は、もう自分のために作られたウエディングドレスは着られないのだと思っていました」
ソフィアは嬉しくて頬が緩みそうになるのを必死に耐えていた。
物に釣られるなど絶対に駄目だと思う反面、これ以上はない最高の贈り物だとも思う。
「この指輪を受け取ってもらえないだろうか?」
イーサンにそう言われて、ソフィアは遠慮がちに指輪の入った箱に手を伸ばした。
「これ、本当に私のために?」
ソフィアが箱を受け取ると、イーサンが指輪を取り出して指にはめてくれた。
ソフィアの指にぴったりとサイズが合う。
「そうだ。これは君だけのものだよ、ソフィア」
ふいに名前を呼ばれて、ソフィアは一瞬で顔が赤くなったことがわかった。慌てて頬を押さえてうつむく。
「こ、このタイミングで名前を呼ぶなんてずるいです!」
「…………嫌だったか?」
「嫌とかそういうわけじゃ……。だって、こんなの嬉しすぎて流されてしまいそう」
「流されてくれないのか?」
イーサンに顎を掴まれて無理やり顔を上げさせられる。
「だ、旦那さまってば、いつもと雰囲気が違いすぎます! ヘタレの癖にこんなのずるいですう」
「へ、ヘタレか……。それは否定できないが、それよりも私の名は呼んでくれないのか?」
「……っうう。あの、顔が近くて恥ずかしいです!」
イーサンは至近距離でじっと見つめてくる。きっと名前を呼ぶまで解放する気はないのだろう。
「……イ、イーサン様!」
根負けしたソフィアが名前を口にすると、イーサンは穏やかに微笑んだ。それから、彼はすぐにソフィアのことをきつく抱きしめてくる。
「私はこれからあなたに対して思いやりを忘れずに、一生涯大切に守り愛することを誓う。だから、あのドレスを着て欲しい」
イーサンが誓いの言葉を口にする。
恥かしさの限界を迎えたソフィアは、完全に絆されてしまった。目の前のイーサンの胸に顔を埋めて無言で頷いた。
「…………その、一番それらしい雰囲気の場所がここだったのだ。だから、驚かそうと思って用意していたのだが」
トルソーが着ている服を見て、ソフィアは目を見開く。
「仕立て屋の夫人に相談したら、喜んで作ってくれた。君に似合う最高のデザインだと言っていた」
トルソーが着ていたのは白いドレスだった。
どう考えてもウエディングドレスとしか思えず、ソフィアは驚きのあまり言葉を失ってしまう。
イーサンは驚いて固まってしまっているソフィアの隣にやってくると、小さな箱を取り出した。彼はその箱をソフィアの目の前に突き出して蓋を開ける。
「考えてみたら、何もかも君のために用意された物がなかったのだなと気がついて……。先にこっちを渡してから案内したかったのだが……」
箱の中に入っていたのは指輪だ。
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ソフィアの手から指輪を抜き取ったイーサンの薬指にはめられていたのは、箱の中にある指輪と同じデザインのものだった。いつから彼の指輪は変わっていたのだろうか。まったく気が付いていなかった。
ソフィアが慌てて顔を上げると、気恥ずかしそうに笑うイーサンと視線が合った。
「……わ、私は、もう自分のために作られたウエディングドレスは着られないのだと思っていました」
ソフィアは嬉しくて頬が緩みそうになるのを必死に耐えていた。
物に釣られるなど絶対に駄目だと思う反面、これ以上はない最高の贈り物だとも思う。
「この指輪を受け取ってもらえないだろうか?」
イーサンにそう言われて、ソフィアは遠慮がちに指輪の入った箱に手を伸ばした。
「これ、本当に私のために?」
ソフィアが箱を受け取ると、イーサンが指輪を取り出して指にはめてくれた。
ソフィアの指にぴったりとサイズが合う。
「そうだ。これは君だけのものだよ、ソフィア」
ふいに名前を呼ばれて、ソフィアは一瞬で顔が赤くなったことがわかった。慌てて頬を押さえてうつむく。
「こ、このタイミングで名前を呼ぶなんてずるいです!」
「…………嫌だったか?」
「嫌とかそういうわけじゃ……。だって、こんなの嬉しすぎて流されてしまいそう」
「流されてくれないのか?」
イーサンに顎を掴まれて無理やり顔を上げさせられる。
「だ、旦那さまってば、いつもと雰囲気が違いすぎます! ヘタレの癖にこんなのずるいですう」
「へ、ヘタレか……。それは否定できないが、それよりも私の名は呼んでくれないのか?」
「……っうう。あの、顔が近くて恥ずかしいです!」
イーサンは至近距離でじっと見つめてくる。きっと名前を呼ぶまで解放する気はないのだろう。
「……イ、イーサン様!」
根負けしたソフィアが名前を口にすると、イーサンは穏やかに微笑んだ。それから、彼はすぐにソフィアのことをきつく抱きしめてくる。
「私はこれからあなたに対して思いやりを忘れずに、一生涯大切に守り愛することを誓う。だから、あのドレスを着て欲しい」
イーサンが誓いの言葉を口にする。
恥かしさの限界を迎えたソフィアは、完全に絆されてしまった。目の前のイーサンの胸に顔を埋めて無言で頷いた。
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