女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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目覚めるとそこは

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「……きろよ…」

「…く……ろよく……」

 知らない誰かの声が…聞こえた気がする。
寝ぼけているのか、体の感覚が鈍い。
耳は聞こえているのだろう。声の様な音の様な、そんな刺激がある。
さっきから聞こえている音はどうやら女の声らしい。綺麗な音で発する声は聞くに耐えない悪口だ。
罵声を浴びても悦べないし、罵声を浴びるいわれもないので無視して他の部位を確認する。
鼻はどうだ?匂いは特に感じない。
鼻毛に風を感じるが、体全体では風を感じない。温度もよく分からない。室内なのか、暑いのか、寒いのか…。
目はきっと閉じている。瞼の外は多分明るい。

「目覚めてるのはわかってんのよ!」

まさかと思うが俺に言っているのか?

「……」

 目覚めるとそこは空だった。
薄雲が疎らに浮かび、ゆっくりと流れている。
いつの間に外で寝ていたのだろうか?そんな事より何故俺は空に浮いているのだろう?
体を傾け寝返りを打つと眼下には大小の雲が浮かび、そしておよそ都会ではお目にかかれない雄大な自然が目に映る。山と平野と川と海。目をこらすと街のようなものも見える。
高い所は得意じゃないが、ここまで高いと恐さはない。

「起き上がりなさいよ。早くマジで。
罵倒されて悦ぶクソ変態。それともアンタ、女のスカートの中を覗きたい変態なの?殺すわよ?」

 俺は変態ではないと思う。それに殺されたくもない。
吐き捨てられた声に顔を向けると、離れた所で腕組みをした女がこちらも見ずにイライラとした表情でため息をついていた。
そんな場所から覗けるほどスカート短くないじゃん。
キラキラ輝きゆったりとした白いドレスのようなものを着た金髪の女だ。顔は遠いし初見の相手に罵声を浴びせる様な者に興味は無い。
空中を漂っているので起き上がるとか立ち上がると言う感覚がイマイチ分からないが、ひとまずは女と上下を同じくするため体を起こし立ち上がってみる。
手も足もしっかりと着地?してるんだが空中なんだよな。

「起きたならさっさと行って」

腕組みのまま女が下を指さすと体に重力を感じ落下を始める。

「ちょ、ちょっと待って!説明!説明求む!」

こんな所から落とされてもミンチになる未来しか見えない!
つかここどこで君誰ちゃん?
初見の相手になんでイラついてんのよマジでわからん。

「はぁ~…。殺すつもりで落とすならとっととやってるから。
で、ここは惑星シルケのアルバイン地方の上空。
アタシの名前なんてどーでもいいし、イラついてんのはアンタがから。それに……。
もーいーでしょ早く消えて!」

どうやら俺はブサイクらしい。
女は俺を見下ろし見下し俺の思考を読み取ったかの様な返答をよこし、一瞥してため息一つ。

「ブサイクでキモいのは目をつむってくれ。もう少しだけ俺の事、ここの事教えて欲「めんどくさい」頼む!」

しばらく睨まれた。

「アンタは地球とか言う星で死んでここに飛ばされたの。あっちの神ので!アタシの許可も得ずにねっ!
送り返す事も出来ない上にギフトをくれてやれとかアンタがブ男でなくてもキレるでしょ普通!」

歯をむいて怒る女なんて初めて見た。
確かにこれはキレて良い。けど当事者にはなりたくなかった。

「なんか、地球の神が勝手してごめん」

「謝るのはアンタの勝手だけどアタシは許す気無いから。アンタがあっちの神に嫌われて捨てられたのが原因だろうしね。
それにね!ギフトはこの世界の子ですら持ってるのは一握りも居ないの!良い子にしか上げないの!特別なの!
アンタが仮にシルケの生まれで超絶イケメン様であったとしても、それでもあげられないの!」

それなら俺はギフトを貰う訳にはいかないな。

「そうか。ギフトを貰うのは遠慮するから、せめて怒りを収めてくれないか?」

「当たり前でしょ?けどそれは駄目。アンタにはちゃんとギフトをあげる。
こっちに不備が無い状態であっちの神を訴えるから」

神の世界にも裁判はあるのか。
多少怒りを収めてくれた様だが、黒い笑顔がとても怖い。

「ギフトやスキルは地上に降りたらステータスで確認しなさい。
モンスターや野獣に殺されない様に、精々生き延びる事ね」

 そして俺は地上に落ちた。
名前を聞きそびれたあの女、こちらの事を嫌っている割にちゃんと返答してくれたな。
基本的には良い奴、と言うか女神的な存在なのだろう。
薄緑の瞳と怖い笑顔が印象的だった。

それにしても、俺は死んだのか…。死んだ事実を聞いて前世の記憶が蘇ってきた。
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