1 / 1,519
目覚めるとそこは
しおりを挟む「……きろよ…」
「…く……ろよく……」
知らない誰かの声が…聞こえた気がする。
寝ぼけているのか、体の感覚が鈍い。
耳は聞こえているのだろう。声の様な音の様な、そんな刺激がある。
さっきから聞こえている音はどうやら女の声らしい。綺麗な音で発する声は聞くに耐えない悪口だ。
罵声を浴びても悦べないし、罵声を浴びるいわれもないので無視して他の部位を確認する。
鼻はどうだ?匂いは特に感じない。
鼻毛に風を感じるが、体全体では風を感じない。温度もよく分からない。室内なのか、暑いのか、寒いのか…。
目はきっと閉じている。瞼の外は多分明るい。
「目覚めてるのはわかってんのよ!」
まさかと思うが俺に言っているのか?
「……」
目覚めるとそこは空だった。
薄雲が疎らに浮かび、ゆっくりと流れている。
いつの間に外で寝ていたのだろうか?そんな事より何故俺は空に浮いているのだろう?
体を傾け寝返りを打つと眼下には大小の雲が浮かび、そしておよそ都会ではお目にかかれない雄大な自然が目に映る。山と平野と川と海。目をこらすと街のようなものも見える。
高い所は得意じゃないが、ここまで高いと恐さはない。
「起き上がりなさいよ。早くマジで。
罵倒されて悦ぶクソ変態。それともアンタ、女のスカートの中を覗きたい変態なの?殺すわよ?」
俺は変態ではないと思う。それに殺されたくもない。
吐き捨てられた声に顔を向けると、離れた所で腕組みをした女がこちらも見ずにイライラとした表情でため息をついていた。
そんな場所から覗けるほどスカート短くないじゃん。
キラキラ輝きゆったりとした白いドレスのようなものを着た金髪の女だ。顔は遠いし初見の相手に罵声を浴びせる様な者に興味は無い。
空中を漂っているので起き上がるとか立ち上がると言う感覚がイマイチ分からないが、ひとまずは女と上下を同じくするため体を起こし立ち上がってみる。
手も足もしっかりと着地?してるんだが空中なんだよな。
「起きたならさっさと行って」
腕組みのまま女が下を指さすと体に重力を感じ落下を始める。
「ちょ、ちょっと待って!説明!説明求む!」
こんな所から落とされてもミンチになる未来しか見えない!
つかここどこで君誰ちゃん?
初見の相手になんでイラついてんのよマジでわからん。
「はぁ~…。殺すつもりで落とすならとっととやってるから。
で、ここは惑星シルケのアルバイン地方の上空。
アタシの名前なんてどーでもいいし、イラついてんのはアンタがブサイクでキモいから。それに……。
もーいーでしょ早く消えて!」
どうやら俺はブサイクらしい。
女は俺を見下ろし見下し俺の思考を読み取ったかの様な返答をよこし、一瞥してため息一つ。
「ブサイクでキモいのは目をつむってくれ。もう少しだけ俺の事、ここの事教えて欲「めんどくさい」頼む!」
しばらく睨まれた。
「アンタは地球とか言う星で死んでここに飛ばされたの。あっちの神の独断で!アタシの許可も得ずにねっ!
送り返す事も出来ない上にギフトをくれてやれとかアンタがブ男でなくてもキレるでしょ普通!」
歯をむいて怒る女なんて初めて見た。
確かにこれはキレて良い。けど当事者にはなりたくなかった。
「なんか、地球の神が勝手してごめん」
「謝るのはアンタの勝手だけどアタシは許す気無いから。アンタがあっちの神に嫌われて捨てられたのが原因だろうしね。
それにね!ギフトはこの世界の子ですら持ってるのは一握りも居ないの!良い子にしか上げないの!特別なの!
アンタが仮にシルケの生まれで超絶イケメン様であったとしても、それでもあげられないの!」
それなら俺はギフトを貰う訳にはいかないな。
「そうか。ギフトを貰うのは遠慮するから、せめて怒りを収めてくれないか?」
「当たり前でしょ?けどそれは駄目。アンタにはちゃんとギフトをあげる。
こっちに不備が無い状態であっちの神を訴えるから」
神の世界にも裁判はあるのか。
多少怒りを収めてくれた様だが、黒い笑顔がとても怖い。
「ギフトやスキルは地上に降りたらステータスで確認しなさい。
モンスターや野獣に殺されない様に、精々生き延びる事ね」
そして俺は地上に落ちた。
名前を聞きそびれたあの女、こちらの事を嫌っている割にちゃんと返答してくれたな。
基本的には良い奴、と言うか女神的な存在なのだろう。
薄緑の瞳と怖い笑顔が印象的だった。
それにしても、俺は死んだのか…。死んだ事実を聞いて前世の記憶が蘇ってきた。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる