女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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冒険者の朝早過ぎ

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 ギルドの二階で採取品リストを読み耽る。ワタウリより美味い物を探しているのだ。
自分の実力を無視して高い物を並べていく。

ブラッドツリーの血塊 1ナリ10万ヤン
ペインマッシュ 1ナリ5~6万ヤン
フライフィッシュの卵 1ナリ5万ヤン
生首草(全体) 1本3万ヤン
ミッドナイトドラゴンスケイルの実 1個1万ヤン

一万ヤン以上で、小さくて軽くて単価の高い物をチョイスしてみたつもりだ。
一ナリ単位の物は、沢山取れるか全然取れないかのどちらかだろう。
ブラッドツリーの血塊は樹液。量を取るのが大変そうだ。
ペインマッシュはキノコ。形の良い物をたくさん欲しいタイプ。
まさかのUMA。ではなく空を飛ぶ魚の野獣らしい。捌いて卵塊を取る。
生首草は絵を見た限り野生の蕪なイメージ。ポーションの原料だ。
ミッドナイトドラゴンスケイルはサボテンに似てる。これもポーションの原料。
普通のドラゴンスケイルの実は一つ千ヤン。

どれもこれも取れる場所が遠い。遠い=敵が強いな感じがするのでUMA狩りは辞めとこうか。
明日から遠征。狙うはブラッドツリーだ!


 暮れなずむ時間に目を覚ます。もうガチャガチャしてるんだけど、冒険者の朝早過ぎないか?
装備を整え忘れ物チェックして部屋を立ち、門へ向かう。こんな早いのに開いてんのな。
暗いうちに空に上がりたいのでクリープで走って行く。
道から逸れて畑の柵沿いに薮に直行。人が居ないので体が浮く。

(ブラッドツリーの場所まで加速!)

方向が、逆だった。詳しい場所まで分からなかったのでいつもの門から出たが無駄足だったぜ。迂闊。
街に向かって大きく迂回しながら高度を上げて飛んで行った。
街の反対側の門の先は木の少ない山岳が聳え立つ。森林限界じゃないはずだが鉱毒でも出てるのかな?それなら井戸水飲めないか。

山を越え、谷を越え、荒野、否、砂漠に出る。砂漠と言っても石の砂漠だ。投擲武器石ころ拾い放題投げ放題!
サボテンも生えてる。実が大量に取れるならって事で指示を出す。

(買取可能なドラゴンスケイルの実が70個以上取れるなら減速下降して実の前でクリープ)

ググーッと下降した。
いきなり一ナリ十万の採取品は狙われたりして危ないからな。
一個千ヤンもまあ危ないが。

 目の前にセンザンコウみたいな色艶の鱗の塊がある。これがドラゴンスケイルだ。鱗状の外皮は硬く、中はとろ~りクリィミー。味は苦いと書いてあった。実はまんまサボテンの実で赤紫のイソギンチャクが着いている。実の根元からナイフで切って採取する。汁が甘い。これは高いな。

(サボテン側の汁は甘いのか?)

興味本位で汁溢れる鱗をペロリング。苦味無し、甘みあり。汁を集めたら売れそうな予感。
まだ花状態の汁も試してみる。甘し。
舐めてないのを一輪お持ち帰りする。

星の帯が見えなくなる頃にはカバンにたっぷりになってしまった。布製のカバンでも買っておけば良かった。
この世界はハウス栽培も無さそうだし、旬の時期にしっかり収穫しないと勿体無いな。
朝飯代わりに二個食った。甘いドラゴンフルーツで中身も一緒。サボテンは宇宙から飛来した!?とても美味し。

モンスターや野獣も居たが鳥と蛇の野獣が弱肉強食してるだけでこちらには目もくれなかった。勝ったのは鳥。嘴に一本両足に二本掴んで飛んでった。ブフリムを引っぱたいて臭い袋を拾うと飛んで来て持って行く。
ここのブフリムは鱗の鎧を着てた。防御と隠密性を兼ねた良い装備だが頭を守ってないのでフルスイング数発で気絶する。

 臭い袋の中身だけを各ポケットに詰め込み帰宅しようとするものの、この辺りも冒険者がうろつき始めたのでゆっくり帰る。
カバンの中に一財産入っているのでクリープは解かずスタスタ歩く振り。
何パーティかと声を掛け合い歩いて行くが、帰りは山越えかなー?
馬車的な物に乗ってる人が居ないから近道は無さそうだ。棒を杖にして進む。
山に差し掛かった所で飛べて助かった。行きと同じように迂回して草原方向から門に帰って来た。
時間は既に夕方を過ぎていて、また走る羽目になった。

「お前何時も走って帰って来るな」

「ゼハー、ヒィ~。」

「呼吸で返事するなよ。閉めるからさっさと入れー」

「ご、ぐどーざん。ブヒーッ」

今日はギリギリだったみたい。
息も絶え絶えギルドに向かう…。
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