女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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不動産

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 不意に小金持ちになった俺達だが、やる事は大して変わらない。《宿に泊まって昼飯食って風呂に入る》これで最低一万千ヤン。これに服だの装備だのと買い増して行けば一年と持つまい。
一ヶ月は三十日なので宿代だけで二十七万ヤン。飯代二千ヤンだったとして二十一万ヤン。月額十万程度の賃貸を借りるのもありか。セキュリティに不安があるがギルドに相談してみるか…。
なんて事を二日酔いのイゼッタと話し合う。

「あだばいだい…」

酒なんて飲むからだぞ。

「初夜…覚えでだい…」

してないぞ。おっぱいねぶってるけど。
着替えと装備を整えて、飯を食ったら顔を洗ってギルドへ向かう。今日は仕事を休みにして、賃貸見たり買い物するのだ。

「おはようございますカケル様、イゼッタ様」

「様は要らんよ、普通に頼む」

 昨日の事があったので掌が回転しているな。お嬢様イゼッタは言われ慣れているだろうが俺には無用な敬称だ。

「賃貸の部屋を借りたいが勝手が判らず相談に来たんだ」

「でしたら不動産屋へご案内しますよ」

「場所さえ判れば後は此方で何とかするさ」

「では紹介状だけでもお持ち下さい」

紹介状が来るまでの間に不動産屋の場所を教えて貰いパンフにチェックし、細い書簡を受け取った。

不動産屋に行く前に魔法道具屋に向かう。イゼッタがヘロヘロなのだ。解毒ポーショングイッとやって、少しは楽になったかな?

「こんな使い方初めて」

「二日酔いの原因は毒素だからな。これで効くと思った」

「私、毒なんて摂って無い」

「酒が体の中で毒に変わるんだ。飲み過ぎるとこうなる」

「なるべく覚えとく」

心と体に刻み込めよ。

更に歩いて不動産屋に着いた。三階建ての総石造りで装飾増し増しなお高そうな建物だ。
入ってすぐのカウンターに先ずは書簡を置くと、ギルドの紋章を見て受付嬢の目が変わる。

「ようこそいらっしゃいました。私受付のムリーと申します。不動産のお探しですか?」

「格安物件」

イゼッタさんや、主語と述語を使おうな。

「賃貸でも借家でも良いが予算内で頼む」

その後説明を聞いたり予算から物件情報を出してもらったりした。

「借家が良い」

分割払い出来るらしくイゼッタは借家を所望している。
低価格の三軒を内見する事になった。


 一件目。壁の中にある家、十五万ヤン/月。
石壁の街特有の、外壁と家屋を融合させたタイプの総石造り三階建て。一階ワンフロアで仕切りを立てて部屋を割る。南西向きで風呂トイレ無し。屋根の上は外壁の通路となり、警備兵が歩き回る。人的セキュリティは高いがモンスターの襲撃で門の次に壊される可能性がある。修理優先度が高い。

「トイレ…」

「行きたいのか?」

「そうじゃなくて」

二件目。海沿いの元番屋、七万ヤン/月。
港町特有の、港からちょっと離れた丘に建つ木造平屋建て。西向きで風呂無しトイレあり。人的セキュリティは皆無と言える。街の外まで遠く、時化ると外に出られない事もある。

「津波のある国の生まれには有り得ない物件だな」

「何それ?」

「自然災害さ」

三つ目。裏道の中の元酒場、十二万ヤン/月。
この街特有の、治安の悪い場所に建つ一階石造りで上二階木造の三階建て。南向きだが日が当たるのは三階のみ。風呂無しトイレ一・二階あり。人的セキュリティは無いが二階の階段に丈夫そうな扉が付いている。

「店舗兼住宅」

「店舗として使えるのか?」

「商工ギルドにて登録すれば可能でございます」

「バーでもやるか?」

「二人の時間が無くなる」

愛い奴め、撫でてくれる。
しかしこれと言った物件は無かったな。
今日は保留にして回答は後日にしてもらった。

昼を過ぎたので露店で串焼きを買い、海を見ながら齧り付く。

「良いのが無かった」

借家の事だろう。借家や賃貸は許可無くリフォーム出来ないから風呂やトイレが後付けし辛いのだ。

「家を一から建てるのは流石に高いしな」

「無人島行く?」

「自分で作れば原料はタダ、か」

悪くない考えだが斧買わなきゃな…。
廃水施設や井戸もないとなぁ。

「何考えてるの?」

「井戸、風呂、トイレ、排水」

「水は魔法で自由自在」

「風呂沸かすのは出来んだろ?」

「…魔道具買うしか」

「風呂の問題は解決したか。トイレはどう…タマゲルに食わすんだったか」

「都会では一般的」

「無人島って買えるのか?」

「どうだろ?ギルド行く?」

行くだけ行ってみるか。
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