女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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 朝起きて食堂に向かうと兎やメイドに混ざってリュネも食事の手伝いをしてた。昨日の今日だが仲良くやれているようで何よりだ。体に無理もしてないそうなので好きにやらせてあげよう。
食堂の椅子に座って待つ。最近は料理させて貰えない。味噌も醤油も、マヨネーズだって授業で作った事あるんだぞ?材料集める気は無いけど。
落ち着かない男の子達と、べったりの女の子達を構いながら食事が揃うのを待ち、皆揃って頂きます。

食事が終わり、家のソファーで寛ぎながらリュネの話を聞く。

「お話する前に一つ。カケルさん」

「何かな?」

「私もカケル様と呼んだ方が良いのでしょうか?」

「気にしなくて良いよ。貴族でも無いしな」

「解りました。それでは…」

お茶を一口、リュネの話はこうだった。
とある集落の一人であったリュネは、出掛けから帰って来ると罪人扱いされ、抵抗虚しく痛々しい傷の姿に処された。その後集落から逃げるように追い出された結果、つい森に入り、モンスターにびっくりして穴に落ち骨を折って動けなくなった。

「とある集落とは、一体何処なのでしょうか…?」

「ボラフ村じゃ無かったのか」

「罪人扱いされた理由が知りたいですね」

「あの傷で生きてるのも不思議」

「何故森に入ったのか?」

  「モンスターにびっくりで済むのがびっくりです」
総ツッコミである。
リュネの答えはこうだ。
集落については集落の掟で教える事が出来ず、罪人にされた理由は部外者の侵入を許してしまったかららしい。ボラフ村は侵入した部外者の居た村で、集落の者が滅ぼしたらしい。あんな傷で生きられていたのは種族の特性で回復力があるからで、森に入ったのは傷のせいで力が失われたから、だそうな。

「もしかしてリュネって、飛べるの?」

「うぇ?」

上?変な声で動揺してるな。そう言えば荷車で移動してた時も臆する事無く休んでたしなー。

「私も飛べる」

対抗意識を燃やすな。

「俺も飛べるぞ」

対抗意識を燃やしてみた。

「私も…、飛べます」

「飛べる獣人なんて聞いた事無いぞ?ノーノ知ってるか?」

翼も無しに飛べる人族なんて俺の知る限り世界に二人しか居ないんだがな。

  「鳥人では無いですよね、翼無いですし」
「鳥人何てのも居るのかー。まあ、リュネが天界人でも龍族でも気にならんがな」

「!?」

今度は黙って動揺したな。顔に滴る汗が凄い。

「ぬ、ぬぬ…、な、にゃんでりゅーぞくじゃと?」

にゃん…。

「飛べて角やら尻尾がある種族なんて龍か悪魔くらいだろ」

「ご主人、アクマとは何だ?」

「空想上の生き物さ」

「もしかして…、バレてましたか?」

「否、消去法で残ったのが龍かも?ってだけだよ。空想上の物語で人化する龍や龍人の話があったから、それかなーって」

「流石カケル様です」

「流石カケル、神に喧嘩売る男」

「流石我がご主人だけはある」

  「流石の名推理ですね」
「痺れますねー」

「…わ、私も褒めた方が良いのでしょうか…?」

自主性に任せたら撫でてくれた。天然にしてママみ有り。有能。

「カケル様はつくづくドラゴンにご縁がありますね」

「他の龍に会った事が?」

「ないない、レッサーとか翼竜だ。テイカに代わりお詫びするよ」

「ふふっ、怒りませんよ。外見が似てるのは事実ですから」

「失礼な発言をして申し訳ありませんでした」

「リュネ、龍の姿になれるの?」

なれる、では無く戻れる、だろ?

「今はちょっとなれませんね。尻尾が無くて恥ずかしいですし、角を失って魔力が回復しないので肉体の回復もままなりません」

リュネが受けた処刑って、死ぬより辛い物なんじゃないか…?等と真面目に考えていると…、

「じゃあ、カケルに魔力貰ったら?」

「「え?」」

ハモった俺とリュネだった。


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